令和4年度「観光白書」発表 ワーケーション、「第2のふるさと」、持続可能、DXなど

令和4年版の観光白書が閣議決定されました。

今年度の観光白書は、観光の動向、新型コロナウイルス感染症に向き合う観光業とこれからの課題、令和4年度に講じようとする施策の4部で構成されています。

今年度のキーワードとしては、「ワーケーション」、「第2のふるさと」、「持続可能な観光」、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」などがあげられています。

本記事では、その概要について簡単に解説します。

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令和4年度の観光白書発表

6月10日、令和4年度の観光白書が発表されました。

主な内容としては、2020年、2021年を振り返りながら新型コロナウイルス禍での取組、観光業が抱える構造的な課題とともに、今年度実施する新たな施策について記載されています。

その概要を、1部ごとにポイントをピックアップして解説します。

第I部:観光の動向

この部では、世界および日本の観光の動向について記されています。

2020年のUNWTO国連世界観光機関)が発表した「外国人旅行者受入数ランキング」において、日本は412万人を受け入れ、世界で21位、アジアで5位でした。2019年と比較すると、約2,776万人減少し、世界順位でも9位下落しています。

新型コロナウイルス禍の中で、中国が世界に先んじて国境を封鎖した影響なども加味されると思われます。

世界の観光の動向:観光白書概要より訪日ラボスクリーンショット
▲世界の観光の動向:観光白書概要より訪日ラボスクリーンショット

続いて、JNTO(日本政府観光局)によると、2021年の日本の訪日外国人旅行者数は25万人でした。

2003年にビジット・ジャパン事業が開始されて以来最低の水準となっています。

内訳では、アジアが最も多く、全体の48.5%を占めています。

また、2021年の訪日外国人旅行消費額(試算値)は1,208億円(前年比83.8%減、2019年比97.5%減)でした。

客室稼働率についても、34.5%と低水準でした。しかし、2020年の34.3%からは微増しています。

マイクロツーリズムホカンスなどの浸透や、テレワークなどでの新たな客室利用の取組がより広がったからだと考えられます。

▲日本の観光の動向:観光白書概要より訪日ラボスクリーンショット
▲日本の観光の動向:観光白書概要より訪日ラボスクリーンショット

第II部:新型コロナウイルス感染症に向き合う観光業とこれからの課題

2020年に引き続き、2021年も観光業は新型コロナウイルス禍の状況を非常に大きく受けていました。

この部では、企業や雇用に対する影響、新型コロナウイルス禍を経た新たな環境変化、デジタル化について紹介しています。

まずは企業に対する影響です。

観光関連産業では、売上高で見ると、宿泊業と、旅行業を含む生活関連サービス業の回復度合いが遅くなっています。また営業利益では、2021年後半以降はやや持ち直しの兆しもあったものの、厳しい状態に置かれています。

2021年後半は緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が解除され、秋の行楽シーズンなどと重なり一時的に持ち直した影響がでているとみられます。

2020年後半は、Go To Travelキャンペーンが大々的に実施されていましたが、2021年では県民割などキャンペーンの対象が小規模であったにもかかわらず、営業利益が回復をみせています。

▲新型コロナウイルス感染症の影響(企業の状況):観光白書概要より訪日ラボスクリーンショット
▲新型コロナウイルス感染症の影響(企業の状況):観光白書概要より訪日ラボスクリーンショット

また観光関連産業における負債比率をみると、宿泊業が他産業と比べて高い傾向にありました。

年間倒産件数でみると、宿泊業については、2021年において倒産件数が減少しました。しかし、旅行業の倒産件数は2020年、2021年に引き続き増加しています。

雇用、賃金についても2021年は2020年に引き続き減少しています。新型コロナウイルス禍の長期化に伴い、雇用などの維持が難しくなっているものだと考えられます。

観光業そのものについても、宿泊業の労働生産性(従業員1人当たり付加価値額)は、全産業平均と比べ低くなっており、改善が必要です。

▲観光産業が抱える構造的な課題:観光白書概要より訪日ラボスクリーンショット
▲観光産業が抱える構造的な課題:観光白書概要より訪日ラボスクリーンショット

続いて、新型コロナウイルス禍の環境変化についてです。

マイクロツーリズムのトレンドについては、引き続き進展していますが、今後海外旅行の進展、規制緩和に伴いトレンドが持続するかどうかは注視する必要があると、観光庁は指摘しています。

また、ゴールデンウィーク、年末年始などの繁忙期を避けるトレンドが強くあり、特にその近辺で観光客の減少率が大きくなっています。

ワーケーションについては、経験率が2020年度時点で4.3%ですが、認知率は80.5%と高まっています。

第2のふるさとづくり(何度も地域に通う旅、帰る旅)については、生まれ育った地元以外にもふるさとを持ちたいというニーズが高まっており、今後どこまで浸透していくのかが注目されます。

▲新たな交流市場(ワーケーション、第2のふるさと):観光白書概要より訪日ラボスクリーンショット
▲新たな交流市場(ワーケーション、第2のふるさと):観光白書概要より訪日ラボスクリーンショット

持続可能な観光については、世界中で旅先において持続可能な行動への意識が高まりつつあります。

Booking.comの調査によると、パンデミックの影響で今よりサステナブルに行動したいと思うようになった旅行者の割合は61%となりました。

「サステナブル」の具体的な行動については、公共交通機関の利用や、現地コミュニティでの消費、現地文化体験などがあげられています。

日本では、拝観料による文化財の保全や、地場産業の観光コンテンツの磨き上げなどが実施されています。

▲ポストコロナに向けて高まる「持続可能な観光」の重要性:観光白書概要より訪日ラボスクリーンショット
▲ポストコロナに向けて高まる「持続可能な観光」の重要性:観光白書概要より訪日ラボスクリーンショット

この部最後のトピックは、高付加価値な観光についてです。観光庁は、DXの推進や雇用者の待遇改善とも併せて新型コロナウイルス禍後に向けて推進していくとしています。

具体的な取り組みとしては、宿泊施設の高付加価値化や、観光産業の高度経営化などがあげられます。

特にDXについては、観光業では他産業と比べて進展が遅れているとして、一層支援される様子です。

デジタル田園都市国家構想(地方からデジタルの実装を進め、都会との差を縮め、世界に発信する構想)や、昨年のデジタル庁発足に伴い、一層の支援が見込まれます。

第III部:令和3年度に講じた施策、第IV部:令和4年度に講じようとする施策

ここからは、昨年度実施した施策、そして今年度の施策について、抜粋して紹介します。

まずは国内市場の開拓と、新たな交流市場の開拓です。ワーケーションなどの他に、「新たなGo Toトラベル事業」などの実施が盛り込まれています。

岸田首相も、総裁選の際に「Go To 2.0」を掲げており、新たな施策としてどのような対応が行われるのか、注目されるでしょう。

続いて、観光産業の変革です。観光産業の構造的な課題解決として、経営力の強化、そしてデジタル技術を活用した観光サービスの変革として混雑回避システムなどがあげられています。

次に、交流拡大により豊かさを実感できる地域の実現として、一地点だけでなく面的な観光地の再生の強化、地域の稼げる「看板」の創出があげられています。

最後に、国際交流の回復・質的な変革です。

地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり、持続可能な観光への取組強化、デジタルマーケティングを活用した戦略的な訪日プロモーションの実施などがあげられています。

他にも、アドベンチャーツーリズムやスノーリゾートの充実、キャッシュレス環境の整備や通信環境の整備なども取り組まれる予定です。

第IV部では、鉄道業界、航空業界など交通業界や、スポーツツーリズムなど業界別に取り組む施策が詳しく記載されています。

訪日ラボでは、これらの施策に対する補助金に関する情報なども定期的に発信しています。ぜひご覧ください。

6月10日、ついに外国人観光客の受け入れが再開したこともあり、下半期に向けて観光業の回復が期待されるでしょう。

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<参照>
観光庁「令和3年度観光の状況」及び「令和4年度観光施策」(観光白書)について

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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