インバウンドプロモーションにおける「ビッグデータの活用」が重要視されてきています。
そこで、Vpon Japan株式会社では、同社が保有する6,000万人の旅行者データを分析した「関西圏の旅ナカ観光客のインサイト」や最新のビッグデータ活用事例を紹介するべく、2018年5月23日に「Vpon ビッグデータ インバウンド ワークショップ in 大阪 !! ~ビッグデータがインバウンドに革新性をもたらす~」を開催。
本セミナーでは、Vpon Japan以外にもJNTOや大阪観光局も登壇し、ビックデータ活用について語りました。今回、こちらのセミナーレポートをお届けします。
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Travel Big Dataから紐解く大阪圏旅ナカ観光客インサイトとデジタルマーケティング:Vpon Japan 篠原氏
Vpon Japanが抱える6,000万人の旅行者データから構成されているTravel Big Dataを元に、大阪圏におけるインバウンドの動向をVpon Japan代表の篠原氏が解説しました。
「中華圏旅行者は国慶節がある10月に大阪への訪日が多くなると思うが、実は8月の夏休みシーズンが最も多い」ことや、「香港・台湾からの観光客も7月、8月が年間で一番多く、大阪に訪れている」など、大阪インバウンドの動向について、データを元に各国ごとの特徴などを説明しました。
さらに、大阪に来る中華圏訪日外国人の旅マエ期間の長さに関するデータも解説。「中国と香港であればおおよそ、旅行決定から渡航まで、約一ヶ月半、台湾は約3~4週間と、国によって、準備期間が異なる」とコメントしました。最後には「国ごとに最適なタイミングでプロモーションを始めることが重要」と力説していました。
他にも上記の写真のようにVpon Japanが抱えるビックデータを活用すると、大阪にいる旅ナカ旅行者のタイプやユーザーの傾向が分かります。「中国人であれば、テクノロジー愛好家やスポーツ愛好家が多い、香港人であれば、エンタメ愛好家、台湾であればゲーム愛好家であったり、国ごとの訪日外国人の属性データを把握ができる」とのこと。
このようにVpon Japanが抱えるTravel Big Dataを活用すると訪日外国人の属性を把握し、それに合わせた効果的なプロモーション活動が可能になります。
1万件以上の実績から導き出されたデータドリブンデジタルマーケティング
データドリブンマーケティングは、数あるマーケティング手法のなかでも、データの活用に重点をおいたマーケティング手法です。マーケティング施策を考案する際には、データによる根拠をもとに施策を決めることで、より施策の効果を高めることを目指します。
こうしたデータドリブンマーケティングを実現するためには、データをいかに見える化するかが重要となります。データはそれだけでは意味を持たず、そのデータをもとに効果的な施策を打つことではじめて意味をもつ存在です。
施策を打つためには、往々にして、周りの人間や上司にその施策を打ちたい理由を説明する必要があります。この時に、データを見える化しておけば、この難易度を大きく下げることができます。
Vpon Japanでは、データドリブンデジタルマーケティングにおいては、特に
- ビジュアライゼーションでデータを誰が見ても分かりやすくすること
- データの有用化すなわちデータの活用に力を入れていること
を説明しました。
日本政府観光局 (JNTO)が進めるデジタルマーケティングの活用と今後の展望:JNTO 吉田氏
第二部は、日本政府観光局(JNTO)グローバルマーケティング部 デジタルマーケティング室長 吉田憲司氏がJNTOにおけるデジタルマーケティングでの取り組みや事例、今後の展開というテーマでした。
吉田氏いわく、昨年10月にデジタルマーケティング室を開設。Instagram開設、Japan Official Travel Appのローンチ、JNTOの訪日外国人向けウェブサイトの一新とスマホ対応化などを行い「デジタルマーケティングを実施できる体制づくりなどをここ数ヶ月で進めてきた」とのこと。
「グーグルアナリティクスなど内部データを収集できるツールを積極的に活用し、データを元にマーケティングを進めるデータドリブンマーケティングを取り入れ始めている」と吉田氏が述べていました。
最もチャレンジングな挑戦「Enjoy my Japanグローバルキャンペーン」
「Enjoy my Japanグローバルキャンペーン」でのデジタルマーケティング活用事例について吉田氏が解説しました。こちらは、欧米豪の訪日旅行無関心層にデジタルマーケティングを活用し、訪日に対して興味関心を持ってもらい、実際に日本に来てもらえるようにプロモーションするキャンペーンです。
Enjoy my Japan
Japan is where the world's artists, adventurers, foodies and thrill seekers go for great experiences and memories that last a lifetime. Explore the possibilities and share your idea of a great excursion through this collection of movie clips.
「欧米豪の外国人向けにまず、アンケートを行い、その調査結果から7つのパッションという、欧米豪の外国人が旅行に対するモチベーションを発見した」と解説。7つのパッションは具体的には「伝統文化や歴史的遺跡・建築等を楽しむ」や「食事やお酒を楽しむ」などについてでした。その旅行へのモチベーションに対して、的確にアプローチできるように動画広告やリターゲティングなどを活用し、プロモーションを進めています。
「今年度はJNTOにおける内部データと外部データを保有している企業(Vpon Japan等)との連携を強化し、データを充実し、デジタルマーケティングに活かしていく方針」であると吉田氏は最後に展望を述べました。
アジア最大のトラベルDMP “Trata DMP” の紹介とデモンストレーション:Vpon Japan Hood Chang氏
第三部はVpon JapanによるTrata DMPによるデモンストレーションを行いました。Trata DMPとはVpon Japanが抱えるアジア圏の9億を超えるスマートフォンユーザーや1000以上の協力ブランドから提供されたデータを活用し、訪日に興味があるユーザーのデータがあるDMPのことを指します。
DMPとはデータマネジメントプラットフォームの略称でインターネット上の様々なサーバーに蓄積されるビッグデータや自社サイトのログデータなどを一元管理、分析し、最終的に広告配信などのアクションプランの最適化を実現するためのプラットフォームのことを意味します。要するにTrata DMPとは訪日に興味のあるユーザーのデータベースのようなイメージです。
このように、アジアのみならず全世界で、どのように旅行者が移動しているのかという胴体データを取得できます。
その他にも、大阪市内でどこの国籍の訪日外国人が、どこに多くいるのかなどの情報を取得することができます。Trata DMPを活用し、これらのデータを元に、国ごとに適切なタイミングでプロモーションをすることができます。
大阪観光局のデジタルマーケティング施策と今後の展望:大阪観光局 牧田氏
「今まで大阪で観光というと、感や経験で取り組まれていたことが多く、特にデジタルを活用した施策が遅れていた、だからこそデータを活用して客観的な施策を行っていくように立ち上げられた」と大阪観光局ができた経緯を大阪観光局の牧田氏が最初に説明しました。
その次に、最近のデジタルマーケティングの事例として、SNS調査とGPS調査を実施した事例を解説。その調査結果として「22時以降になると大阪は、訪日外国人の消費や行動が下がるという傾向」があり、つまり22時になると、ホテルに戻ってしまう訪日外国人が多いとのこと。
22時以降出歩く訪日客激減:夜遊びできず 食後すぐホテルへ…ナイトタイムエコノミーの発掘が急がれる結果に 大阪「外国人夜間動向調査」で
訪日外国人が日本で感じる不満点の1つに 「夜間のエンターテインメントが充実していない」 というものがあります。これに対し、実際に現時点で 訪日外国人は夜間にどのような行動をしているのか? といった調査を大阪観光局 マーケティング室が行っています。この大阪観光局が行っている「外国人夜間動向調査」から訪日外国人の夜間の行動を探ってみましょう。なお今回の分析にはJapan Connected‐free Wi-Fiを利用したユーザーが利用を許諾した情報のログデータとなり、分析対象となっているログは...
データを元にナイトタイムエコノニーを活性化する施策をする大阪観光局
SNS調査とGPS調査の結果、22時になると訪日外国人の行動と消費が減ることが明らかになりました。それらの情報元に大阪観光局は大阪ナイトアウトという21時〜24時までの訪日外国人の消費を拡大させるための施策を考え、実証実験中とのこと。
大阪のナイトバーやクラブなどの19店舗をピックアップし、訪日外国人が訪れるようなキャンペーンやパッケージ作成などを実施中。このように大阪観光局は調査を元に施策を考え、実行までを行い、検証を行っています。
大阪
訪日外国人の目線から見ると、諸外国と比較して日本には夕食を食べ終えた8時から0時頃までのエンターテイメントがなく、日本の夜は退屈だと言われることもあります。「日本でもバーやクラブは深夜まで営業しているじゃないか」という声もありますが、この場合のエンターテイメントというのは、美術館や演劇場などを指しています。海外では美術館や演劇場が9時、10時程度まで開いている場合もあり、その土地を訪れた観光客を楽しませています。こうした夜のエンターテイメント、ナイトタイムエコノミーが充実していれば、訪日外...
そこで牧田氏が力説していたのがDMP整備の重要性。「DMPを整備すれば今まで行った施策のデータを残しておき、ノウハウやデータが蓄積されていきます。他にはVpon japanなどの外部データを持っている企業と連携をしDMPの精度をブラッシュアップしていきたい」とのこと。データを元にした施策を重視していることがセミナーから伝わりました。
まとめ
「Vpon ビッグデータ インバウンド ワークショップ in 大阪 !! ~ビッグデータがインバウンドに革新性をもたらす~」セミナーは90名収容の会場が満席になるほど、大盛況で開催を迎えることができました。
各登壇者は、終始、データの重要性やデータを元にした施策の立案、実行後の振り返りの重要性を伝えており、参加者からはの皆様は大変満足の声があがっていました。これからのインバウンドマーケティングにおいてのビッグデータ活用の可能性をうかがわせるセミナーとなっており、今後多様化が進むインバウンドにおいては、その重要性は更に高まってきそうです。
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