高徳地図(amap)は、中国で多くの人に使われている地図アプリです。提携するパートナー企業が多く、日常生活のさまざまな面で利用されています。
この記事では、高徳地図(amap)の概要や使い方を、実際の画面とともに紹介します。さらに、訪日中国人が実際の情報収集でどのようなツールを利用しているのかも解説します。
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高徳地図(amap)とは
「高徳地図(amap)」は、中国の代表的なIT企業「アリババグループ」が運営している地図アプリです。中国国内に限らず200以上の国と地域でリアルタイムの位置情報サービスを提供しています。
さらに地図・ナビゲーション機能だけでなく、複数のパートナー企業と提携し、ネット配車サービスや、飲食・娯楽・旅行など生活に関わるさまざまなサービスを展開しており、中国で日常生活を送るうえで欠かせないアプリとなっています。
利用者層とユーザー数
高徳地図(amap)の2022年6月の月間アクティブユーザー数は、中国の調査会社「向普コンサルグループ」の調査報告書によると7.2億人となっており、同じ地図アプリである百度地図の5.2億人よりも多くなっています。
利用者層は幅広く、若年層だけでなく高齢者層も使っているようです。高齢者層向けには、アプリのフォントを大きく設定できたり、階段や急坂を回避し、車椅子対応エレベーターなどバリアフリー設備のあるルートを優先して案内する「バリアフリーナビゲーション」の機能を提供したりするなどの工夫もされています。
「百度地図」との違い
百度地図は、百度(バイドゥ)が提供している地図サービスで、高徳地図に次ぐシェア率を誇ります。直感的に使用できるUI(ユーザーインターフェース)が人気ですが、一方の高徳地図(amap)は「提携企業が多い」のが強みです。
高徳地図では旅行のホテル予約やチケット購入などがワンストップで完結できたり、配車依頼の際に中国で普及しているQRコード決済アプリ「Alipay」によってアプリ内決済ができたりと、さまざまな面で役立つ機能が揃っています。
実際の画面や使い方
高徳地図(amap)の使い方は、基本的にはGoogleマップの使い方と同様です。
現地からの距離や移動方法を調べる場合には、ホーム画面中央にある検索バーに目的地を入力すると候補が出てくるので、道順を知りたい場合は地名の右にある「路线(ルート)」と書いているアイコンをタップします。
上部に目的地までの交通手段が表示されるので、使いたい交通手段を選んでルートを確認しましょう。
「驾车(ドライブ)」では車でのルートを確認できます。下部に表示された複数のルートから選択して「开始导航(ナビゲーションを開始)」ボタンをタップするとナビゲーション機能が開始されます。
「歩行」では、徒歩のルートを確認できます。車の場合と同じく複数のルートが表示されますが、天気予報も表示されるのが特徴的です。
「公交(公共交通)」では、公共交通機関を使うルートを確認できます。最適なルート順に距離や所要時間、運賃などが表示され、ひとつ選ぶと詳細なルートを確認できます。
そのほか、「骑行(自転車で行く)」で自転車でのルートを確認できるほか、「打车(タクシーに乗る)」では、タクシーやライドシェアを配車できます。タクシー・ライドシェアの車種や推定運賃が表示されるため、右側のチェックボックスでいくつか使いたいものを選択し、「立即打车(今すぐタクシーに乗る)」をタップするとタクシーを呼ぶ画面に遷移します。
店舗・施設の登録:日本の電話番号では登録不可
高徳地図(amap)について、日本に居ながらでもアプリのインストールや検索は可能です。
ただし店舗や施設を登録するには、アカウントを作成する必要がありますが、現状日本の電話番号のスマートフォンでは登録できません。アカウント作成には中国の電話番号のスマートフォンか、中国電話番号付きのSIMカードが必要です。
中国の電話番号があり、アカウントを作成できれば、ログイン後に店舗名や住所・電話番号・営業時間などを登録できます。
中国人は訪日旅行情報をどんなツールで調べている?
高徳地図(amap)は高いシェアを誇る一方で、現状は日本の電話番号で店舗・施設登録ができないため、インバウンド対策として活用するのはまだ難しい状態。日本側の情報が充実していないことから、中国人もまだ高徳地図を日本旅行の情報収集には使用していない状況なのではないかと考えられます。
では、ほかに訪日中国人はどのようなツールを使用しているのでしょうか。中国では政府の規制によってGoogleやInstagramなどの海外ツールを利用できないため、訪日中国人が実際によく使用する独自の口コミサイトやSNSを把握しておきましょう。
1. 口コミサイト
中国人は旅行や買い物の際、口コミを重視しています。McKinsey&Companyが報告した「中国消费者报告2021」によると、中国人の4人に3人が「ネットの口コミを気にする」と回答しています。
特に訪日中国人の2人に1人が利用している「大衆点評」や、世界最大級の旅行コミュニティサイトである「トリップアドバイザー」などは注目しておきたいところです。
大衆点評は中国最大級の口コミサイト。日本国内では「中国版食べログ」とも呼ばれ、飲食店だけでなく宿泊施設や観光施設などが掲載されています。日本だけでも90万店舗以上が登録されており、訪日中国人の集客ツールとして注目を集めています。
トリップアドバイザーは毎月4億9,000万人ものユーザーが利用しており、世界的なオンライン旅行サイトとして知られています。870万軒を超える施設が登録されており、旅行者は寄せられた多くの口コミを参考に予約できます。
関連記事:訪日中国人の2人に1人が使う「大衆点評」プロモーション活用のポイントは【訪日ラボ中国人スタッフが解説】
2. SNS
訪日中国人の集客に向けて、中国独自のSNSの活用も有効です。
なかでも、中国人に向けた訪日プロモーションの際に注目したいのが、次の3つのSNSです。
- RED
「Weibo」は中国版X(旧Twitter)とも呼ばれる、中国国内最大のソーシャルメディアです。基本的には短文のミニブログとして運用可能で、そのほかにも「アリペイ」と提携したキャッシュレス決済の機能も搭載されています。
関連記事:中国最大のSNS「Weibo」をインバウンド集客に活用するには?
「WeChat」はメッセンジャー機能を備えた、マルチサービスアプリです。チャット機能やタイムライン機能だけでなく、生活に不可欠となっている「WeChat Pay」という決済機能も搭載されています。
関連記事:WeChat(微信/Weixin)とは?機能や登録方法、広告出稿をまとめて解説
「RED」(小紅書)は中国版Instagramとも呼ばれ、ショッピング機能も搭載されています。特にトレンドに敏感な若い世代の女性が多く利用しており、情報収集には必須ともいえるツールとなっています。
関連記事:中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別公開!
中国で今使われているサイト・アプリの情報を押さえておこう
以上、「高徳地図(amap)」の情報から、訪日中国人が利用する口コミサイト・SNSまで解説しました。
現在はまだ高徳地図を日本旅行の際に利用している中国人は少ないのではないかと考えられますが、中国のトレンドはすぐ移り変わるため、数年後には高徳地図が旅行情報収集の主流となっている可能性も、全くないとはいえません。
「今使われている」サイトやアプリ以外に、「これから使われるかもしれない」ものも含めて、最新のトレンドを把握しておくとよいでしょう。
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