日本政府観光局(JNTO)が2021年年間および、12月の訪日外客数推計値を発表しました。
2021年の訪日外客数は24万5,900人で前年比94.0%減となりました。また、12月の訪日外客数は12,100人で前年同月比79.4%減となりました。
2021年の訪日外客数は、1964年に統計が開始されて以来、最小となっています。また、新型コロナウイルス禍の影響があった昨年と比較しても、2020年1月~3月上旬までには観光目的での入国者が存在していたことから、急激な減少となりました。
本記事では、2021年年間および12月の訪日外客数について、各市場のデータと動向をふまえて解説します。
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2021年の訪日外客数、前年比9割超減の24万人
2021年の訪日外客数は、前年比94.0%減の24万5,900人でした。
これは日本政府観光局による訪日外客数公表が開始された1964年以来、最低の数値となりました。
2020年に引き続き、新型コロナウイルスの影響があったため入国制限が行われていたこと、そして変異株による感染拡大の影響を繰り返し受けたため、過去最低の数値となったと考えられます。
2021年訪日外国人観光客、国籍別トップは中国で変わらず ベトナムの割合増加
また、2021年の国籍別訪日外客数についても発表がなされました。
順位 | 国籍 | 訪日外客数 | 前年比 |
1位 | 中国 | 42,300人 | -96.0% |
2位 | ベトナム | 26,500人 |
-82.6% |
3位 | 米国 | 20,000人 |
-90.9% |
4位 | 韓国 |
19,000人 |
-96.1% |
5位 | インド |
8,800人 |
-67.3% |
2021年の訪日外客数のトップは中国でした。新型コロナウイルス禍に関わらず、最も多くの人が訪日しています。
例年上位は近隣の東アジア諸国が占めているのですが、2021年はベトナム、米国、インドの順位が大幅に上がりました。
コロナ禍でも必要な労働力の確保が図られたり、ビジネス目的での入国、そして感染状況や各国の政策、ワクチン接種率も加味した結果、順位が変動したと考えられます。
12月の訪日外客数は12,100人 入国制限の影響続く
2021年12月の訪日外客数は12,100人で、前年同月比79.4%減でした。
オミクロン株の感染拡大を防止するため、厳しい入国制限措置を図った影響で、11月から1万人程度減少しています。今後においても、国内での感染拡大、そして緩和措置がとられる動きが現在も見られていないことから、引き続き低水準で推移することが予想されます。
一方、各国では入国制限に関し「厳しすぎる」との声も上がっています。
東アジア
2021年12月の東アジア各国の訪日客は、韓国が1,100人、中国が1,800人、台湾が300人、香港が70人となりました。 いずれの国でも、入国制限の影響で11月より減少しています。
また、オミクロン株の感染拡大の影響を受け引き続き訪日外客数が劇的に増加する見通しは立っていません。
中国においては、2月から北京冬季五輪の開催を控えていますが、その北京で初めてオミクロン株の感染が確認されました。
そして元来、中国人向けにチケットが販売される予定でしたが、その一般発売も中止されることとなりました。
一方で中国人の2022年の海外旅行候補地調査において、日本は1位となりました。日本への旅行意欲は依然として根強いことが分かります。
また香港については、12月3日から制限を強化し、香港市民が日本から入境するには、ワクチンの完全接種を条件としてPCR検査や21日間の隔離が求められているなど、往来が困難な状況となっています。
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東南アジア
2021年12月の東南アジア各国の訪日客は、タイが200人、シンガポールが50人、マレーシアが60人、インドネシアが300人、フィリピンが200人、ベトナムが300人、インドで1,200人となりました。
タイ政府は、11月にはワクチン接種済みの人に隔離期間なしでの入国を認めていましたが、現在はワクチン接種済みの人であっても7日間、未接種の人には10日間の隔離およびPCR検査が義務付けられています。
しかし、オミクロン株に感染した人々のほとんどが無症状および軽症であることから、2月から日本を含むすべての国において隔離なしでの入国を再開する方針です。
シンガポールにおいては、シンガポール航空グループの2021年12月の旅客数が59万人超となり、前月から倍増しました。ワクチン接種者の入国を隔離措置なしで認める「ワクチントラベルレーン(VTL)」の導入で復調しているとのことです。
インドネシアでは、観光クリエイティブエコノミー省(MoTCE)が、2022年において180万から360万人の観光客獲得を目標にすると発表しました。2021年は150万人だったため、少しでも復調させたい思いがあるのだと考えられます。
東南アジアの国々が多く加盟しているASEANと日本、中国、韓国を加えた観光大臣会合が1月19日、カンボジアで行われました。会合ではコロナ禍で各国の実施してきた施策を共有し、観光の復興に向け今後も協力していくことが確認されました。
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豪州・北米
2021年12月の豪州・北米からの訪日客は、オーストラリアが100人、アメリカが1,000人、カナダが100人、メキシコが40人でした。
オーストラリアでは、12月15日から日本及び韓国からの入国が認められました。2020年3月以来の入国緩和となります。またワクチン接種完了者に対しては、申請なしで日本への渡航が可能となりました。
アメリカでは渡航が認められていますが、現在は「渡航の再検討」の段階とされています。なおワクチン接種完了者に対しては隔離なしとなっています。
欧州
2021年12月の欧州各国からの訪日客数は、イギリスが200人、フランスが200人、ドイツが100人、イタリアが70人、ロシアが80人で、スペインは60人となりました。
欧州においては、欧州航空航法安全機構が、欧州の航空部門は2021年においてコロナ前の56%まで回復したと発表しました。2020年においてはコロナ前の70~90%まで回復するとの予測も立てています。
イギリスにおいても、高級旅行会社クオニが海外旅行について、今年春にはコロナ禍前の90%まで回復すると予測しています。
フランスについて、従来陰性証明を繰り返すことで利用可能だった「衛生パス」を、ワクチン接種者のみが利用できる「ワクチンパス」に変更します。それに伴い、2月からディスコやコンサートなどの営業緩和が行われる方針です。
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中東
2021年12月の中東地域の訪日客は、90人となりました。
イスラエルでは1月から、日本やドイツなど、オミクロン株の影響が深刻ではない国を中心に入国再開を行っています。また4回目接種も実施するとしています。
またドバイについては、トリップアドバイザーが発表した世界の観光地ランキング2022のトップとして選出されました。
2022年、インバウンド受け入れ再開の年になるか
2021年は、統計開始後最低の訪日外客数受け入れとなるなど、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた年となりました。
2022年となってからも、変異株であるオミクロン株の感染拡大を受け、入国制限緩和は当分行われないものと考えられます。
しかし世界では、徐々に入国制限の緩和を行っているところも見られます。
また日本は2020年と比較し大幅に減少しましたが、世界的に見ると、国際観光客数は増加傾向にあります。UNWTOによると、2021年の国際観光客数は前年比4%増の約4億1,500万人となりました。
日本の入国制限は厳しすぎるとの声も中東メディアからあがっており、どのように今後緩和策を練っていくのかが、インバウンド客を再度獲得する上での焦点となると考えられます。
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<参照>
・JNTO:訪日外客数
・在日フランス大使館:フランス、2月からコロナ規制緩和
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