麺をすする音が外国人には「ヌーハラ(ヌードルハラスメント)」と話題

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インバウンド市場において、訪日外国人観光客が増えるのは非常に喜ばしいことです。しかしながら、その受け入れ体制が整っておらず、対応が急がれていることも事実。

訪日ラボでも、これまで様々な言葉、宗教、文化的背景に対するインバウンド受け入れに関する事例や取り組みをご紹介してきました。

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指差しだけで英会話接客!?手軽に多言語対応できるツール「接客指さし会話」とは

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今回は、インバウンド受け入れ体制の構築にあたって、一考の余地がある事例として「ヌーハラ(ヌードルハラスメント)」についてご紹介します。

 

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「ヌーハラ(ヌードルハラスメント)」とは

「ヌーハラ(ヌードルハラスメント)」とは、麺類をすする音を、それを嫌がる人が聞いて、精神的苦痛を感じる状況、転じて、麺をすすらない文化を持つ人(主に外国人)に、「郷に入りては郷に従え」という体で、麺をすすることを許容させる、ないし強要するといった意味があると言われる新語・俗語です。

「ヌーハラ(ヌードルハラスメント)」が注目・炎上した経緯

ある日本人ネットユーザーがTwitter上で発信したもので、おおよそ今年の10月頃から、主に反論としてネット上で話題となっていました。

そこに、フジテレビ系列2番組が立て続けにピックアップ。14日には夜のニュース番組「ユアタイム~あなたの時間~」で、16日には朝のニュース番組「とくダネ!」で「ヌーハラ(ヌードルハラスメント)」を紹介したことにより、「ヌーハラ(ヌードルハラスメント)」が一層注目を集めました。

どちらの番組においても「ヌーハラ(ヌードルハラスメント)」の考え方には否定的で、「ユアタイム~あなたの時間~」のメインキャスター市川紗椰は「私はぜったいすすります」と主張。また「とくダネ!」では小倉智昭キャスターが「日本の食文化に対して外国人にとやかく言われる筋合いはない。(嫌なら)入店するなって」とコメントしています。

ヌーハラ(ヌードルハラスメント)の提唱者のツイート

ヌーハラ(ヌードルハラスメント)の提唱者のツイート

なお、本騒動の発信元となったtogetter(Twitter上での発言をまとめるサービス)の記事は、現在(11/17時点)では削除されています。「ヌーハラ(ヌードルハラスメント)」の提唱者であるまとめ主(togetterの発言まとめを編集した人)のTwitterアカウントでは、

フジテレビの”ヌーハラ”報道は私たちに一度も取材することなく制作された番組で、私たちの真意を一辺たりとも含んでいません!!
したがってあの報道で不快感を持った人に大して責任を取るべしはフジテレビのみであって私たちは一切関係ありません。
私たちこそ”ヌーハラ”の被害者です。
と投稿しており、本騒動の影響を物語っています。

 

「すする」文化は日本だけなのか

それでは、麺をすする文化は日本固有の文化なのでしょうか。調査の結果、「日本においてすする文化が許容されている」ことを示す情報ソースは判明しなかったものの、2つほど参考になるソースがあったのでご紹介します。

海外では音をたてて食事することはマナー違反:レファレンス協同データベースの例

まずは、公共図書館などのレファレンス事例などを集積するデータベース「レファレンス共同データベース」です。

こちらのデータベースには

日本では蕎麦等をすする際、音を立てても許されるが、日本以外の国または地域にも食べる時に音を立てて許される文化があるか。
という質問に対しての回答が紹介されています。

この回答について要点を抜粋すると、

  • 「食べるときに音を立てることが許される文化」について記述のある所蔵資料は見つからなかった。
  • 「音を立てることが許されない」文化について記述のある資料はある。
  • 『和風たべかた事典』(小野重和著 農山漁村文化協会 1997)においては、欧米ではすする音を許容していないという記述あり。
  • 『国際マナー常識事典』(企業OBペンクラブ編著 学習研究社 1994)やその他の書籍において、フィリピン、アメリカ、南米白人諸国、オセアニア、フランスなどの海外諸国において、すする、ないし音をたてて食べることはマナー違反とされるとの記述あり

といった様に、日本以外では基本的にすすって食べること、音を立てて食べることはマナー違反とされている例が列挙されています。

そもそも外国人は「すする」ということが出来ない:同志社大学学生による実験動画の例

また、同志社大学グローバルコミュニケーション学部の学生が運営するYotubeチャンネル「Seminar Project」では、興味深い実験動画がアップロードされています。

動画では、日本人および外国人に対する「あなたは麺をすすりますか?」というインタビューから始まり、その後外国人留学生に実際に麺をすすらせてみる、という実験にうつります。

前半のインタビューにおいては、日本人の約8割が麺をすすると回答。しかしながら外国人は圧倒的にすすらない、という回答に。また、日本に来てから麺をすすることにチャレンジしてみたものの、すするという経験がまったくないことから難しかった、できなかったとの回答もありました。

そして後半の実験においては、韓国人3名、中国人2名、フランス人1名、マラウイ人1名にラーメンをすすって食べてもらったものの、うまくすすることが出来たのは韓国人が2名、中国人が1名のみ、という結果に。

中国では地域によるものの、やはり家庭教育において音をたてて食べることを禁じられている模様です。フランスやマラウイでも同様。一方、韓国ではカップラーメンのCMですする様子が流されていることから、あまり抵抗感はないとのこと。

 

まとめ:日本文化の押し出しと海外文化の受け入れのバランス

訪日外国人観光客に対する受け入れ体制は、言語対応や決済方法、Wi-Fiの整備などといったインフラ面だけでなく、サービスを提供する日本人側の心構えの構築も重要なものとなるでしょう。

今回ご紹介した「ヌーハラ(ヌードルハラスメント)」は日本人が提唱したものと言われており、今のところ外国人が「すする音」に対する不快感を大手を振って主張してはいない模様です。しかしながら、記事後半でお伝えしたとおり、やはり「すする」ことは海外ではマナー違反であり、日本で「すする音」が聞こえることは、大なり小なり不快に感じることは事実のようです。だからといって、例えば蕎麦屋がインバウンド対応として、日本人客にそばをすすることを禁じる、というのは現実的ではありませんし、従来顧客が離れてしまいます。

「わさびテロ」騒動はなぜ1ヶ月足らずで収束? 市場ずしに今なお来客が絶えない理由

訪日外国人観光客に対し、わさびを大量に入れた寿司を提供していたことから炎上した大阪府の市場ずし難波店。国内外のメディアで「人種差別ではないか」と報道され、物議を醸しました。一時は公式サイトに謝罪文が公開されるほどの騒ぎになりましたが、1ヶ月も経たないうちに事態が収束。現在は日本人客で賑わっているといいます。なぜ、このような急展開が起こったのでしょうか。背景を調べてみると、市場ずしに責任を押し付けることのできないインバウンドビジネスの難しさがあることが分かります。「わさびテロ」と呼ばれた騒動...

しかしながら、記憶にも新しい「わさびテロ」騒動や、今回の「ヌードルハラスメント(ヌーハラ)」といった事例は、2020年の東京オリンピックに向け、訪日外国人観光客が増えるに連れ増える可能性が高く、これからの日本のインバウンドにおいて課題の1つになるものと思われます。

<参考>

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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