メダルゲーム場など遊技施設チェーンを経営する「株式会社アドアーズ」が好調の模様です。オンラインニュースサイト「財経新聞」によると第1四半期は、総合エンターテインメント事業の利益が回復したことで黒字転換。4月から7月まで前年同月比ベースを全て上回る売上高を記録。これからも利益増大が見込まれそうです。
そんなアドアーズ。どうやらインバウンド対策とアウトバウンド対策の組み合わせが成長の鍵となっているようです。
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- 訪日外国人観光客に向けたインバウンド対策とアジア圏進出へのアウトバウンド対策が成長の鍵
- インバウンド対策①:訪日外国人観光客へのサービス円滑化を目指し、マルチリンガルコンタクトセンターサービスを開始
- インバウンド対策②:訪日中国人観光客をターゲットとし、WeChat ペイメント・WeChat シェイクの導入
- アウトバウンド対策:香港に子会社を設立 アジア進出への足掛かりに
- インバウンドを見込んだアウトバウンドの流れ。中国語圏との強力なコネクションを目指す
- きっかけはアジア圏での根強い日本のキャラクター人気。訪日中国人観光客×アニメ・ゲームはこれからのインバウンド対策のキーワードに
- まとめ:アウトバウンドからインバウンドへ。中国での地盤固めがインバウンド収益として還元されるか
目次
訪日外国人観光客に向けたインバウンド対策とアジア圏進出へのアウトバウンド対策が成長の鍵
今年2月3日の同社によるニュースリリースによると、アドアーズは訪日外国人観光客の増加に対するインバウンド対策として外国人観光客向けの新サービスの提供を開始。さらに、アウトバウンドを見込んで海外進出も視野に入れているようです。
インバウンド対策①:訪日外国人観光客へのサービス円滑化を目指し、マルチリンガルコンタクトセンターサービスを開始
訪日外国人観光客のゲームセンター来店時に、主要7か国語の通訳を始めました。現段階で英語、中国語、韓国語、タイ語、ポルトガル語、スペイン語、ベトナム語の通訳が可能です。24時間365日いつでも利用可能で、電話を通じて受け入れるサービスです。
設置店舗は秋葉原地区 5 店舗、池袋地区 4店舗、上野地区 2 店舗、渋谷店、浅草店の合計 13 店舗。ゲームセンターのみにとどまらず、カラオケ施設、カフェ施設などの各業態別にサービスが導入されています。
インバウンド対策②:訪日中国人観光客をターゲットとし、WeChat ペイメント・WeChat シェイクの導入
また、中国最大のLINE型SNS「WeChat」の提供サービスとの連携も発表されました。今回対象となるのは、「WeChat Payment」と「WeChat」のシェイク機能の2種類。前者の「WeChat Payment」は中国で普及しているオンライン決済サービス。後者のシェイク機能については特定の店舗やスポットで端末を振ると関連した情報やお得なクーポンなどが手に入るサービスです。どちらも訪日中国人観光客を呼び込むうえで必須のツールとなっています。導入店舗としてサービスが開始されているのは秋葉原2号店。訪日中国人観光客の来店頻度が高い店舗です。
さらに、ゲームの遊び方について店内で多言語化表示することも検討中。英語や中国語などの言語に対応可能なスタッフの数の増加も進んでいます。オンライン上のみのインバウンド対策に限らず、あらゆる角度から訪日中国人観光客を中心とした顧客を呼び込む姿勢です。
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アウトバウンド対策:香港に子会社を設立 アジア進出への足掛かりに
先ほどご紹介したインバウンド対策と合わせ、アドアーズはアウトバウンド対策にも注力しています。アドアーズは今年の5月10日に同企業の連結子会社である株式会社ブレイクが、香港特別行政区に子会社「BREAK ASIA LIMITED」を設立することも発表しています。ブレイクは、主にアドアーズの総合エンターテインメント事業においてアミューズメント用景品等の製造、または販売に従事。これまでに中国や香港など中国語圏の様々なメーカーとの取引を通じて、業績を拡大してきました。
インバウンドを見込んだアウトバウンドの流れ。中国語圏との強力なコネクションを目指す
今回の子会社設立にあたった経緯に至ってアドアーズは、
> アジア地域における日本キャラクターの根強い人気から、日本ライセンス商品の販売の可能性を感じており、本件孫会社設立により、ブレイク及び当社のライセンス事業で培ったノウハウ及び実績を基に、アジア地域での日本ライセンス商品の販売を拡大し、主力事業である総合エンターテインメント事業の業容拡大を目指してまいります。ー連結子会社による子会社(当社の孫会社)の設立に関するお知らせ:株式会社アドアーズ ホームページより引用
とコメントしました。中国語圏での日本ライセンス商品の販売の拡大、総合エンターテインメント事業の業容拡大により中長期的な視点から見れば国内店舗へのインバウンド効果も期待できるのではないかと推測できます。
きっかけはアジア圏での根強い日本のキャラクター人気。訪日中国人観光客×アニメ・ゲームはこれからのインバウンド対策のキーワードに
日本貿易振興機構(ジェトロ)上海事務所が2015年に発表した中国アニメ市場調査によると、
> 『名探偵コナン』、『ドラえもん』、『ワンピース』、『ちびまる子ちゃん』などの日本アニメや『ハロー・キティ』などは中国でキャラクターとしての人気が高い。ファーストフードやコンビニのプレゼントキャンペーンや、「微信(WeChat)」のスタンプなどで日本のキャラクターが登場するケースも増えている。またディズニー作品やハリウッドアニメ映画も幅広い層に人気だ。ーアニメ市場調査:日本貿易振興機構(ジェトロ)上海事務所より引用
日本発祥のキャラクターが中国でもある程度の市民権を得ていることが伺えます。
また、2015年の来場者数27.3万人を記録した中国最大級のゲーム展示会であるチャイナジョイ(正式名称:China Digital Entertainment Expo&Conference)でも日本のキャラクターの人気が見て取れました。
会場内ではバンダイのガンダムプラモデルの即売会が行われ、人気を博したそうです。また、中国人のなかにも日本マニアックなフィギュアの世界にお金をかける人が多くいる模様。中国国内でもこれだけの影響をもつ日本のアニメやゲームキャラクター。同様に訪日中国人観光客×アニメにはずいぶんと大きなポテンシャルがありそうです。
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まとめ:アウトバウンドからインバウンドへ。中国での地盤固めがインバウンド収益として還元されるか
以上の流れを踏まえるとアドアーズは
- ターゲット層を徐々に訪日中国人観光客へと移行。
- 付随するインバウンド対策に着手。
- アウトバウンド対策として香港での子会社設立。
- それによる中国での地盤強化から中国での知名度上昇。
- 国内でのインバウンド効果へ還元。
という計画の進行の最中なのではないかと予測されます。インバウンド×アウトバウンド、この相乗効果には、大きな可能性がありそうです。
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