地域活性化の施策としても注目されるインバウンド誘致。以前の記事でもご紹介したように訪日外国人観光客は日本人観光客よりも旅行消費額が大幅に大きいため、インバウンド誘致を進めることは地方の財政が潤うことを意味 します。2016年にインバウンド誘致において大きな成功を収めた県としては香川県が有名ですが、2017年においてはどこの地域がインバウンド誘致に成功したのでしょうか。
インバウンド市場や各国の訪日外国人に関する調査やもっと詳しいインバウンドデータ知るには?
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インバウンド宿泊数の伸び「島根県」が史上初の1位を獲得!前年同月比+135.0%のインバウンド誘致に成功
楽天トラベルでは、2017年12月19日、「人気上昇都道府県・人気都道府県ランキング」を発表しています。これは楽天トラベルの外国語サイト経由の予約人数をもとに訪日外国人観光客に人気の宿泊先であった都道府県をランキング化したものです。予約数では東京や大阪などが上位を占めるかたちになりますが、昨年からの伸び率という観点からみてみると、島根県が1位を獲得 しました。下記のグラフは2017年のインバウンド宿泊予約数の伸びが2016年と比較して大きかった県をうえから5つあらわしたものです。
順位 | 都道府県名 | 前年同期比 |
---|---|---|
1位 | 島根県 | +135.0% |
2位 | 三重県 | +132.6% |
3位 | 鳥取県 | +130.9% |
4位 | 宮城県 | +123.1% |
5位 | 鹿児島県 | +119.1% |
島根県は前年同期比+135.0%の訪日外国人観光客の宿泊数を記録 しました。中でも 「松江・玉造・安来・奥出雲」は前年同期比+155.0%(約2.6倍) と島根県内でもっとも増加しました。その他には三重県や鳥取県、鹿児島県など全体的に 西日本が躍進する結果に なりました。2017年にインバウンド誘致において成功を収めた島根県。この背景は何なのでしょうか。
①新規路線が開拓により香港人殺到が殺到!地方空港の整備はインバウンド誘致に有効な手立ての一つに
楽天トラベルの調査によると、島根県に宿泊する外国人観光客の中でもっとも多かったのは訪日香港人観光客 であったとのこと。この背景には、香港航空の米子-香港線の就航の開始など国際線の便数の拡大 があります。近年、訪日外国人観光客の地方訪問が増加しているという背景もあって地方空港では、国際線の便数を増やしたり、無料wi-Fiを設置したり、多言語案内を充実させたりとさまざまなインバウンド対策をしています。島根県においても空港におけるインバウンド受け入れ体制の整備を進めており、 こうした努力が実を結んだという見方もできるでしょう。
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中国や東南アジア諸国などを対象にしたビザの条件緩和や、格安航空会社(LCC)の普及、また円安が進んだことなどを理由に、近年、訪日外国人観光客の数が増え続けています。このような背景を受け、政府は今年、訪日外国人観光客数を2020年に4,000万人とする新たな目標を発表しています。航空路線の拡大やクルーズ船の寄航増加などもあり、2016年度も1月から8月までの期間で、訪日外国人観光客数は初めて1,600万人を超えるなど、訪日外国人観光客数は引き続き好調に伸びています。そんな追い風を受け、魅力的...
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②DMOの設立が功を奏した?!
以前の訪日ラボの記事でご紹介したように、今年から島根県東部の自治体(松江市など)、鳥取県西部の自治体(米子市など)などを中心としたDMOである 「中海・宍道湖・大山圏域インバウンド機構」 が設立されています。 同DMOで取り組んでいるインバウンド誘致策は以下の3点です。
- 訪日客誘致と北東アジア(ロシア・韓国・中国北部)との観光ネットワークの形成
- ビジネス目的での訪日客を誘致するために国際チャーター便の就航本数を増加
- インバウンド受け入れ体制の充実:外国語対応やネット接続環境の整備、SNSやウェブ上のプラットフォームを活用したPRなど
設立されたのは2017年に入ってからなので、今年のインバウンド宿泊数の急激な増加と直接的にかかわっているかは不明ですが、島根県では鳥取県と合同で山陰インバウンド機構にも参加 しており、インバウンド向けに 広域観光周遊ルート「縁の道~山陰~」を整備 しています。これは山陰地域の四季折々の自然やイベント郷土料理、伝統工芸品の数々など山陰の魅力を組み込んだ観光モデルコースです。島根県のみならず、山陰として地域の魅力を訪日外国人観光客向けにPRしている ことで、多くのインバウンド誘致に成功したとの予測も可能でしょう。
島根・鳥取に新DMO設立のワケとは?これからターゲットにしていくのはあの訪日外国人!両県のインバウンド観光の課題と施策とは
2016年に中国地方を訪れた訪日外国人観光客数と国籍別割合:宿泊旅行統計調査をもとに数値をグラフ化観光庁の宿泊旅行統計調査 によると、2016年に中国地方5県(鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県)に宿泊した延べ訪日外国人観光客数は、 過去最高となる1,372,660人 を記録しました。特に 岡山県では、前年比65.2%増 という大幅なインバウンド増加を記録しています。また、中国地方にはアジア圏のみに限らず、欧米系の訪日外国人観光客も多く訪れています。こうした背景から中国地方においても徐...
まとめ:2017年の地方誘致の成功例「島根県」の取り組みを参考にしよう
2016年の地方のインバウンド誘致の主役は香川県でしたが、今年は島根県がそのポジションに落ち着きそうです。楽天トラベルの調査によると、島根県は前年同月比+135.0%の訪日外国人観光客が宿泊したとのこと。背景には、①国際便の本数拡充により香港人を中心とした訪日外国人観光客が増加したこと②DMO設立など島根だけではなく地域として訪日外国人観光客の誘致を進めたこと などが挙げられるでしょう。
モノ消費からコト消費への訪日外国人観光客の消費トレンドの変化からその土地独自の体験が重要視されている現在、地方に訪れる訪日外国人観光客はこれからも増加していくことが予測できます。2017年の島根県の取り組みはインバウンド誘致を検討する自治体にとって参考になるものでしょう。
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<参照>
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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
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