東京オリンピック以来の大型スポーツイベント、アジア・アジアパラ競技大会 開催地・愛知のインバウンド戦略とは

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9月19日から10月4日にかけて、愛知県名古屋市を中心に「アジア競技大会」が開催されます(アジアパラ競技大会は10月18日〜24日)。

2020年の東京オリンピック以来となる大型国際スポーツイベントであり、アジア45か国・地域から選手など関係者が1万5,000人以上参加します。

この大会を契機とした愛知県インバウンド誘客に取り組むのが、愛知県観光コンベンション局 国際観光コンベンション課です。

訪日ラボはこの国際的なイベント開催に際し、同課が取り組んでいる誘客施策について、国際観光コンベンション課 森田課長に取材しました。

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▲愛知県観光コンベンション局国際観光コンベンション課長 森田勇人氏:愛知県提供
▲愛知県観光コンベンション局国際観光コンベンション課長 森田勇人氏:愛知県提供


訪日客の「新たな旅先」へ 東南アジア開拓にも期待

── 愛知県観光コンベンション局 国際観光コンベンション課は、県の中でどのような役割を担っているのでしょうか。

愛知県の観光振興基本計画である「あいち観光戦略」に基づいて誘客に取り組んでおり、MICE、魅力発信・プロモーション、誘客など4つのチームがあります。

現在はアジアアジアパラ競技大会に向けて、お越しいただいた方に愛知の観光をしっかり楽しんでいただく機会を作り、誘客につなげていきたいと考えています。

── 現在の愛知県のインバウンド需要はどのような状況にあるのでしょうか。

コロナ禍後のインバウンド市場の回復により、愛知県においても2025年の外国人延べ宿泊者数が過去最高を記録するなど、順調にインバウンド需要が伸びています。コロナ禍前2019年からの増加率については全国平均を下回っておりますが、さらなる拡大の余地が十分にあると受けとめています。

今後訪日リピーターが増えていく中で、愛知は「まだ訪れていない旅行先」として有力な候補になり得ると考えています。愛知の魅力をいかに発信し、実際に「足を運んでみたい」と思っていただけるかが重要な鍵になります。

愛知は中部国際空港(セントレア)の就航便の関係で東アジアからの観光客が非常に多くなっていますが、東南アジアにおいても、今回の大会を契機にさらなる訪日が見込まれます。欧米についても、愛知の多彩な魅力を発信することで、しっかりと誘客に取り組んでいく必要があると考えています。

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東京・大阪にはない魅力をどう伝えるか 大会を契機にした差別化戦略

── 他の観光地と比べて、愛知県ならではの魅力はどこにあると考えますか。

愛知は都市と自然が共存しており、単なる都市の魅力にとどまらない多様な側面をあわせ持っています。そのため、県内をどう周遊してもらうか考えていく必要があります。

そこでチャンスとなるのが今回のアジアアジアパラ競技大会です。愛知の魅力を直接肌で感じていただく中で、意外な人気スポットや新たな価値が再発見されることもあるでしょう。そうした現場の反応を捉え、独自の観光コンテンツとして磨き上げることで、周遊を促進していかなくてはいけないと考えています。

── 大会を通じてどのように取り組みを進めていきますか。

大会に訪れた方がまた愛知に足を運んでくれること、あるいは愛知の魅力を自国で広めていただくことで、リピーターを増やしていきたいと考えています。観光地は名古屋だけではないというところもしっかり発信していきたいです。

愛知はまだまだ伸びしろがある地域だと思っています。東京・京都・大阪などのゴールデンルートに観光客が集中する一方、日本全体で地方誘客を推進していく流れがあります。

愛知は交通の要所であるため、そうした受け皿としての役割を果たせるように着実に取り組みを進めていきたいと考えています。

2つの空港と名古屋駅を起点に 愛知から全国の魅力を発信

── すでにインフルエンサーを起用した情報発信に取り組まれていると伺いました。動画では、愛知だけでなく山形県や新潟県など全国各地を周遊してもらう内容になっていますね。

愛知にはセントレアと県営名古屋空港があります。2つの空港と名古屋駅を起点とした交通網が整備されているため、空港の就航先や中部地域の各県と連携して、インフルエンサーによる情報発信に取り組んでいます。

インフルエンサーの選定は連携した各県と調整し、アジア圏でとくに重視している市場を踏まえて決定しました。スケジュールを合わせて取材を実施し、それぞれの県ごとに動画を作って配信しています。

── この施策の狙いはどこにあるのでしょうか。

インフルエンサー事業の大きな柱は、大会を通じて愛知・名古屋だけでなく日本全国をあらためて知ってもらうことです。愛知県を起点として、全国各地に行けることを発信したいと考えました。

岐阜県三重県長野県などの周辺エリア以外にも、山形県新潟県島根県鹿児島県など全国各地に行っていただき、それぞれの魅力を動画にしてもらいました。

こうした形で他の都道府県と協力体制を築くことは過去にあまり事例がありませんでした。アジアアジアパラ競技大会という大きな節目を機に、こうした広域連携の形を今後も持続させていきたいと考えています。

── 現時点での反響はいかがですか。

まだ発信し始めた段階で集計はこれからですが、インプレッションやフォロワーの反応も好調で、なかなか良い反応をいただいていると感じています。

▲インフルエンサーによる全国各地のPR動画:「Home Base Aichi」公式Instagramより
▲インフルエンサーによる全国各地のPR動画:「Home Base Aichi」公式Instagramより

出発1時間前まで参加可能 シティツアーで合間の周遊を後押し

── 大会期間中にはどのような施策を予定されていますか。

一般の観光客、選手・大会関係者、メディアそれぞれを対象に、県内各地域や隣接県の観光地を周遊するシティツアーを計画しており、公式サイトで発信しています。

皆さん大会に合わせて来られるので滞在時間は限られています。そのため短時間で手軽に参加できるコースを作り、さらに出発の1時間前まで申し込み可能な形にしました。

名古屋以外にも足を延ばしたい方には、自分ではなかなか行きづらい場所を周遊できるようコースを工夫しています。

▲開催されるシティツアーの一覧:「愛知・名古屋 観光・ツアーガイド」Webサイトより
▲開催されるシティツアーの一覧:「愛知・名古屋 観光・ツアーガイド」Webサイトより

── 夜の時間帯の観光にも力を入れているそうですね。

大会期間中にはオープントップバス(屋根のない二階建てのバス)によるナイトツアーを予定しています。1時間半ほどのコースで、名古屋高速やライトアップされた名古屋城などを巡ります。

また、国の重要文化財に指定されている愛知県庁本庁舎・名古屋市役所本庁舎でもデジタルアート投影とライトアップを行います。

こうしたナイトタイム観光の取り組みは、愛知県だけでなく名古屋市や民間事業者の方とも連携しています。

愛知はモーニングが有名である一方、夜できることが少ないという印象を持たれています。消費単価も日中より夜の方が大きくなる傾向にあるため、より地域として「稼ぐ」観点でもナイトコンテンツの拡充が不可欠となっています。

現在は、7月にオープンしたWebサイト「愛知・名古屋の夜じかん」を通じて「夜の時間を使ってこんなことができる」という発信を行い、ナイトタイム観光をPRしています。先ほどお話ししたシティツアーでも、名古屋市内で居酒屋やスナックバーをハシゴするコンテンツを提供しています。

▲オープントップバスツアーの様子:「愛知・名古屋の夜じかん」Webサイトより
▲オープントップバスツアーの様子:「愛知・名古屋の夜じかん」Webサイトより

1万5,000人の選手・関係者にも愛知の魅力を SNS拡散狙う

── 大会には、選手を含め関係者が1万5,000人以上参加すると言われていますね。

シティツアーでは一般の方とは別に選手・関係者専用のツアーもいくつか設定しています。

時間があれば、ぜひ愛知県の魅力を体験していただきたいと考えています。選手の中にはSNSでの発信力が高い方もいらっしゃいますので、そうした情報拡散も期待しています。

大会に関連し、ハッシュタグキャンペーンも実施します。Instagramで愛知のおすすめ観光スポットやグルメなどを投稿してもらうという内容で、一般の方も含め多くの方に愛知の魅力を発信してもらえればと思っています。シティツアーに参加いただいた方にもこのキャンペーンを案内し、相乗効果を生み出していきたいと考えています。

▲ハッシュタグキャンペーンの応募手順:「CheersFromAichi」Webサイトより
▲ハッシュタグキャンペーンの応募手順:「CheersFromAichi」Webサイトより

大会で生まれた事例をレガシーに 商談会や海外プロモーションを実施予定

── 会期中の盛り上がりで終わらせず、いかに今後の誘客にもつなげるかも地域にとって大事な視点かと思います。大会が終わった後は、具体的にどのような取り組みを予定されていますか。

海外のOTA(オンラインの旅行会社)と連携したプロモーションの実施や、国内のランドオペレーターとの商談会の開催など、大会後も継続的な旅行コンテンツの造成を行っていきたいと考えています。

以前から県内事業者からは、OTAとの連携や、海外旅行会社からの依頼で手配を行うランドオペレーターにアプローチをかける重要性が指摘されていました。それを事業化したのは、このアジアアジアパラ競技大会を契機に、よりインバウンドの誘客に力を入れていくという狙いがあるからです。今後もこうした取り組みは継続していきたいと考えています。

── 今回行った施策はどのように検証していく予定ですか。

シティツアーに関しては、アンケートなどで参加者から情報を収集し、集客状況とあわせて結果を検証していきたいと考えています。大会後に予定している商談会では、今後の商品造成の計画や大会を経た愛知県の認知度について測っていければと思っています。

── アジア・アジアパラ競技大会、そしてその先の愛知のインバウンド動向にも注目していきたいと思います。本日はありがとうございました。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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