中国の「中秋節(ちゅうしゅうせつ)」は、旧暦8月15日に満月を鑑賞し、豊作や家族の幸福を祈る伝統的な祝日です。この期間を利用し、日本にも多くの観光客がやってくることが考えられます。
この記事では、中秋節の概要や過ごし方、インバウンド動向や対策についても詳しく解説します。
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中国の伝統行事「中秋節」とは?
中秋節は中国を起源にアジア各国へ広がった、五穀豊穣を祈る伝統行事です。「月拝祭」とも呼ばれ、日本人になじみのあるお月見に似た風習として知られています。
旧暦8月15日の夜は1年で最も月が大きいうえに明るく、この満月の日に、人々は故郷や愛する人を思い浮かべながら豊作と幸福を祈ります。
この風習の起源は古代にさかのぼり、漢の時代に徐々に広まりました。唐の時代初期に「中秋節」として確立され、宋の時代以降にはさらに盛んになりました。現在では中国本土だけでなく、台湾やベトナム、韓国などでも祝われています。
日本でいうと何の日?
日本では、旧暦8月15日の夜は「十五夜」として知られます。「中秋の名月」とも呼ばれ、美しい秋の満月を愛でる日です。十五夜は平安時代に中国から伝わった「中秋節」が由来といわれています。
十五夜には、ご先祖様の供養と五穀豊穣の意味が込められ、さまざまなお供え物が用意されます。たとえばススキは稲に見立てて飾り、豊作を祈ります。豆や芋、月見団子は月に見立て、食べたり供えたりします。
2024年の「中秋節」はいつ?
中秋節は旧暦8月15日にあたりますが、新暦では毎年日付が異なります。
2024年の中秋節について、中国では9月15日(日)から17日(火)の3日間が休暇で、その代わり9月14日(土)は振替で出勤日になります。
一方、台湾の中秋節は9月17日(火)で、公休日は1日だけ。また、韓国の秋夕(チュソク)は9月16日(月)から18日(水)までの3日間で、土日を含めると5連休となります。同じ中秋節でも国によって日程が異なります。
中秋節の過ごし方
中秋節の過ごし方は、国や地域によって異なります。ここでは、その一例を紹介します。
中国
中国では中秋節を「団らん節」と呼ぶこともあります。家族で集まり月餅をお供えして、満月を鑑賞しながら過ごすのが慣習です。月餅の他にも、カボチャやタニシ、サツマイモ、柑橘類のザボン、八宝鴨、板栗鴨などの伝統的な食べ物が並び、家族の絆を深めながら豊作と幸福を祈ります。
香港
香港では塩漬け卵黄や、アイスクリームを使った月餅が人気です。ある地域では、街中がランタンで彩られ、ファイヤードラゴンダンスが行われます。火龍が街を練り歩き、伝統的なパフォーマンスが祭りの見どころです。
台湾
台湾では、中秋節は家族で盛大に祝う伝統的な行事です。月餅や、果物の「文旦」を食べたり、贈り合ったりします。最近では若者を中心に、バーベキューを楽しむこともあります。
関連記事:中秋節、台湾ではどう過ごす?風習や欠かせないお菓子「月餅」も紹介
韓国
韓国では、中秋節は「秋夕(チュソク)」とも呼ばれ、親戚が集まり墓参りを行います。秋の収穫を祝う意味もあり、松餅(ソンピョン)を作り、茶礼(チャレ)と呼ばれる儀式で先祖に感謝を捧げます。
マカオ
マカオの中秋節は、大通りなどがカラフルなランタンで飾られ、祭りで盛り上がります。家族の団らんを大切にする日でもあり、親戚や家族同士で月餅を贈り合って楽しみます。
ベトナム
ベトナムで中秋節は「子どもの祭り」「集まりの祭り」「月見」などとも呼ばれ、中秋節の1か月前からカラフルな提灯が街を彩ります。家族や友人と月餅を贈り合い、集まりを祝います。当日は月見をしながら家族で過ごすのが一般的です。
シンガポール
シンガポールでは、家族や友人と提灯を持ち歩き、月見パーティーを楽しむ慣習があります。チャイナタウンには大きな灯籠が飾られ、多くの観光客が訪れて大いに盛り上がります。月餅の贈り物も盛んです。
タイ
タイでは「ムーンフェスティバル」として祝われ、家族で集まって月餅を食べます。中秋節の定番といえば月餅ですが、タイではドリアン月餅などユニークな月餅も人気のようです。
中秋節のインバウンド動向と対策
中秋節にインバウンド客を取り込むためにも、中秋節期間のインバウンド動向と対策についておさえておきましょう。
中秋節のインバウンド動向
中秋節は「国慶節」ほどの規模ではないものの、中国だけでなく韓国や台湾でも旅行需要が高まる時期として知られています。
中秋節の期間を利用して旅行に出かける層は多く、日本にも多くの人がやってくることが考えられます。
日程が近く、合体しがちな大型連休「国慶節」と合わせた訴求を
中国では2023年に中秋節と国慶節が重なって9月29日(金)から10月6日(金)の8連休となり、多くの中国人観光客が日本を訪れました。
日本行きの海外旅行制限措置が8月10 日付で撤廃となったほか、日本と中国双方の水際規制緩和、地方路線の復便などもあり、2023年9月における訪日中国人数は32万5,600人を記録しました。コロナ禍前の2019年の4割程度の回復率ではあるものの、この大型連休に集中して多くの中国人が訪日しています。
中秋節と国慶節は日程が近いため、インバウンド対策は国慶節と連動したアプローチが重要です。
中国人集客には、口コミサイトやSNSの活用が有効です。McKinsey&Companyの「中国消费者报告2021」によると、中国人の4人に3人がネットの口コミを参考にしており、インターネット上の口コミの重要性がわかります。
ただし中国ではGoogleやInstagramの利用が制限されているため、中国国内で使われている口コミサイトやSNSを活用しましょう。より詳しい集客方法については、「訪日中国人の集客方法をわかりやすく解説!中国人も重視する『口コミ』を活用するには?」の記事で解説しています。
<参照>
McKinsey&Company:中国消费者报告2021
中秋節以外にもある中国の祝日
中国には中秋節以外にもさまざまな祝日があります。ここでは主要な祝日について紹介します。
春節
中国で最も重要なイベントのひとつとして知られる「春節」は、旧暦の正月(旧正月)です。2024年の春節は2月10日(土)から17日(土)の8連休でした。家族で集まり新年を盛大に祝います。海外旅行や訪日客が増える時期でもあります。
関連記事:2024年の「春節」はいつ? 2月に迫る中国の大型連休 春節に向けたインバウンド対策はいつからやるべき?
清明節
「清明節」は祖先を供養する日で、お墓参りが行われます。旧暦3月の春分の日から 15日目にあたる節句で、2024年の清明節は4月4日(木)から6日(土)。3日間の法定休日です。
関連記事:中華圏お盆の"清明節"とは?美しい色とりどりの食事を紹介、台湾・沖縄バージョンとの共通点を解説
労働節
2024年の「労働節」は5月1日(水)から5日(日)の大型連休となり、日本のゴールデンウィークとも一部日程が重なりました。5月1日は世界各国で「労働者の祭典」として祝日とする国が多く、「メーデー」と呼ばれ、労働者を称えるイベントが行われます。多くの人が中国国内外で旅行やレジャーを楽しみます。
関連記事:中国の連休「労働節」5/1開始、日本も注目の目的地に
端午節
「端午節」は旧暦5月5日に行われる伝統行事で、2024年は6月8日(土)から10日(月)に祝われます。各地で開催されるドラゴンボートレースや、ちまきを食べることなどが特徴で、中国全土で盛大に行事が行われます。
関連記事: 中国の「端午節」とは?日本の端午の節句との違いを徹底解説
国慶節
「国慶節」は中国の建国記念日で、例年建国を祝って北京の天安門広場では国旗が掲揚され、10年ごとの節目には軍事パレードが行われます。2024年は10月1日(火)から7日(月)の1週間が祝日となります。
関連記事:2024年「中国国慶節」はいつ?10月の大型連休に向け、中国インバウンドの最新動向を解説!
来年の中秋節に向けて適切なインバウンド対策を
中秋節は中国をはじめとするアジア各国で祝われる重要な伝統行事です。各地域の過ごし方に違いはあるものの、満月を愛で、家族や故郷に思いを馳せるという点は共通です。
中秋節と国慶節が連続して大型連休になることもあり、訪日客を取り込むためにも適切なインバウンド対策を実施したいところです。たとえば中国人はSNSや口コミサイトの影響力が強いため、その点を意識したアプローチを狙っていくべきでしょう。
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<参照>
日本政府観光局:外国旅行の動向(香港)
日本政府観光局:訪日外客数(2023 年 9 月推計値)
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