訪日外国人観光客を集客したいと考える全国の観光協会や宿泊施設、各種店舗にとって 「外国語対応」はもっとも大きな課題 です。これまでの訪日ラボの記事でも取り上げたように、こうした課題を解決するべく、国内では外国人観光客との接客時に役立つツールが多く開発されています。iliやメガホンヤク、指さし会話シートなどがその好例でしょう。では、実際にどこの国出身の訪日外国人観光客が外国語対応を必要としているのでしょうか。 Amadeusの資料をもとに紐解いていきます。
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外国語対応が必要なのは、どこ出身の観光客なのだろうか?
スペイン・マドリードに本社を置くIT企業Amadeusでは「Amadeus Journey of Me Insights」を作成しています。これは、Amadeus社がイギリス・ロンドンのリサーチ会社YouGovと共同で 2017年5月に実施 した調査をもとに作成された アジア太平洋地域の海外旅行者に関する調査レポート です。アジア・オセアニア14か国(オーストラリア・中国・香港・インド・インドネシア・日本・韓国・マレーシア・ニュージーランド・フィリピン・シンガポール・台湾・タイ・ベトナム)出身かつ過去1年間に飛行機で旅行した人6,870人が調査対象となりました。本資料をもとにアジア・オセアニア出身の海外旅行客の間での母国語・共通語による外国語対応の需要に関して説明していきます。
①英語圏+中国本土で外国語対応スタッフへの需要が大きい:特にシンガポール人のうち84%が外国語対応スタッフが必要と回答
宿泊施設や各種店舗において、自国の母国語・共通語に対応するスタッフが必要と回答した人が多かったのは「オーストラリア(70%)」、「中国(73%)」、「インド(73%)」、「ニュージーランド(76%)」、「フィリピン(78%)」、「シンガポール(84%)」などの国 です。上記の国では 70%以上が飲食店や宿泊施設において母国語を話すスタッフが必要であると回答 しています。
オーストラリアやインド、ニュージーランドやフィリピン、シンガポールなど 英語が母国語、もしくは広く使われている国において店舗や宿泊施設での外国語対応に対する需要が大きい結果に なっています。中国語圏に関しては、中国本土出身の海外旅行客の間では母国語対応に対するニーズが大きいものの、香港(4%)や台湾(9%)ではそこまでニーズが大きくない ようです。加えて、タイやベトナム、韓国、日本などそもそも 話者が世界的に見てもそこまで多くない言語を母国語として持つ国々では、スタッフの外国語対応に対する需要が小さい ことも併せて把握できるでしょう。
②ツアーガイドに関しても同様の傾向に:中国・フィリピン・シンガポールでは母国語のツアーガイドの需要が特に大きい
ツアーガイドに関しても同様の傾向が見られ、英語圏に加え中国本土で自国の母国語・共通語に対応するツアーガイドへの需要が大きい結果になりました。 日本のインバウンド業界においては、改正通訳案内士法が1月4日に施行され、無資格でも訪日外国人観光客向けに有償のツアーガイドが行えるように なりました。こうした流れを受け、大手旅行代理店H.I.Sでは既に訪日外国人観光客と日本国内のガイドのマッチングサイト「Travee(トラヴィ)」の運営を開始しており、今後、訪日外国人観光客にとってツアーガイドの利用はより一般的なものになっていく ことが予測されます。母国語・共通語に対応するツアーガイドの需要が特に大きいオーストラリア人や中国人、インド人、ニュージーランド人、フィリピン人、シンガポール人はこれからインバウンド向けに有償のガイドを行うことを検討している人にとって格好のターゲットとなってくるかもしれません。
改正通訳案内士法施行、無資格で有償の観光ガイド可能に
改正通訳案内士法が2018年1月4日に施行されました。これは2020年に訪日外国人旅行者を4,000万人とする政府の目標に向かって進められている規制緩和のひとつです。通訳案内士法の改正後は、通訳案内士の業務独占規制が廃止され、今までの通訳案内士と呼ばれていた人は「全国通訳案内士」となりました。これによって、今までは有資格者でなければできなかった訪日外国人へのガイド行為が、資格を持たずとも報酬を得て行えるようになります。今回の記事では、通訳案内士法が改正された背景や、改正によって注目される訪...
まとめ:英語圏・中国本土で母国語対応への需要が大きい結果に:アジア圏の訪日客向け外国語対応を見直そう
Amadeusの資料によると、アジア・オセアニア出身の海外旅行者の間では、旅行時の母国語・共通語対応のスタッフ、ツアーガイドに対する需要に大きなばらつきがあることが把握できます。オーストラリアやインド、ニュージーランド、フィリピン、シンガポールなどの英語圏、加えて中国では、母国語・共通語対応のスタッフ、ツアーガイドに対するニーズが大きく、対照的にタイやベトナムなどでは小さい結果になりました。外国語対応をするにあたってすべての言語を網羅すれば良いというわけではなく、これからは英語や中国語など話者が多い言語に特化した外国語対応が求められてくる かもしれません。
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<参照>
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2024年、訪日外国人による旅行消費額は過去最高の約8兆1,257億円を記録。 そのうち中国は1.7兆円超(全体の約21%)と圧倒的な1位を占めており、宿泊日数や訪問者数でもトップクラスの存在感を示しています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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