サスティナブルツーリズムと「食の多様性」対応とは?飲食店・観光地域づくりの事例を紹介【セミナーレポート】

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今、世界でサスティナブルツーリズム」が注目されています。日本語で「持続可能な観光」を意味し、自然環境や伝統文化を保全するとともに、多様な旅行者を受け入れられる環境を整備することで、観光地として持続的に発展していこうという考え方です。

この「サスティナブルツーリズム」には、ベジタリアン、ヴィーガンや、ハラールへの対応など、いわゆる「食の多様性」への対応も含まれます。しかし、どのように実践すればよいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

そこで訪日ラボでは先日7月4日、「『食の多様性』対応とサスティナブルツーリズム」と題したセミナーを開催しました。

登壇者として、

  • インバウンドの動向に詳しい訪日ラボ コンサルティング事業部長 川西哲平
  • 「食の多様性」対応に詳しい専門家、フードダイバーシティ株式会社 守護彰浩氏
  • ムスリムやベジタリアン、ヴィーガンで行列ができることで知られる名古屋の老舗味噌煮込みうどん店「大久手山本屋」の青木裕典氏
  • 食の多様性対応を中心としたサスティナブルツーリズムを実践されている、人吉球磨観光地域づくり協議会の牧野恭子氏

をお呼びし、飲食店や自治体・DMOが知っておきたい「食の多様性」対応とサスティナブルツーリズムの基礎や実践方法を、成功事例とともに解説しました。

本セミナーは大好評につきアーカイブ配信を行っておりますので、ぜひご覧ください。

→ 【アーカイブ配信】「食の多様性」対応とサスティナブルツーリズムの基礎・実践方法・事例

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食の多様性/サスティナブルツーリズムとは?

食の多様性(フードダイバーシティ)とは、ベジタリアンやヴィーガン、ハラールなど、さまざまな食文化や食習慣が存在することを表した言葉です。訪日外国人の増加に伴い、日本でも食の多様性への対応が求められています。

サスティナブルツーリズムとは、日本語で「持続可能な観光」を意味し、観光地が自然環境や伝統文化を保護しつつ、多様な旅行者を受け入れられる環境を整備し、地域として持続的な発展を目指す考え方です。

食の多様性への対応は、環境保全やフードロスの削減などの観点から、サスティナブルツーリズムと高い親和性があります。

【第一部】日本の観光戦略における軸の一つとしての「サスティナブルツーリズム」

セミナー冒頭では、弊社訪日ラボ コンサルティング事業部部長の川西より、最新のインバウンド動向について解説させていただきました。

▲最新の訪日外国人数
▲最新の訪日外国人数

川西によると、サスティナブルツーリズムについては政府も積極的に押し出す姿勢を見せています。

観光庁JNTOが2023〜2025年度のインバウンドプロモーション戦略として策定した「訪日マーケティング戦略」では、「持続可能な観光の推進を念頭に事業を展開していく」とされており、観光戦略の軸の一つとして国をあげて重視する傾向が強まっています。

▲訪日マーケティング戦略
▲訪日マーケティング戦略

【第二部】「食の多様性」対応と実践方法:「違いよりも共通点を見ること」

続いて、フードダイバーシティ株式会社 守護彰浩氏より食の多様性対応について説明いただきました。守護氏は飲食店や自治体などへのコンサルティングも行っており、「食の多様性」に関するスペシャリストです。

同氏によれば、ベジタリアン・ヴィーガン・ハラール対応メニューを開発する際に意識するべきなのが、「通常メニューとの共通点を見つけること」だと言います。

▲違いよりも共通点を見ることが重要
▲違いよりも共通点を見ることが重要

例えばペペロンチーノを「食の多様性」に対応させていく場合、トッピングのベーコンをきのこに変えるだけで、他の材料はそのままに対応させることが可能です。

ベジタリアン・ヴィーガン・ハラールに特化したメニューを一から作成するのではなく、一般客にも親しみやすく、その日の気分次第で選んでもらえるようなメニューを用意するのが理想的だと解説しています。

▲ペペロンチーノの対応例
▲ペペロンチーノの対応例

【第三部】飲食店の「食の多様性」対応事例:味噌煮込みうどん大久手山本屋(愛知県名古屋市)

続いて飲食店での食の多様性対応成功事例について、「味噌煮込みうどん大久手山本屋」の青木裕典氏よりお話しいただきました。

大久手山本屋は老舗でありながら食の多様性対応に力を入れており、その結果多数のムスリムやベジタリアン・ヴィーガンが来店。昔からの常連客と外国人客が一緒にうどんを食べる光景がみられ、「老舗でも食の多様性に対応できる」ことを示す好事例として、各社メディアにも取り上げられています。

そんな大久手山本屋では、メニューにベジタリアン・ヴィーガン対応などとは表記せず、「動物性素材不使用」「旨味調味料不使用」など、一般客にも違和感なく受け入れてもらえるような表記をしています。

▲「ベジタリアン・ヴィーガン対応」とは書かない
▲「ベジタリアン・ヴィーガン対応」とは書かない

また、「ムスリム対応メニューではハラール認証を受けた材料を使用していること」「厨房はヴィーガン専用ではないこと」などを明記したムスリムフレンドリーポリシー・ヴィーガンフレンドリーポリシーといったものを用意し、来店客に安心して食べてもらえるような工夫をしているということです。

▲フレンドリーポリシー
▲フレンドリーポリシー

食の多様性対応の施策を実行に移す前は、現場スタッフとの温度差や英語での接客への不安など懸念点が多くあったものの、いざやってみるとほとんどは杞憂に過ぎなかったと話します。

また人材不足の解消にも効果があったと言い、モチベーションの高い若者の獲得にもつながったということです。

【第四部】観光地域づくりの事例:熊本県人吉球磨地域

最後に観光地域づくりの事例について、一般社団法人人吉球磨観光地域づくり協議会インバウンド事業マネージャーの牧野恭子氏よりご紹介いただきました。

人吉球磨地域では、食の多様性対応・ウェルネスツーリズム・サスティナブルツーリズムの3つを意識した観光商品の開発を行っています。

▲人吉球磨地域のインバウンド事業の取り組み
▲人吉球磨地域のインバウンド事業の取り組み

具体的な取り組みとしては、関連事業者を対象に食の多様性対応についての知識向上セミナーや、地産地消をベースとしたヴィーガンメニューの開発、事業者向けの試食会などを行っています。

実際に結果も出ており、コロナ後、ベジタリアン・ヴィーガン・ムスリム訪日外国人から予約が入り始めたということです。

▲地域の宿泊施設でヴィーガン・ベジタリアンの受け入れ実現
▲地域の宿泊施設でヴィーガン・ベジタリアンの受け入れ実現

セミナーアーカイブ配信中!

セミナーでは、ここでご紹介した内容の他にも、登壇者の皆様より具体的な対応方法や事例などについて詳しく解説いただいております。

また、セミナー終盤には視聴者の皆さまよりたくさんのご質問をいただきました。

  • 「ベジタリアン・ヴィーガンの集客は、具体的にどのプラットフォームで行ったらよいか」
  • 「スタッフの意識改革のヒント」
  • 「地域で、食の多様性対応に参画するプレイヤーをどのように増やしていったのか」

など、飲食店や自治体、DMOの皆さまが関心を寄せられている質問一つひとつに回答しておりますので、ぜひアーカイブ配信よりご覧ください。

→ 【アーカイブ配信】「食の多様性」対応とサスティナブルツーリズムの基礎・実践方法・事例

登壇者

川西 哲平(株式会社mov 訪日ラボ コンサルティング事業部 部長)


大学卒業後、新卒から通信・モバイルコンテンツ関連の業務に関わり2014年より大手通信事業者で訪日外国人向けのWi-Fiアプリケーションの立ち上げから宣伝、 販促を担当。当時未成熟市場であった訪日外国人へのプロモーションを各国で積極的に実施し、累計200万ダウンロードを突破させ当時日本で最大規模の利用者数へと成⻑させる。また、全国の自治体や官公庁へWi-Fiの接続データとGPSデータを利用したビックデータのセミナー、 広告のアライアンス・企画・販売にも従事。現在は株式会社movで大手企業や官公庁へのコンサルティングを行う。


守護 彰浩(フードダイバーシティ株式会社 代表取締役)


千葉大学卒。2006年に世界一周を経験後、2007年楽天株式会社に入社。2014年、多様な食文化に対応するレストラン情報を発信するためにフードダイバーシティ株式会社を創業。ベジタリアン、ヴィーガン、ハラール、コーシャ、グルテンフリー、アレルギーなどの事業領域にて、全国自治体・行政と連携しながら普及のための講演活動、及び集客のための情報発信を行う。2020年には総理大臣官邸で開催された観光戦略実行推進会議にて、菅総理大臣に食分野における政策を直接提言した。


青木裕典(有限会社山本屋5代目)


1990年 名古屋市出身(愛知県立瑞陵高校 中京大学心理学部卒) 2013年 大学院在学中、ITベンチャー企業 SORABITO株式会社の創業に関わり、建設機械業界のマーケティング、営業を担当。 2015年 家業である有限会社山本屋(大正14年創業)に入社し、創業100年の家業をさらに持続可能なものにしていくために、5代目としての攻めと守りをテーマに活動している。 食品、マーケティング、まちづくりの分野で名古屋大学など各大学、名古屋市役所、愛知県庁などの行政機関、クラーク国際高校や各種NPO団体での登壇、自社におけるSDGsの取り組みなども発信している。最近は特に食の多文化共生対応の重要性を発信している。趣味はHIPHOP。


牧野 恭子(一般社団法人人吉球磨観光地域づくり協議会 インバウンド事業マネージャー)



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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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