地域のインフラと観光、地域の活性化を結びつける取り組みが、全国で増えています。それぞれの地域が持つ固有のインフラ資源を積極的に活用し、観光客の誘致や受け入れに積極的に取り組むことが、地域活性化の1つのカギとなると言えます。今回はそうした全国の事例をご紹介しましょう。
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地域インフラを活用した観光地域づくり事例1:富山県 世界遺産を結ぶバスの運行による、観光2次交通の充実
富山県高岡市、南砺市では、北陸新幹線開業を見据え、公共交通を利用する旅行者をターゲットに、 高岡〜世界遺産5箇山・白川郷間を結ぶ「世界遺産バス」 を運行しています。これは新幹線の駅から、バス1本で気軽に世界遺産である五箇山までアクセス出来るというもので、平成25年10月より観光路線バスの実証運行を開始しています。
また、 インバウンド対応として乗車券センター看板、車内案内の多言語化、運転手に自動翻訳や地図機能等のアプリの入ったタブレット端末を持たせる などの対応をしています。
地域インフラを活用した観光地域づくり事例2:奈良県 超小型モビリティのレンタルサービス「MICHIMO」事業
奈良県橿原市、高取町、明日香村では、電気自動車のレンタル事業を通じて、奈良県の中南和地域における広域観光に取り組んでいます。これは中山間地、道路幅の狭いところへの新たな交通手段の確保、環境への負荷軽減の取り組みで行っているものです。
明日香村には年間80万人が団体バス、自家用車、鉄道を利用して訪れますが、村内での移動は専ら徒歩やレンタルサイクル、周遊バスが多く、 村内に点在する歴史遺産、文化遺産を繋ぐ道路幅が狭いこと、山地のため、自転車や徒歩では到達出来ないところが多い などから、電気自動車の導入を決定。
ソフトバンクモバイルが提供する認証型充電システムのUbidenを使用することで、「誰が、いつ、どこで、どれだけ」充電したかが、利用者側、運営主体側も把握出来るというメリットがあります。こうした取り組みが 利用者の満足度の向上、エコツーリズムの意識などへ繋がっています 。
地域インフラを活用した観光地域づくり事例3:和歌山県 日本一心豊かなローカル線を目指した「たま駅長」
和歌山県和歌山市では、歴史と自然、楽しい電車が味わえる路線を目指し、JR和歌山駅と貴志駅を結ぶ14.3kmの路線で、平成18年4月1日に南海電鉄から鉄道施設の譲渡を受けて運行を開始。つくる会を中心とした地域住民の温かい支援の下で、鉄道の活性化に取り組んでいます。
水戸岡悦治氏にデザインを依頼し、既存の車両を「いちご電車」「おもちゃ電車」「たま電車」に改装。貴志駅では「たま」を民鉄初の猫の駅長に任命し、「たま駅長」が訪日香港人観光客から絶大な人気を集めるなど、鉄道と地域の活性化に取り組んでいます。
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地域インフラを活用した観光地域づくり事例4:広島県・愛媛県 瀬戸内海のゆめたびへ
瀬戸内に新たな旅の価値の創造、定期航路を活用した広島、松山間の2次交通の活性化を目指すため、広島と松山を結ぶ定期航路を「瀬戸内海道1号船」と名付け、沿線上の行政、船舶会社、鉄道事業者を構成する瀬戸内・松山ツーリズム推進会議を設立。2次交通の活性化、瀬戸内をテーマとする海洋観光型旅行商品の開発などに取り組んでいます。
またインバウンド向けに、「 外国人向け航路割引サービス 」のほか、関西国際空港、福岡空港を起点に瀬戸内エリアを新幹線や航路、しまなみ海道のバス、四国内の特急などを5日間自由に乗り下り出来る「 西遊紀行プロジェクト 」が始動しています。
地域インフラを活用した観光地域づくり事例5:石川県 のと里山空港
石川県の「のと里山空港」では、羽田便の1日2便運行を確保するため、航空会社に対して一定の搭乗率を保証する「搭乗率補償制度」を全国で初めて導入。毎年目標搭乗率を設定し、地域一体となって利用促進に取り組んでいます。
これで自治体のみならず、地域住民が空港に高い関心を持つようになり、空港を核とした地域振興のため、行政センターの合築、航空技術者を養成する民間教育施設の誘致などを行っています。また毎週住民参加型のイベントを開催などもしています。
まとめ
特定の地域に観光客を呼び込んだ後、どのようなインフラを利用して観光をしてもらうのか?という2次交通に注目した全国の取り組みをご紹介してきました。行政、民間、観光団体、地域住民が一丸となってこうした取り組みを進めていくという事も、観光を利用した地域の発展には欠かせないと言えるでしょう。
<参考>
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