観光魅力度ランキングで日本が初の1位に!日本の魅力と今後の課題

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新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、世界全体で海外旅行が制限されてきました。

日本も例外ではなく、2020年2月に入国制限や入国後の行動制限が敷かれました。2019年の訪日外客数が約3,188万人に対し、2021年は約24万人と大幅に減少しています。

しかしワクチン接種や治療法の研究が進み、そして新型コロナウイルスに対する社会的な捉え方が移り変わるにつれ、各国の入国制限や入国後の行動制限も緩和されています。

日本も6月10日から海外観光客の受け入れを解禁し、わずかながらではありますがインバウンド観光が回復しはじめています。

そうした中、世界国際フォーラムが発表した2021年版観光の魅力度ランキングで日本が初めて1位を獲得しています。

本記事では、日本の魅力と今後の課題について解説します。


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観光魅力度ランキングで日本が初めて首位に

日本は世界国際フォーラムが発表した2021年版観光魅力度ランキングで1位を獲得しました。

調査は2007年から開始されており、日本が首位を獲得するのは今回が初です。2位はアメリカ、3位はスペインと続いています。2019年のランキングではスペインフランスドイツに続いて4位でした。

観光魅力度ランキングは、大きくわけて「旅行・観光関連に効果的な環境」「旅行・観光関連の政策と状況」「インフラ(社会基盤)」「旅行・観光関連の需要喚起」「旅行・観光関連の持続可能性」の5つの領域と、各領域に付随する17項目の点数によって評価されます。

2021年から評価基準が変わり、日本については新しく加わった「旅行・観光関連の持続可能性」の項目で16位から11位に上昇したことで総合順位も大きく上がったと考えられます。

さらに、日本は2020年に開催予定だった東京五輪に向けて国や東京都が主体となってインバウンド対策に取り組んでいました。残念ながら東京五輪の開催は2021年に延期となり、訪日外国人の受け入れにも大幅な制限が設けられましたが、開催までに準備されたインバウンド対策が評価を得られたようです。

1位から10位までのランキングは以下のようになっています。

  1. 日本
  2. アメリカ
  3. スペイン
  4. フランス
  5. ドイツ
  6. スイス
  7. オーストラリア
  8. イギリス
  9. シンガポール
  10. イタリア

交通インフラの利便性が日本の魅力を底上げ

日本は多くの評価項目で2019年と比べ順位を上げましたが、特に交通インフラに関する領域は12位から3位へ大幅に順位を上げました。魅力的な観光地にするためには、優れた観光スポットも大切ですが、観光地に行くまでの交通アクセスや利便性も重要です。

日本はもともと交通インフラが充実していました。さまざまな交通手段が張り巡らされていことによって観光客の分散や隙間時間に効率よく観光できる点が高く評価されています。

上記に加え、案内板の多言語表記対応が進められたことや、SuicaやPASMOなどのICカード乗車券の登場で切符を買う手間が省かれ、利便性が高まりました。

ほかにも東京五輪開催に向けて東京都は1万枚以上の道路標識に英語表記やピクトグラムを追加して訪日外国人の方でもわかりやすいように整備しました。歩道に設置している観光客向けの案内標識を約500基増やし、約1,600基が設置されています。

注目されるサステイナブルツーリズム

「旅行・観光関連の持続可能性」という新しい評価項目が加わったのも、日本が1位を獲得できた大きな要因です。昨今、「サステイナブル(持続可能な)ツーリズム」が注目を集めています。

サステイナブルツーリズムとは、観光地のもつ本来の姿、環境、地域住民の生活、文化を持続的に保った上での観光を指します。

サステイナブルツーリズムの国内の事例としては、群馬県みなかみ町の水上ラフティングや「究極の川遊び」とも呼ばれるキャニオニングが有名です。

日本にキャニオニングを輸入したマイク・ハリス氏が代表をつとめるキャニオンズは、自然界の予測不能な環境を通じた、日常から離れた刺激的な体験を提供しつつ、これらのビジネスを通して環境・社会・経済の観点から長期的な視野で地域にポジティブな効果を還元していくことに取り組んでいます。

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デジタル化・DX化の遅れが今後の課題

これまで日本がおこなってきたインバウンド対策が海外に認められつつありますが、課題もあります。インバウンド対策における課題として大きいのが「デジタル化・DX化の遅れ」です。

日本は諸外国と比較し、デジタル化が遅れています。総務省の「令和3年情報通信白書」によると業種別へのDX取り組み状況では「宿泊業・飲食サービス業」でDX化に向けて取り組んでいる割合が16.4%だということです。「情報通信業」で51.0%、「金融業・保険業」で44.7%と比較すると非常に低い数値であることがわかります。

たとえば、日本にはキャッシュレス決済に対応していない店舗はまだ少なくありません。世界各国のキャッシュレス比率比較(2018年)では、1位の韓国が94.4%、2位の中国が77.3%、次でカナダが62.0%という結果となっています。一方、日本は10位で29.7%とキャッシュレス決済が浸透していないのが現状です。

近年のQRコード決済の急速な普及により、キャッシュレス決済に対応している店舗も増えてきてはいますが、諸外国と比較するとまだまだ発展途上といえるでしょう。

ほかにも、デジタル化が遅れていることによって飛行機やホテル、アクティビティの予約を取りづらいという問題もあります。日本の予約システムの多くは、サービスごとにサイトやシステムが異なり、目的ごとに予約をしなければなりません。中には店舗に直接問い合わせをして予約しなければならないこともあるでしょう。

日本語や予約システムに慣れていない訪日外国人の方にとって、目的ごとに予約しなければならないのはとても負担です。IT技術を使い、個人情報や予約内容を一括管理できれば負担を軽減できるでしょう。

日本の観光事業では、利便性を高めるためにもデジタル化を進めることが急務の課題となっています。

観光分野でデジタル化するメリット

観光分野でデジタル化を進めることで、たくさんのメリットを得られます。

たとえば、飲食店にタブレット式のメニューを導入することで、さまざまな言語に対応することができます。これまでは英語中国語、韓国語など言語によって別のメニュー表を用意する必要がありましたが、デジタルならいくつもの言語から簡単に選ぶことができます。さらにメニューの情報も編集できるため、メニュー表をわざわざ作り替える工程も省けます。

日本語に慣れていない方とのコミュニケーションではたびたびミスが起きてしまいます。しかし、タブレット式のメニューがあれば顧客が自分で操作して注文するため、オーダーミスのリスクも軽減できるでしょう。

ほかにも、効果的なプロモーションをかけられるメリットもあります。YouTubeSNSホテルや観光地のプロモーションをするのもデジタル化の一つといえるでしょう。

紙のパンプレットは現地や周辺地域に行かないと手に入りませんが、YouTubeSNSならインターネットがつながれば世界中どこでも閲覧できます。さらにネットを通じて簡単にシェアできるため、魅力的なコンテンツはどんどん口コミで広がっていくでしょう。

顧客管理やアンケートをデジタル化すれば、顧客のニーズを分析するのも簡単です。紙に書いて計算しなくても、細かいデータまですぐに解析してくれます。

観光分野でデジタル化を進めるのは、顧客の利便性を高めるだけでなく、店舗やホテル、観光地にとっても効率的な集客や業務改善の点においても大きなメリットがあるのです。

まとめ

日本は2021年版観光魅力度ランキングで初めて1位を獲得しました。交通インフラの充実やサステイナブル観光の点が高く評価された一方、デジタル化の点は諸外国と比較すると遅れを取っています。

特に観光業におけるDXは、国内の他産業と比較してもまだまだ低い水準です。今後はインバウンド対策として、さらなるデジタル化推進が求められるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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