欧米や韓国、中国、台湾など訪日客の多い国では、日本よりもはるかにキャッシュレス決済が進んでいます。
クレジットカードなどのキャッシュレス決済への対応は、インバウンドの受け入れ環境整備として欠かせません。
しかし、キャッシュレス決済に対応するにはどうすればよいか分からない場合も多いようです。
本記事ではインバウンド対策としてマストともいえるキャッシュレス決済への対応について、詳しく解説します。
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インバウンド市場の回復状況は
インバウンドは新型コロナウイルス感染拡大により大きな影響を受けましたが、水際対策が撤廃され、本格的に訪日客が戻ってきています。
2023年は年間2,500万人ペースで回復
2023年3月に閣議決定された「観光立国推進基本計画」では、2025年にインバウンド客数をコロナ前の水準(年間3,200万人)に戻すことが目標として掲げられています。
8月には中国の訪日団体旅行も解禁され、中国インバウンドの本格回復も期待されています。ただし福島第一原発の処理水放出に対して中国側が反発し、一部の過激派からは「日本旅行一時停止」の提言も出てきています。
今後の動向に注視が必要ではありますが、訪日ラボでは2023年の訪日客数が「年間2,500万人ペース」となり、2016年並みの水準にまで回復すると見込んでいます。
急速に回復するインバウンド需要に対応するため、今からインバウンド対策を進めておくことが重要です。
2023年はインバウンド消費額5.3兆円
訪日外国人消費動向調査によると、2023年のインバウンド消費額は、5.3兆円となりました。
円安による影響に加え、コロナ禍を理由に購買行動を一時的に控えていた需要が、一気に回復したことなどが背景として挙げられます。
<参照>
インバウンド対策にキャッシュレス対応はマスト
インバウンド対策には免税対応や多言語対応など、さまざまな施策があります。なかでも必ず取り組みたいのが「キャッシュレス対応」です。その理由を解説します。
中国と韓国のキャッシュレス決済比率は80%以上
一般社団法人キャッシュレス推進協議会の調査によれば、2020年時点でのキャッシュレス決済比率は、韓国が93.6%で、中国が83.0%と高い水準となっています。
すでに中国や韓国、香港、台湾などの東アジア、そして欧米諸国ではキャッシュレスが一般的です。
いっぽう現金しか使えないお店も多い日本のキャッシュレス決済比率は、わずか29.8%にとどまっています。ATMの数の多さや、銀行やコンビニで簡単に現金を下ろせることなどから、日本ではキャッシュレス決済がなかなか普及していません。
キャッシュレス決済が普及している国からやってくる旅行者にとって、日本のキャッシュレス環境は不便に感じることが少なくありません。インバウンド客を取り込むなら、キャッシュレス対応はマストといえます。
国によって好みのキャッシュレス決済は異なる
キャッシュレス決済にはさまざまな種類があります。国によって普及しているキャッシュレス決済は異なるため、それぞれの特徴を理解しておく必要があります。
中国:Alipay、WeChatPay、銀聯カード
中国人観光客の多くは、AlipayやWeChatPayといったQRコード決済を利用。または、「銀聯(ぎんれん)カード」というデビットカードを使用しています。デビットカードは紐づけられた銀行口座から、利用金額が即時引き落とされる「即時決済」が特徴です。
PayPayがAlipayと、LINE PayがWeChatPayと提携するなど、日本のQRコード決済サービスと中国大手サービスとの相互利用も進んでいます。
韓国:クレジットカードとデビットカード
韓国ではクレジットカードが一般的ですが、デビットカードを持つ人も増えてきています。
韓国人観光客の多くがVISAなどの国際ブランドに対応したデビットカードを持っているため、国際ブランドのデビットカード決済にも対応しておくとよいでしょう。
また、モバイル決済で使われるものとしては、Kakao Payがあります。
台湾:クレジットカードをメインにLINE Payも
台湾では、日本のように現金とクレジットカードが主流。台湾国内のモバイル決済としては街口支付(JKOPAY)などもありますが、最近では若年世代を中心にLINE Payも普及してきているようです。
SNSとしてLINEを利用している人が多く、その決済手段であるLINE Payがスマホ決済として高いシェアを誇っています。
日本のLINE Pay加盟店で支払いができるほか、LINE PayとPayPayは相互で提携しているため、PayPay加盟店であればLINE Payが利用できることを案内するとよいでしょう。
香港:クレジットカード
香港でも日本と同様に現金とクレジットカードが主流ですが、高所得者はクレジットカードで、低所得者は現金で支払う傾向がみられます。
また香港ではコロナ禍以降、急速にキャッシュレス決済比率が向上しています。
AlipayやWeChatPayのほか、交通系IC「八達通(オクトパスカード)」が普及していますが、オクトパスカードは日本ではサービスを提供していません。
欧米:クレジットカードのタッチ決済
欧米からの訪日客は、日本での決済の半分程度を現金で行っています。
クレジットカードも普及しており、さらにタッチ決済やスマホウォレット(Apple Pay、Google Pay)も人気です。
欧米からの訪日客を集客するためには、クレジットカードのタッチ決済に対応しておくのが良いでしょう。
タイ:独自スマホ決済をメインにLINE Payも
キャッシュレス決済比率80%を超えるタイ。政府がスマホ決済「Prompt Pay」を後押ししたことで、一気にキャッシュレス決済が進みました。
特に交通カード「Rabbit」と連携したRabbit LINE Payが大きなシェアを誇っており、台湾のLINE Payと同様、日本のLINE Pay加盟店とPayPay加盟店での決済が可能です。
インバウンド対策としてクレジットカードを導入する方法
インバウンドを少しでも取り込んで売上アップを狙うなら、事業の規模にかかわらずキャッシュレス決済を導入する必要があるでしょう。
インバウンド客も利用できるキャッシュレス決済を導入するためには、キャッシュレス決済の代行会社を利用するとスムーズです。多くのキャッシュレス決済代行会社が存在するため、お店に向いている支払い方法や決済サービスを選ぶ必要があります。
店舗で対面販売を行うなら対面決済に対応する代行会社を、ネットや宅配でEC販売も行うなら後払いやコンビニ払いなどオンライン決済ができる代行会社を選ぶとよいでしょう。
決済サービスは、国際ブランドであるVISAやMasterCard、American Expressなどのクレジットカード決済は導入するとよいでしょう。さらに種類が豊富な電子マネー決済やQRコード、バーコード決済にも対応すれば、会計作業を簡略化でき、生産性を高められます。
決済端末についても、レジ横で固定して使う据え置き型や、コードレスで使えるポータブル型、スマホ・モバイル型など、お店の構造や営業スタイルに合わせて選びましょう。
なお初期費用や月額費用、システム利用料などの費用は代行会社によって異なるため、注意が必要です。
キャッシュレス決済への対応でインバウンド需要を掴む
クレジットカードなどキャッシュレス決済の導入は、免税対応や多言語対応などと並ぶ、重要なインバウンドの受け入れ環境整備のひとつです。
韓国や中国、欧米など訪日客が多い国は、現金使用が根強い日本よりもはるかにキャッシュレス決済が進んでいます。
インバウンド需要を確実に取り込むためには、キャッシュレス決済への対応はマストだといえるでしょう。
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