史上最高となる2,400万人の訪日外国人観光客が訪れた2016年の日本のインバウンド市場。2017年も引き続き訪日外国人観光客数は順調に推移 しており、各企業・自治体はインバウンド誘致策を進めています。
近年の日本のインバウンド業界では、日本国内で使われなくなった、もしくは稼働率が低い建物をインバウンド向けに改築・活用しようという動きが出てきています。 以前、訪日ラボでも扱った 「古民家の活用」 が、その好例でしょう。
古民家を使った旅館やレストランがオープンしやすく! 国交省、市街化調整区域の建造物を観光振興などに運用する方針
国土交通省は平成28年(2016年)12月27日、空き家になった古民家や住宅を地域資源と捉え、観光振興などを目的とした用途変更に柔軟に対応する方針を明らかにしました。類似の取り組みは各地で行なわれており、さらに活性化する可能性があります。訪日客の地方誘致に重要なのは、まず「知ってもらうこと」。効果的なインバウンドプロモーションについてより詳しい資料のダウンロードはこちらコト消費に対応!インバウンド動画プロモーションについてネット上の有名人を活用したインフルエンサープロモーションについてイン...
このような動きの一環として、お寺を観光客向けの宿泊施設として開放する 「宿坊」 が、近年話題になっています。
【訪日ラボは、8月5日にインバウンドカンファレンス「THE INBOUND DAY 2025」を開催します】
会場での開催に加え、一部講演ではオンライン配信(参加費無料)も実施!さらに、チケットを購入した方限定でアーカイブ配信も予定しています。
ご来場が難しい方や当日ご都合が合わない方も、この機会にぜひご参加ください。
岐阜県高山市のお寺をインバウンド向けに改装:訪日外国人はお寺に宿泊ができるように
2017年7月8日の日本経済新聞の記事によると、東京都・千代田区に本拠地を構えるベンチャー企業「シェアウィング」が、岐阜県高山市の高山善光寺にて、訪日外国人観光客向けに宿坊式のサービスを開始したとのこと。
同記事によるとシェアウィングは約3,000万円かけて高山善光寺を宿泊施設として改装しました。料金は一泊20,000円からで、フロントには英語対応が可能なスタッフが常駐。訪日外国人観光客の長期滞在にも対応するとのこと。
今回、シェアウィングは、近年のインバウンド増加から高山善光寺を宿坊ができる宿泊施設として改築しましたが、そもそも宿坊にはどんな歴史があるのでしょうか?
そもそも宿坊とは:本来は僧侶のみも近年では観光客も次第に利用可能に
「宿坊」とは、神社やお寺の中にある宿泊施設を指します。本来は、僧侶のみが宿泊する場所、または、参拝者が心身を清めるための施設 でした。しかし、現在では 訪日外国人観光客を含めた、一般観光客などの宿泊も受け入れています。
「宿坊」と言っても様々な形態があり、お寺、神社の建物そのものに宿泊できるもの、敷地内にある別の建物に宿泊するものがあります。また、期間に関しても、常時受け入れているものから、季節限定で受け入れているものまで存在しています。「宿坊」では、神社やお寺に泊まるだけではなく、写経、座禅、精進料理、法話、読経、滝行など修行体験も行うことができます。
国内の他の事例としては、積水ハウスグループ会社の積和不動産関西は、大阪市天王寺区に「宿坊」をテーマにした宿泊施設の建設を開始。さらに、「燦キャピタルマネージメント」のように宿坊に投資するファンドも現れています。日本財団でも文化体験プログラム「いろはにほん~Experience the Soul of Japan~」を開始しており、寺院滞在を通じて訪日外国人観光客に日本文化を紹介しています。
このように日本国内では インバウンド誘致策として、お寺を訪日外国人観光客向けに宿泊施設として改装する宿坊が注目されていますが、訪日外国人観光客のもとめるニーズと合致しているのでしょうか?
コト消費への移行を背景に注目を集める宿坊:積水ハウス、大阪市天王寺区に宿坊をテーマにしたインバウンド向け宿泊施設を建設へ
2020年の東京オリンピックに向け、政府は観光ビジョンの中で、訪日外国人観光客数の目標を、以前の2,000万人から4,000万人まで引き上げました。このような状況の中、国内外の企業、または自治体からも注目を集め始めている日本のインバウンド誘致。近年、日本国内では官民一体となって、訪日外国人観光客の受け入れ環境の整備が実施されていますが、未だにインバウンド受け入れには課題も多いのが事実。その課題の中で頻繁に取り上げられるのが、インバウンド向けの「宿泊施設不足」です。 目次大阪府で81.6% ...
コト消費へのシフトからインバウンド側からも支持を集める宿坊
以前であれば、日本におけるインバウンド消費動向は「モノ消費」に大きく左右される傾向にありました。しかし、近年では訪日中国人観光客による「爆買い」も収束に向かっており、日本文化・歴史に関係する「コト」をいかに訪日外国人観光客向けに売り込むか、いわゆる 「コト消費」の重要性が年々高まってきています。
宿坊は、訪日外国人観光客にとってお寺という歴史的な建造物に宿泊ができる 上に、上記で紹介したような 修行体験も行うことができる ため、訪日外国人観光客のコト消費へのシフトという観点から見ると、ニーズに合致しているものであるといえるでしょう。
実際に一般財団法人日本経済研究所が発表した「ご当地インバウンドにチャンスあり ~再発見! Gaikokujin に学ぶ魅惑の日本~」では、「外国人旅行者が日本で体験してみたい19のこと」として「宿坊」がランクイン しており、日本文化を体験しながら宿泊もできる宿坊は、訪日外国人観光客からも支持を集めていることが把握できます。
「コト消費」「モノ消費」とは?最近話題になっている訪日外国人の消費活動の変遷について解説
最近メディアの訪日外国人観光客に関するニュースで、「爆買い」から「コト消費」にキーワードのトレンドが移ってきています。訪日ラボでも何度か触れてきましたが、改めて「爆買い」「モノ消費」「コト消費」について解説していきます。コト消費で重要なのは「顧客満足度を上げる」こと!顧客満足度向上に有効なインバウンド対策についてより詳しい資料のダウンロードはこちら「翻訳・多言語化」の資料をDLして詳しく見てみるバーコードやQRコードを活用した多言語ソリューション「多言語化表示サービス」の資料をDLして詳し...
お寺に宿泊「宿坊」が訪日外国人観光客に人気:「宿泊施設不足の解消」と「日本文化の体験の提供」を実現
訪日外国人観光客の増加に伴い、同観光客によるインバウンド消費額も増加しています。さらに、2020年の東京オリンピックに向け、政府は観光ビジョンの中で、訪日外国人観光客数の目標を4000 万人まで引き上げました。そんな追い風を受けている日本のインバウンド市場。しかし、日本国内では、訪日外国人観光客向けの、宿泊施設不足が問題となっています。一般財団法人日本経済研究所から発表された「ご当地インバウンドにチャンスあり ~再発見! Gaikokujin に学ぶ魅惑の日本~」では、「外国人旅行者が日本...
アクティビティー・体験についてより詳しい資料のダウンロードはこちら
まとめ:インバウンド業界で注目を集める宿坊 国内でも整備が進む
訪日外国人観光客急増を背景に、岐阜県高山市の高山善光寺では観光客がお寺に宿泊しながら様々なアクティビティを体験できる「宿坊」を導入しました。
日本文化を体験できることに加え、歴史的な建物に宿泊もできる という宿坊の利点は、訪日外国人観光客のニーズと合致しており、これからも インバウンド業界では宿坊の整備が進んでいくことが予想されます。
「オプショナルツアー・体験予約サイト」の資料をDLして詳しく見てみる
<参照>
- 日本経済新聞:「高山市の寺で宿泊体験を」訪日客向けサービス
- 一般財団法人日本経済研究所:「ご当地インバウンドにチャンスあり ~再発見! Gaikokujin に学ぶ魅惑の日本~」
- 観光庁:観光白書
【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」
インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
本イベントでは「顧客への情報アピール」「顧客体験(ゲストエクスペリエンス)」「運営のデジタル化」など、施設運営に必要なをテーマを、市場の最前線を走るエキスパートたちが集結。お客様が施設を見つける「旅マエ」から、実際に滞在する「旅ナカ」まで、あらゆるフェーズにおける最新戦略と成功事例を徹底解説します。
<本セミナーのポイント>
- 変わりゆく市場の状況と、今後注目のトレンドを把握できる
- 旅マエの顧客行動を理解し、集客・予約率アップのヒントが得られる
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- 各分野の専門家から、ビジネスを加速させる具体的な戦略や成功事例が聞ける
詳しくはこちらをご覧ください。
→宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」【7/3開催】
【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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→「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年6月後編】
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