爆買い何故減速した?これからターゲットとすべきは欧州圏訪日客? 世界のアウトバウンド・日本のインバウンドデータを比較してわかった意外な外国人観光客の消費動向

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2020年の4,000万人のインバウンド誘致を目指し、インバウンド観光市場が盛り上がっています。「外国人旅行客を日本に呼び込む」という視点から、日本国内の企業・自治体はさまざまなインバウンド誘致策に取り組んでいますが、そもそも世界規模での海外旅行市場は、どのようになっているのでしょうか?

UNWTO(国連世界観光機関)では、毎年、World Tourism Barometerというアウトバウンド・ツーリズム(各国からの海外旅行市場)に関するレポートを発行しています。前回は、2016年の世界での海外旅行市場に関して着目すべき数値や特徴を、ピックアップしてご紹介しまたが、今回は、それらを 日本のインバウンド観光市場の消費動向と比較・分析 していきます。

中国人が海外旅行で使ったお金は総額26兆円!13億5,000万人が海外に旅行した2016年の世界の観光市場 知っておくべき数値をまとめました

2020年の4,000万人の訪日外国人誘致を目指し、インバウンド観光市場が盛り上がっています。「外国人旅行客を日本に呼び込む」という視点から、日本国内の企業・自治体はさまざまなインバウンド誘致策に取り組んでいますが、そもそも世界規模での海外旅行市場は、どのようになっているのでしょうか?UNWTO(国連世界観光機関)では、毎年、World Tourism Barometerというアウトバウンド・ツーリズム(世界の海外旅行)に関するレポートを発行しています。今回は、2016年の世界での海外旅行...

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2014年~2016年までの外国人観光客の旅行支出はどう推移しているのか:世界全体と訪日旅行時で比較

海外旅行時の旅行支出額 上位10か国の年代別支出額:UNWTO(国連世界観光機関)「World Tourism Barometer」より数値を引用してグラフ化

海外旅行時の旅行支出額 上位10か国の年代別支出額:UNWTO(国連世界観光機関)「World Tourism Barometer」より数値を引用してグラフ化

上記のグラフは、UNWTO国連世界観光機関)のWorld Tourism Barometerに記載されている数値から、 海外旅行時の旅行支出額トップ10の国の旅行支出額を2014年から2016年まで年代別で表したもの です。

前編でもご紹介したように、2016年の海外旅行客による支出は、2015年と比較した場合、全体で4%増加。 上記のグラフでご紹介しているように、支出額がもっとも大きかった5か国は、中国、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスとなっており、中国人は26兆円、アメリカ人は12兆円 を海外旅行に使いました。

海外旅行時の旅行支出額 上位10か国の年代別支出額(訪日旅行時):観光庁「訪日外国人の消費動向 平成26年~平成28年」より数値を引用してグラフ化

海外旅行時の旅行支出額 上位10か国の年代別支出額(訪日旅行時):観光庁「訪日外国人の消費動向 平成26年~平成28年」より数値を引用してグラフ化

加えて、上記のグラフは、観光庁の訪日外国人の消費動向調査の数値から、 2014年から2016年まで海外旅行時の旅行支出額トップ10の国が訪日旅行時に使った金額を表したもの です。

1つ前のグラフと比べると、アジア圏の国を中心に旅行支出額が偏っている ことが把握できます。この2つのグラフをもう少し細かい視点から比較すると、日本のインバウンド観光市場に関してどのようなことが言えるのでしょうか?

「世界のアウトバンド市場」と「日本のインバウンド消費動向」を比較してどんなことが言えるのか?

その①:やはり「爆買い」は減速している:2015年~2016年の中国人・香港人観光客の旅行支出の伸びは、他国と全く同じ結果に

前編でもご紹介した通り、世界全体で見たときの中国人観光客 は、2012年ごろからアメリカを抜いて海外旅行時にもっともお金を使っている観光客です。中国人観光客の海外旅行支出は、2014年から2015年では+2.5兆円(10%増)、2015年から2016年では、+1兆円(4%増) となっています。

一方で、訪日中国人観光客 の旅行支出は、2014年から2015年では+8,591億円(150%増)と前年比の2.5倍の記録的な増加 が見られます。訪日中国人観光客の大量購買行動である 爆買い」の影響が反映 されている結果です。

しかし、翌年の2015年から2016年では、+580億円(4%増)と、中国人観光客が他国を旅行した場合の旅行支出の伸び率と同じである ということから、日本での爆買い減速の要因は 日本のインバウンド市場だけにあるわけではなく、そもそも中国人旅行者の海外での消費が減速傾向にある こと、そして 2015年の爆買い現象は一過性の異常値だった という見方ができます。

また、同じ 中華圏である香港においても同じ道をたどっている といえます。香港人が海外旅行時に使ったお金は、2014年から2016年にかけて、4%ほど伸び続けています。一方、訪日旅行時の支出は、2014年から2015年にかけては大きく増加していますが、翌年の2015年から2016年にかけては伸び悩んでいます。

とは言え、現在のインバウンド市場においては両国とも主要顧客であることは代わりありません。伸びにブレーキがかかったものの、いまだ消費額のボリュームは大きいので、引き続き注視すべき最重要市場であると言えます。

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その②:韓国人観光客は訪日観光時に、よりお金をたくさん使う傾向にある

韓国人が海外旅行に使ったお金は、2014年から2016年にかけて、8%ほど増え続けています。

しかし、それが訪日旅行となると、2014年から2015年にかけて+918億円(43%増)、翌年の2015年から2016年にかけて、+569億円(18%増)となっており、全体の旅行支出額で比較すれば、韓国人は、他国の観光時よりも訪日観光時の方が消費している という見方ができます。

その③:海外旅行支出額が安定しないフランス・ドイツ・カナダも訪日旅行時のインバウンド消費は順調に増えている!

フランス・ドイツ・カナダからの観光客は、海外旅行時 の旅行支出は多いものの、2014年~2016年に関しては旅行支出額が増減を繰り返しており、安定していません。 しかし、2014年~2016年の 訪日旅行時の旅行支出額は、はフランス・ドイツ・カナダからの観光客それぞれ増え続けています。

一般的に、イギリスやフランス、ドイツ、イタリアなどヨーロッパ圏の国々では、英語がどの国でも通じること、移動が楽であること、文化的に共通する点が多いことなどから、長期休暇中の旅行先として他のヨーロッパの国を訪れる傾向があります。

しかし、近年では2015年11月13日のパリ同時多発テロ事件、2016年3月22日のブリュッセルでの爆発事件、そして記憶にも新しい2017年5月の英マンチェスターのコンサート会場でのテロ事件など、治安面からヨーロッパ圏内の旅行を敬遠するムードもあり、治安の良さから日本に訪れる観光客が増加している点がこの数値にも反映されている のかもしれません。ヨーロッパ圏出身の訪日外国人観光客インバウンド消費動向には、引き続き関心を払っておくべきでしょう。

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まとめ:訪日旅行時と他国旅行時のお金の使い道はだいぶ違う

今回は、UNWTO国連世界観光機関)の「World Tourism Barometer」と観光庁の「訪日外国人の消費動向調査」を比較することで、訪日外国人観光客の消費動向について少し違った角度から分析してきました。

世界全体で13億5,000万人が海外旅行をした2016年。旅行支出は全体で前年度+4%を記録しましたが、外国人観光客のお金の使い道は、訪日旅行時と他国旅行時で異なるようです。

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訪日ラボ編集部

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