2月10日から、中国の大型連休である「春節(旧正月)」が始まります。2024年は、2月10日〜17日までの8連休となっています。
この期間は国内外へ旅行に出かける人も多く、例年訪日旅行が活発化する時期でもあります。
では今年の春節は、どのくらいの中国人観光客が日本を訪れるのでしょうか。データをもとに予測していきます。
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【予測】2024年 春節期間の訪日中国人数:コロナ前の半数にとどまる見通し
中国のオンライン旅行予約サイト・シートリップ(Ctrip:携程)の「2024年春節観光市場予測レポート」によると、人気の観光地にはタイ・日本・香港・マレーシア・オーストラリア・シンガポール・韓国が含まれるとのことです。
今年は中国国内の旅行や近場の旅行がトレンドとなっている一方で、Ctripにおける訪日旅行の受注は前年比10倍以上に増加しているとのことで、2023年と比較すると大幅に回復することが予想されています。
日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計の数値と照らし合わせても、2023年1月(前回の春節)は月間約3万人だったのに対し、同年12月(現時点の最新データ)には月間約30万人まで回復しており、「前年比10倍以上」とのCtripのデータはかなり妥当なものだと考えられます。
一方で2019年、春節があった2月は、月間約70万人もの中国人が訪日していました。そのため今年の2月は、12月の月間約30万人から多少増加したとしても、2019年の「半数」にとどまる見通しです。
人気観光地や都市圏では、すでに中国人観光客の回復を実感し始めている店舗・施設も出てきています。しかしデータが示す通り、コロナ禍前のピークまではまだ戻らないとみています。
中国人観光客数、コロナ前の水準まで戻らないのはなぜ?
訪日客数については、すでに多くの国・地域でコロナ禍前水準に近づくか、超えている状況です。そんな中で、訪日中国人の数が未だ半数以下にとどまっているのはなぜなのでしょうか。
1:国家間関係の影響
そもそも中国人観光客の数が伸び悩んでいる背景には、次のような政策がありました。
- 中国側が「ゼロコロナ政策」を実施(〜2022年12月ごろ)
- 日本側が中国向けの水際対策を再強化(2023年1月〜4月)
その後、日本側が水際対策を撤廃、中国が団体旅行を解禁と、段階的に両国間の往来が自由化されてきました。
しかし、福島第一原発の処理水海洋放出に中国側が反発する、いわゆる「処理水問題」が2023年8月ごろから起こりました。これを機に訪日中国人観光客が微減となり、未だ完全には戻ってきていない状況です。
2:航空便の回復遅れによる影響
「処理水問題」が一定の落ち着きをみせた現在では、航空便数が戻っていないことが、訪日客数の回復遅れにつながる大きな要因となっています。
国土交通省のデータを見ると、国際線全体では2019年比84.9%まで回復している中で、中国の旅客便に絞ると2019年比46.7%となっており、回復が遅れている様子がうかがえます。
航空便の回復が遅れると航空券が取りにくく、代金も高くなる傾向にあるため、訪日客数がなかなか回復しません。
一方で、今訪日している層は「富裕層」を含む比較的裕福な層であることから、現在の訪日中国人観光客の消費単価は約32万円と、平均の約21万円を大きく上回っています。消費額についてはある程度期待ができるでしょう。
関連記事:国際線冬ダイヤ、コロナ前「84.9%」まで回復 中国便は46.7%にとどまる
春節期間の訪日客は「多様化」へ
中国人観光客の数がコロナ禍前の約半数にとどまる見通しとなる中で、日本経済新聞(以下、日経)は2024年2月8日付で、『「春節商戦」訪日客が多様化 中国人半減、東南アが補う』と題した記事を公開しています。
実際にデータを見てみると、日本を訪れる国・地域の比率が明らかに変化していることがわかります。元々1位であった中国が、韓国、台湾、そして東南アジア諸国に抜かれ、4位に後退しています。
最も2019年春節からの増加幅が大きくなると予想されるのは、東南アジア諸国。香港も7万人程度増加する見通しです。
特に香港やシンガポール、インドネシアでは、2023年12月の訪日外客数が単月過去最高となっており、訪日旅行がコロナ禍前以上に人気となっていることがうかがえます。
日経の報道の通り、春節期間の訪日観光客は中国だけではなく、「多様化」すると言えそうです。
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<参照>
携程研究院(シートリップ研究所):“南北互换”是春节热门 这些地儿值得反向游
国土交通省:国際線就航状況(2023年)
日本経済新聞:「春節商戦」訪日客が多様化 中国人半減、東南アが補う
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