【連載:マーケティング用語・施策の基礎解説】 |
Web広告運用で成果を出すために、まず理解すべきはCPC(クリック単価)の概念です。CPCは「Cost Per Click」の略で、広告をクリックするごとに発生する費用のことを指します。
本記事を読むことで、CPCの計算方法や平均的な数値、CPMやCPAとの違いが明確になります。さらに、CPCを最適化し、より少ないコストでより多くの成果を実現するための手法も解説します。。
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CPCとは?
CPC(Cost Per Click:クリック単価)とは、あるWeb広告が1回クリックされるたびに課金される費用のことです。
CPCが発生するということは、つまりWeb広告を通じてユーザーを自社サイトなどへ誘導できたことを意味します。そのため、CPCはユーザーを自社サイトに呼び込むためにかかるコストとしても捉えられます。
Web広告の掲載料金は主に、以下の3つがあります。
- 表示されるたびに課金されるCPM(インプレッション課金)型
- クリックされるたびに課金されるCPC(クリック課金)型
- 掲載期間により料金が決まる期間課金型
CPCはクリック型課金で運用されているWeb広告に関連する指標です。
使い方は3種類
CPCという用語は主に3つの意味で用いられます。
1つ目はクリック課金型Web広告そのものを指す場合で、2つ目はクリック型広告のクリック単価を指す場合です。
最後に、CPM(インプレッション単価)型のWeb広告でユーザーを自社サイトへ誘導するコストを計算する際にも用いられます。
CPCの計算方法
CPCを計算するには、以下の公式が用いられます。
「CPC = 広告費 ÷ 広告がクリックされた回数」
たとえば、1か月の広告費が3万円で、クリック数が1,000回だった場合のCPCは以下のように計算できます。
CPC = 3万円 ÷ 1,000回 = 30円
つまり、1クリックあたり30円の費用が発生していることになります。CPCが低ければ低いほど、費用対効果に優れた広告であると言えます。
また、検索されたキーワードに応じて検索結果画面の最上部に広告が表示されるリスティング広告では、検索回数や競合性を勘案したCPCが設定されています。
「CPM」「CPA」「PPC」「CPV」との違い
ここまで、CPCの意味や計算方法を紹介しました。
次に、同じくWebマーケティングにおいて用いられ、なおかつ混同されやすい「CPM」や「CPA」「PPC」「CPV」との違いについて解説します。
CPMとは
CPM(Cost Per Mille:インプレッション単価)とは、Milleはラテン語で1,000という意味を持つ単語で、CPMは広告が1,000回表示されるたびに発生する広告掲載料金のことを指します。
CPM型広告では広告が表示されるたびに課金されますが、広告を掲載するWebページを絞り込むことで、ターゲットとしたユーザーにより届きやすい配信形態を整えられます。
また、CPM型広告はブランド名や商品名、サービス名などの知名度を向上させるために用いられるのに対し、CPCはWebサイトへの誘導や商品・サービスの購入または登録を目標としています。
そのため、広告の目的に応じて適切な課金形態のものを選ぶとより高い効果が期待できます。
CPAとは
CPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得単価)とは、新規顧客を獲得するのに1人あたりいくらかかったかを示すの指標です。
広告費用をコンバージョン数で割った数値がCPAとなり、CPAが低ければ低いほど、費用対効果に優れた広告といえます。
逆に、CPAが高すぎる場合には広告戦略の見直しが必要となります。一般的に下記の計算式で算出されます。
「費用 ÷ CV(獲得数)= CPA(1獲得費用)」
PPCとは
PPC(Pay Per Click:クリック課金型広告)は、広告の課金方式全般を指す広義の概念です。
PPC広告は、Google広告・Yahoo!広告・Facebook広告など、さまざまな広告プラットフォームで使用され、検索広告やディスプレイ広告など、多くのクリック課金型広告に適用されます。
CPCはPPCの一種です。
CPVとは
CPV(Cost Per View:視聴単価型広告)とは、動画広告が視聴されたときに課金される広告モデルです。
YouTube広告やTikTok広告、Facebook動画広告などで利用されます。
「30秒以上視聴された場合」や「広告が最後まで再生された場合」に課金される仕組みが一般的です。
CPCの平均・目安
CPCの平均はどのように決まるのかという原理や、実際に広告のCPCを調べる方法について解説します。
平均を決める主な5つの要素
CPCの平均を決める主な5つの要素として「業界」「商材」「知名度」「時期」「媒体」が挙げられます。
業界により広告がクリックされる確率は異なるほか、商材によっても異なります。
また、知名度の高い商品やサービスの広告はクリックされやすく、そうでない広告はクリックされにくい傾向にあります。
商品の成長期や成熟期、または季節などによっても広告のクリックされやすさは異なるうえ、Google Ads(グーグル広告)やYahoo!広告などの広告媒体によっても広告のクリックされやすさは変わります。
このように、Web広告のCPCは複数の要素が絡み合って形成されています。
CPCを調べる方法
Google Ads(グーグル広告)による広告のCPCを調べる場合、Google Ads(グーグル広告)の「キーワードプランナー」というツールを用いることでCPCが分かります。
また、Yahoo!広告による広告のCPCを調べる場合、Yahoo!広告の「キーワードアドバイスツール」というツールを用いることでCPCが分かります。
Google Ads(グーグル広告)とYahoo!広告はリスティング広告を含む、さまざまな種類のオンライン広告に対応しています。
Google Ads(グーグル広告)
- 検索広告:Googleの検索結果ページに、ユーザーが検索したキーワードに関連性の高いテキスト広告を表示
- ディスプレイ広告:Googleと提携している数百万ものウェブサイトやアプリの広告枠に、画像、動画、テキストなどの形式で広告を表示
- 動画広告:YouTubeの動画再生前、再生中、再生後、検索結果などに動画広告を表示
上記以外にもショッピング広告やアプリ広告、ローカル検索広告などといった広告タイプに対応しています。
Yahoo!広告
- 検索広告:Yahoo! JAPANの検索結果に、ユーザーが検索したキーワードに関連性の高いテキスト広告を表示
- ディスプレイ広告(運用型):Yahoo! JAPANのトップページ、Yahoo!ニュース、Yahoo!天気などの主要なサイトや、提携する様々なウェブサイトやアプリの広告枠に、画像、動画、テキストなどの形式で表示
- ディスプレイ広告(予約型):Yahoo! JAPANの主要な面などに、期間や表示回数を指定して掲載する広告
ほかにも動画広告やアプリ広告、ダイナミック広告などに対応しています。広告の内容やターゲットとするユーザーにより適切な広告媒体を選ぶと良いでしょう。
CPC広告のメリット
CPCは、Google検索広告やSNS広告など、多くのWeb広告で採用されており、適切に運用すれば、費用を抑えつつ高い集客効果を得ることが可能です。
ここでは、CPC広告のメリットを紹介します。
1. 無駄な広告費を抑えやすい
CPC広告は、広告が表示された(インプレッションされた)だけでは費用がかからず、ユーザーが実際にクリックした場合のみ課金される仕組みです。
クリックされるまで費用が発生しないため、広告費を無駄にせず、費用を抑えた運用が可能になります。
2. 費用対効果(ROI)を測定しやすく、運用の最適化が可能
CPC広告は、クリック数やコンバージョン率(CVR)などのデータをリアルタイムで確認できるため、広告の効果を分析しながら最適化できるのが強みです。
広告のクリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)を分析し、効果の高い広告だけを残すことで、無駄なクリックを減らし、より高い費用対効果を実現できます。
3. 少額から運用が可能
CPC広告は、1日1,000円程度の少額予算から運用可能なため、広告予算に応じた柔軟な運用ができます。
また、費用の上限を設定できるため、予算オーバーのリスクを心配する必要がないのもメリットのひとつです。
CPC広告のデメリット
CPC広告は、検索広告・ディスプレイ広告・SNS広告など、幅広いプラットフォームで活用される重要な広告モデルですが、運用には注意点もあります。
1. 競争が激しいキーワードではクリック単価(CPC)が高騰する
人気の検索ワード(例:「東京 ホテル」「日本旅行」など)は競争が激しく、クリック単価が高騰しやすいのが特徴です。
入札戦略を最適化しないと、広告費がかさみます。
2. クリックされてもコンバージョンにつながらない可能性がある
クリック数が増えても、ランディングページの内容が最適化されていないと、問い合わせや購入につながらない場合があります。
広告を作成する際は、クリック率(CTR)とコンバージョン率(CVR)の両方を意識する必要があります。
3. 広告運用の知識が必要
広告運用の専門知識がないと、効果を最大化するのが難しいでしょう。
適切なキーワード選定・ターゲティング設定・広告クリエイティブの最適化が不可欠です。
CPCを最適化する(下げる)方法
CPC(クリック課金型広告)を最適化することで、同じ予算でより多くのユーザーに広告を届け、コンバージョン(購入・問い合わせ)を増やすことが可能になります。
クリック単価(CPC)が高くなる要因を分析し、適切な対策を講じることで、広告費を削減しながら成果を最大化できます。
ここでは、CPCを下げるための具体的な方法を解説します。
1. 競争が少ないロングテールキーワードを活用する
CPC広告は、入札競争が激しいキーワードほどクリック単価が高騰する傾向があります。
「東京 ホテル」「日本旅行」などの一般的なキーワードは競争が激しく、CPCが高くなりやすいため、競争が少ないロングテールキーワードを狙うとよいでしょう。ロングテールキーワードとは、3語以上の複数の単語で構成される、具体的でニッチなキーワードの組み合わせのことをいいます。
たとえば、競争の少ない「京都 家族旅行 格安ホテル」や「大阪 ヴィーガン レストラン」などの具体的な検索ワードを狙うとしましょう。「京都 家族旅行」よりもライバルが少ない一方、ニーズが明確なのでよりコンバージョン(CV)につながりやすく、結果、CPC(クリック単価)を抑えることにつながります。
また、キーワードプランナー(Google広告のツール)を使用し、CPCの低いキーワードを見つけることも有効です。
CPCが高いキーワードを避け、効率的な広告運用を行いましょう。
2. 広告の品質スコアを向上させる
GoogleやYahoo!の検索広告では、広告の品質スコア(Quality Score)が高いほど、クリック単価が低くなる仕組みが導入されています。
品質スコアは、広告の関連性・クリック率(CTR)・ランディングページの質によって決まります。
以下のような対策をすることで、広告の品質スコア向上が期待できます。
- 広告の見出しや説明文に、ターゲットキーワードを適切に含める
- 魅力的な広告コピーを作成し、クリック率(CTR)を向上させる
- 広告とランディングページ(LP)の内容を統一し、ユーザーが求める情報をスムーズに提供する
3. ターゲティングを最適化し、無駄なクリックを減らす
ターゲット設定が広すぎると、意図しないユーザー層にも広告が表示され、無駄なクリックが発生します。
ターゲティングを最適化することで、本当に必要なユーザーに広告を届け、CPCを下げられるでしょう。
たとえば、以下のような対策が考えられます。
- 年齢・性別・地域・デバイス・興味関心を詳細に設定し、無駄なクリックを減らす
- 配信する時間帯を最適化し、コンバージョン率(CVR)の高い時間帯に広告を集中配信する
4. 広告のクリエイティブを改善し、クリック率(CTR)を向上させる
クリック率(CTR)が高い広告は、GoogleやYahoo!の広告オークションで有利に働き、クリック単価が低くなる傾向があります。
そのため、魅力的な広告コピー・画像・動画を活用し、ユーザーの関心を引く工夫が重要です。
たとえば、以下のような対策が考えられます。
- 広告文に「今だけ!」「特別割引」「送料無料」などの訴求ポイントを盛り込む
- 画像・動画を最適化し、視覚的にインパクトのある広告を作成
- A/Bテストを実施し、最もクリック率が高いクリエイティブを採用
5. 自動入札機能を活用し、最適なCPCを維持する
Google広告やFacebook広告には、AIが最適なクリック単価を設定する「自動入札機能」があります。
手動でCPCを管理するよりも、自動入札を活用することで、適切なクリック単価を維持しやすくなります。
広告の目的に応じて「コンバージョン最大化」や「クリック数の最大化」などの入札戦略を選択することで、戦略に応じた入札単価を設定できます。
CPCは1回のクリックあたりの広告単価
CPCはクリックされるたびに課金される掲載料金の単価を表し、広告の費用対効果を測定するためにも活用できます。
また、CPAなどの分析を加えることで更に広告の有用性が分かります。
Google Ads(グーグル広告)やYahoo!広告ではCPCを算出するツールが備えられているため、CPCを参考によりターゲットへとアプローチできる広告を作れると良いでしょう。
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