大阪観光局が観光関連データを無償で公開、インバウンド誘客にどう活かす?

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2024年8月、大阪観光局は観光関連データプラットフォーム「大阪観光DMP(Data Management Platform)」の無償版を公開しました。データに基づく観光戦略策定とPDCAサイクルの普及を目指し、観光関連データの一元化と可視化を実現するためのもので、誰もが自由に閲覧可能です。

大阪だけでなく京都や奈良などの周辺地域を観光する訪日外国人も多くいることから、周辺の事業者にとっても有益なデータとなるはずです。この記事では「大阪観光DMP」で閲覧できるデータの種類や、データの活用例を紹介します。


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大阪観光局が大阪観光DMPの無償版を公開

▲大阪観光DMPトップページ

大阪観光局は2024年8月、「大阪観光DMP」の無償版を公開しました。「大阪観光DMP」はデータに基づく戦略的な観光マーケティングの推進のために、2018年から運営されてきたプラットフォームです。無償版公開により、観光関係者や企業は大阪の観光データを自由に閲覧・活用できるようになりました。

2025年4月から大阪・関西万博が開催される予定で、万博期間中には海外来場者が350万人に上ると予想されています。大阪観光DMPは万博による観光効果を最大化させるためにも、有効なツールとして期待できます。

関連記事:大阪万博の来場者数は?海外からは「350万人」と予想、残された課題と対策とは

大阪観光DMPで閲覧できるデータ

大阪観光DMPでは、ウェブサイト・アプリなどの分析データや大阪観光局による調査結果を閲覧でき、大きくは「ウェブサイト分析」「アプリ分析」「施策検討」の3つのページからサイトが構成されています。それぞれどのようなデータが閲覧できるのでしょうか。

1. 【ウェブサイト分析】大阪観光関連サイトのユーザー数やページ別・言語別アクセス数

まず、ウェブサイト分析では、「OSAKA-INFO」「周遊パス」 「EnjoyRally 」「大阪フィルム・カウンシル」の4つのサイトに関するデータを閲覧できます。

データを閲覧するときは、まずページ上部の「サマリー」「サイト別」「ページ別」のボタンから閲覧したいデータを選択します。さらに、ウェブサイト部分のプルダウンを変更することで対象のウェブサイトを選べます。

▲ウェブサイト分析>サマリー

たとえば「サマリー」のページでは、各ウェブサイトのページビュー数(PV)やユーザー数(UU)、セッション、言語別のページビューなどを確認できます。

▲ウェブサイト分析>サマリー

また「サイト別」ページでは、各サイトの詳細なデータを閲覧可能。日ごとのユーザー数やページビュー数、平均閲覧時間、会員登録完了数などを確認できます。画面右側のチェックボックスで言語を選択すると、言語別のユーザー数やページビュー数などが閲覧可能です。

▲7月1日に「OSAKA-INFO」のサイトに訪れたユーザー数は1万85人で、1人あたり1.61ページを閲覧していることが確認可能

ほかにも「言語別アクセス数」や「月別ユーザー分析」「参照元分析」「流入キーワード」を調べられます。たとえば「月別ユーザー分析」では男女別や年代別のアクセス数が確認できます。

▲ウェブサイト分析>サイト別>月別ユーザー分析

「ページ別」のページでは、人気ページランキングをサイトごとに確認できます。言語別のランキングも調べられるので、ターゲットを絞ったインバウンド対策にも活用できそうです。

▲ウェブサイト分析>ページ別

2. 【アプリ分析】「Discover Osaka」のユーザー数やユーザー属性

▲アプリ分析

続いては「アプリ分析」のページです。アプリ分析のボタンをクリックすると、大阪観光のお役たち情報アプリ「Discover Osaka」のデータを閲覧できます。Discover Osakaは大阪府内の観光スポットやイベント情報、目的地への経路検索、天気や防災情報を配信しているアプリです。

Discover Osakaのユーザー数や、ユーザーの性別・年齢・居住国などのデータが公開されています。東アジア欧米豪、ヨーロッパ各国はもちろん、東南アジア北米、南米、アフリカなど幅広い居住国のデータを確認できます。

▲アプリ分析

3. 【施策検討】国籍別の人気ルートや訪れた場所 etc.

▲施策検討

最後に、「施策検討」のページからは、大阪観光局が実施した調査の結果が見られます。2024年9月現在、下記の5つの調査結果が公開されています。

  • 【訪日】関空出口調査(2023年度〜)
  • 【訪日】関空出口調査(〜2019年度)
  • 【訪日】消費動向調査(観光庁) 
  • 【国内】観光パラメータ調査
  • 【国内】施策検討

「【訪日】関空出口調査」と「消費動向調査(観光庁)」は訪日外国人を対象とした調査、「観光パラメータ調査」と「施策検討」は日本人を対象とした調査です。

インバウンド施策に活用できそうなのが「【訪日】関空出口調査」と、「消費動向調査(観光庁)」です。「【訪日】関空出口調査」は関西国際空港を利用した外国人を対象に実施した出口調査で、彼らが訪問した地域や人気の観光ルート、宿泊施設の種類、宿泊日数、旅行の目的などが公開されています。

▲施策検討>【訪日】関空出口調査

さらに、旅行において重視するポイントや、旅行中に使った金額、購入したものなどの情報もまとめられています。また、これらの情報と訪日外国人の国籍をクロス集計したデータも閲覧可能です。

▲【訪日】関空出口調査(2023年度〜)>施策検討>クロス集計(1)

「消費動向調査(観光庁)」では官公庁による、2013年以降の訪日外国人の消費動向調査結果にアクセスできます。訪日外国人の旅行目的にくわえ、旅マエ旅ナカの情報収集手段、旅行の手配方法などの調査結果を確認できます。

「稼ぐ観光」を実現するために、大阪観光DMPをどう活かす?

大阪観光DMPで得られたデータは、閲覧するだけではなく、施策に落とし込むことでより価値を発揮します。「稼ぐ観光」を実現するために、どのようにデータを活用すれば良いのか紹介します。

多言語対応、ヴィーガン(ベジタリアン)・ハラルなどの受け入れ対応

大阪観光DMPでは、各種ウェブサイトにおける言語別のアクセス数や、「Discover Osaka」の居住国別ユーザーデータを閲覧できます。

たとえば、「OSAKA-INFO」のサイト内にある通天閣のページのデータを見ると、簡体字よりも繁体字のほうが5倍ほど見られているようです。この結果から、通天閣周辺の観光事業者は、中国人よりも台湾人や香港人に向けた施策を実施すると効果的な対策が実現できるといえそうです。

このような情報を把握し、ターゲットに合わせた多言語対応や受け入れ対応を実施することで、効果的なインバウンド集客が可能になります。

▲ある期間における通天閣のページのページビュー数。簡体字が1,587PVで、繁体字が7,276PV

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SNSでの情報発信

SNSはいまや日常生活に欠かせないツールで、大阪観光DMPに掲載されている「消費動向調査(観光庁)」を見ると、旅マエ旅ナカに、SNSで情報収集する訪日外国人が多いことがわかります。

上記にくわえ、訪日外国人の興味関心や旅行のルートなどを確認可能。これらの情報に基づき、SNSで情報発信することで、インバウンド対策に活用もできそうです。 

たとえば、旅ナカには交通手段や飲食店の情報のニーズが高まる傾向にあるため、お店へのアクセス情報や店内の雰囲気・料理の写真などをSNSで投稿してアピールする方法が考えられます。 

▲施策検討>消費動向調査(観光庁)

関連記事:外国人はどんなSNSを使っている? ユーザー数ランキングと注意点について

客室プランの設計やアメニティの充実

旅行目的や滞在期間によって選ばれる宿泊施設は変わります。大阪観光DMPに掲載されている「【訪日】関空出口調査」では、訪日外国人宿泊施設種類と平均宿泊日数、旅行目的などを把握できます。

▲【訪日】関空出口調査(2023年度〜)

このようなデータを活かし、最適な客室プランを設計できます。たとえば、短期滞在者が多い地域ではコンパクトな客室を多く用意したり、ゲストハウスのような宿泊施設のニーズが高い地域では安い宿泊料で宿泊者同士が交流できるイベントを開催したり。

また、観光客の属性や旅行目的に合わせ、アメニティを工夫するのもひとつの手です。たとえば女性観光客の多い地域では美容グッズを、ファミリーが多い地域では子ども向けのアイテムを充実させることで、満足度の向上につながり、口コミなどを通じて海外のユーザーへの認知度を高められるはずです。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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