観光庁はこのほど、訪日外国人消費動向調査の平成28年(2016年)年間値を発表しました。同調査によれば、平成28年(2016年)の訪日外国人旅行消費額(インバウンド消費額)は3兆7,476億円で、前年2015年(3兆4,771億円)比で7.8%増という結果に。しかしながら、訪日外国人観光客1人当たり旅行支出は15万5,896円(前年比11.5%減)と、円高の影響を如実に受ける結果となりました。
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2016年インバウンド消費の概況:7.8%増加の3兆7,476億円
平成28年(2016年)のインバウンド消費額は 前年2015年(3兆4,771億円)の7.8%増の3兆7,476億円 となりました。訪日外国人観光客数は2015年の約1,974万人に対して2016年は2404万人の21.8%増。つまり、 訪日外国人観光客数の21.8%増に対してインバウンド消費額は7.8%増と鈍化傾向 にあります。
というのも、訪日外国人観光客 1人当たり旅行支出が2015年の17万6,167円に対し2016年は15万5,896円と11.5%減 しており、それを訪日外国人観光客数の急増でカバーした格好となっています。
国籍別にみる2016年のインバウンド消費額:未だ中華圏の消費パワーは健在ながらもシェア率を若干下げた
国籍別にインバウンド消費額を分析すると、上位から
- 訪日中国人観光客:1兆4,754億円(構成比39.4%)
- 訪日台湾人観光客:5,245億円(同14.0%)
- 訪日韓国人観光客:3,577億円(同9.5%)
- 訪日香港人観光客:2,947億円(同7.9%)
- 訪日米国人観光客:2,130億円(同5.7%)
となっており、 中華圏(中国・台湾・香港)のみでもインバウンド消費のシェア率61.3%となり、いまだインバウンド市場における主要顧客 の座を締めています。
そこに韓国を足した東アジア圏でインバウンド消費のシェア率70.8%、さらに上位5国としてアメリカを足すと76.5%に及びます。
なお、2015年のインバウンド消費シェア率を見てみると、中華圏は63.4%に及んでおり、そこから見ると、 2016年の中華圏シェア率61.3%という数値は下降傾向 にあります。「爆買い」の鳴りを潜めただけあって、若干ながらインバウンド消費シェア率を下げていることが見て取れます。
費目別にみる2016年のインバウンド消費額:やはり「買物代」の比率が如実に低下
費目別(消費カテゴリー別)にインバウンド消費額を分析すると、未だ買物代が38.1%で約1.43兆円と最大であるものの、2015年の41.8%で約1.45兆円と比較すると、 額にして約278億円、シェア率にして3.7ポイント減少 しています。
一方、 宿泊料金、飲食費、さらに交通費は比率で前年超え、娯楽サービス費は前年キープ となっており、いわゆる「コト消費」化が如実に反映された結果となっています。
コト消費とは? 訪日外国人の消費行動がサービスや体験に移行
目次コト消費とは「コト消費」はいつから使われ始めた?インバウンドでの「コト消費」の使われ方は?なぜ「コト消費」という言葉が注目され始めたのかコト消費とはインバウンドにおける「コト消費」とは、訪日外国人観光客が旅館やホテルなどでの宿泊、観光地やアクティビティーでの体験など、経験・体験に対して価値を見出す消費行動のことをいいます。インバウンド業界のみならず、一般のニュースにおいても、訪日中国人観光客の「爆買い」というキーワードが騒がせていましたが、為替相場が元安円高傾向にふれるにつれ、訪日中国...
訪日中国人の次のトレンドは「見る」:ここまでコト消費が進んでたか…SNSでの投稿量「見る」は「買う」の25倍に!
訪日中国人観光客の高額商品類における「爆買い」が収束し始めてからもうすぐ1年が経とうとしています。訪日中国人観光客も含め、インバウンド全体が如実に「コト消費」にシフトしつつあることを示すデータが、最近続々と発表されています。先日、東京海上日動火災保険株式会社は、インバウンドのビッグデータを活用した分析として、TwitterおよびWeiboでの投稿を分析した調査レポートを発表しました。<関連> 目次東京海上日動火災保険株式会社 ソーシャルビッグデータを活用した、全国インバウンド観光調査を実施...
まとめ:インバウンド消費 前年超えのものの、予断を許さない状況か
このほど発表された訪日外国人消費動向調査の平成28年(2016年)年間値では、2016年のインバウンド消費額は前年比7.8%増の3兆7,476億円でした。しかしながら、訪日外国人観光客数の増加率(21.8%増)に対して、いささか見劣りする増加率と言えます。
円高の影響や、「爆買い」の衰退などの影響により、訪日外国人観光客1人あたりの旅行支出が減少したことが、インバウンド消費額の伸び悩みに影響しているものと考えられ、今までの「ショッピングを押さえていればインバウンド対策はOK」という状況ではなくなってきているようです。
<参照>
- 観光庁:訪日外国人消費動向調査
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