高徳地図(ガオドゥマップ / amap)は、中国で多くの人に使われている地図アプリです。提携するパートナー企業が多く、日常生活のさまざまな面で利用されています。
この記事では、高徳地図の概要や使い方を実際の画面とともに紹介した上で、インバウンド対策としての活用方法まで解説します。
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高徳地図(amap)とは
「高徳地図(amap)」は、中国の代表的なIT企業「アリババグループ」が運営している地図アプリです。中国国内に限らず200以上の国と地域でリアルタイムの位置情報サービスを提供しています。
さらに地図・ナビゲーション機能だけでなく、複数のパートナー企業と提携し、ネット配車サービスや、飲食・娯楽・旅行など生活に関わるさまざまなサービスを展開しており、中国で日常生活を送るうえで欠かせないアプリとなっています。
利用者層とユーザー数
高徳地図は、2024年6月には月間アクティブユーザー数が8億人を突破しており、中国国内でナンバーワンのシェアを誇っています。
特にナビや交通情報が充実していることから、カーナビとしても活用されていてドライバーや若者を中心に人気を集めています。
また高齢者向けに、階段や急坂を回避し、車椅子対応エレベーターなどバリアフリー設備のあるルートを優先して案内する「バリアフリーナビゲーション」の機能が搭載されており、幅広い年代から親しまれているようです。
「百度地図」との違い
百度地図は、百度(バイドゥ)が提供している地図サービスで、高徳地図に次ぐシェア率があります。直感的に使用できるUI(ユーザーインターフェース)が人気ですが、一方の高徳地図は「提携企業が多い」ことが強みです。
高徳地図では旅行のホテル予約やチケット購入などがワンストップで完結できたり、配車依頼の際に中国で普及しているQRコード決済アプリ「Alipay」によってアプリ内決済ができたりと、さまざまな面で役立つ機能が揃っています。
関連記事:中国の地図アプリ「高徳地図」と「百度地図」の違いを解説!日本では使える?
実際の画面や使い方
高徳地図(amap)の使い方は、基本的にはGoogleマップの使い方と同様です。

現地からの距離や移動方法を調べる場合には、ホーム画面中央にある検索バーに目的地を入力すると候補が出てくるので、道順を知りたい場合は地名の右にある「路线(ルート)」と書いているアイコンをタップします。
上部に目的地までの交通手段が表示されるので、使いたい交通手段を選んでルートを確認しましょう。

「驾车(ドライブ)」では車でのルートを確認できます。下部に表示された複数のルートから選択して「开始导航(ナビゲーションを開始)」ボタンをタップするとナビゲーション機能が開始されます。

「歩行」では、徒歩のルートを確認できます。車の場合と同じく複数のルートが表示されますが、天気予報も表示されるのが特徴的です。

「公交(公共交通)」では、公共交通機関を使うルートを確認できます。最適なルート順に距離や所要時間、運賃などが表示され、ひとつ選ぶと詳細なルートを確認できます。
そのほか、「骑行(自転車で行く)」で自転車でのルートを確認できるほか、「打车(タクシーに乗る)」では、タクシーやライドシェアを配車できます。タクシー・ライドシェアの車種や推定運賃が表示されるため、右側のチェックボックスでいくつか使いたいものを選択し、「立即打车(今すぐタクシーに乗る)」をタップするとタクシーを呼ぶ画面に遷移します。
店舗・施設の登録:代理店経由で登録可能
高徳地図は、訪日中国人だけでなく日本の事業者でも利用可能です。
ただし、店舗や施設情報の登録にはアカウント作成が必要ですが、日本の電話番号ではアカウントを作成できず、マップ利用のみとなります。
そのため日本の事業者がアカウントを作成するには、以下のどちらかが必要になります。
- 中国の電話番号のスマートフォンもしくは中国電話番号付きのSIMカードを取得して登録
- 日本の代理店を経由して登録
高徳地図はインバウンド集客に使える?
高徳地図は中国人にとって日常的に使用するツールであるため、インバウンド対策に活用できます。
ただし先述の通り、日本の電話番号では地図アプリ上で店舗情報を登録できないため、まずは代理店を経由する必要があります。
ここでは、高徳地図を使って中国人を集客する方法について紹介します。
代理店経由による店舗情報の登録後、広告出稿が可能
現時点で、日本の事業者は代理店を経由することで、高徳地図のアカウント登録と広告出稿やクーポン掲載といった有料プロモーションが可能になります。
高徳地図は多くの中国人が利用するアプリであることから、中国語での情報掲載と広告出稿が実現すれば、集客機会の拡大につながるといえそうです。
代理店の経由が必要であるため、SNSや口コミサイトによる情報発信と比べるとハードルが高くなりますが、高徳地図の活用は中国人の集客対策における選択肢の一つとして検討できるでしょう。
日本の情報が充実していない可能性がある
高徳地図のマップを実際に確認してみると、地域によっては店舗情報が掲載されていなかったり、店名は記載されていても詳細情報がなかったりと、情報が不完全な状態も見受けられます。
とはいえ、高徳地図上の店舗情報などは徐々に増加しているようです。
また中国ではGoogleマップを利用できないことから、中国人にとって使い慣れたアプリである高徳地図を訪日旅行で一切使用しないというのは考えにくいでしょう。
そのため現段階では、マップとして高徳地図を活用した上で、詳しい旅行情報はSNSなどで集めるといった使い分けが考えられます。
中国のトレンドは移り変わりが早いため、今後日本の情報がさらに充実した場合、高徳地図が訪日中国人客にとって主要な情報収集ツールになる可能性もありえます。
関連記事:中国でGoogleマップが使えないのはなぜ?訪日中国人が使う地図アプリの活用方法を解説!
中国人は訪日旅行情報をどんなツールで調べている?
中国人にとって高徳地図は馴染み深い地図アプリである一方で、現時点ではインバウンド集客で対策するべきツールの第一候補ではなさそうです。
とはいえ多くの中国人が使う高徳地図は、他のツールと組み合わせることでインバウンド対策にも活用できると考えられます。
では、訪日中国人はどのようなツールを使用しているのでしょうか。中国では政府の規制によってGoogleやInstagramなどの海外ツールを利用できないため、訪日中国人が実際によく使用する独自の口コミサイトやSNSを把握しておきましょう。
1. 口コミサイト
中国人は旅行や買い物の際、口コミを重視しています。McKinsey&Companyが報告した「中国消费者报告2021」によると、中国人の4人に3人が「ネットの口コミを気にする」と回答しています。
特に訪日中国人の2人に1人が利用している「大衆点評」や、世界最大級の旅行コミュニティサイトである「トリップアドバイザー」などは注目しておきたいところです。
大衆点評は中国最大のライフサービス検索プラットフォームです。日本国内では「中国版食べログ」とも呼ばれ、飲食店だけでなく宿泊施設や観光施設などが掲載されています。日本だけでも90万店舗以上が登録されており、訪日中国人の集客ツールとして注目を集めています。
トリップアドバイザーは毎月4億9,000万人ものユーザーが利用しており、世界的なオンライン旅行サイトとして知られています。870万軒を超える施設が登録されており、旅行者は寄せられた多くの口コミを参考に予約できます。
関連記事:訪日中国人の2人に1人が使う「大衆点評」プロモーション活用のポイントは【訪日ラボ中国人スタッフが解説】
2. SNS
訪日中国人の集客に向けて、中国独自のSNSの活用も有効です。
なかでも、中国人に向けた訪日プロモーションの際に注目したいのが、次の3つのSNSです。
- RED
「Weibo」は中国版X(旧Twitter)とも呼ばれる、中国国内最大のソーシャルメディアです。基本的には短文のミニブログとして運用可能で、そのほかにも「アリペイ」と提携したキャッシュレス決済の機能も搭載されています。
「WeChat」はメッセンジャー機能を備えた、マルチサービスアプリです。チャット機能やタイムライン機能だけでなく、生活に不可欠となっている「WeChat Pay」という決済機能も搭載されています。
「RED」(小紅書)は中国版Instagramとも呼ばれ、ショッピング機能も搭載されています。特にトレンドに敏感な若い世代の女性が多く利用しており、情報収集には必須ともいえるツールとなっています。
関連記事:
- 中国最大のSNS「Weibo」をインバウンド集客に活用するには?
- WeChat(微信/Weixin)とは?機能や登録方法、広告出稿をまとめて解説
- 中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別公開!
中国トップシェアの「高徳地図」で訪日中国人の集客機会を増やそう
以上、「高徳地図」の基本情報や登録方法から、訪日中国人が利用する口コミサイト・SNSまで解説しました。
多くの中国人ユーザーを抱える高徳地図は、SNSや口コミサイトと組み合わせて対策することで、集客機会の拡大に役立つといえるでしょう。
中国人が活用する旅行収集ツールを把握した上で、中国人観光客への認知度向上や利用促進に向けて、高徳地図の活用をぜひ検討してみてください。
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