伊豆半島が「世界ジオパーク」に認定されました。ジオパークは直訳すれば「地球公園」です。自然の美しさを目で見るだけでなく、学術的な価値もふくめ言葉にし理解しながら自然をめぐる注目の観光手法といえます。
ジオパークが注目される理由は、世界自然遺産のようにグローバル観光のブランディングが出来るというだけでなく、自然観光資源をアクティビティ化し収益化しやすい点が挙げられます。
日本には9ヶ所の「世界ジオパーク」があり、世界的にいっても認定が多い国のひとつです。しかしお隣りの中国には37ヶ所もの世界ジオパークが存在します。これからのインバウンド業界において世界ジオパークがもつ重要性をまとめました。
環境省、「国立公園満喫プロジェクト」で国立公園8つを選定:ブランド化により訪日外国人観光客を誘致
環境省は7月25日、「国立公園満喫プロジェクト」の対象として、日本国内の8つの国立公園を発表しました。これは政府がとりまとめた「明日の日本を支える観光ビジョン」に基づくもので、選定された国立公園では訪日外国人観光客の誘致に向けた取り組みが行われます。このプロジェクトは後に全国の国立公園にまで拡大される予定です。今回は「国立公園満喫プロジェクト」の展望、実施される取り組みについてご紹介します。 目次国立公園満喫プロジェクトの背景:「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」で提唱日本各地から予...
「国立公園をより楽しめるようにすること」「インバウンド増加につなげること」が目的
環境省は、国立公園満喫プロジェクトの動きと連動して国立公園利用者がより一層楽しめるようにすること及びインバウンド増を図るため、環境省の国立公園の利用拠点であるビジターセンターをいかに活用していくのか?ということを「ビジターセンター情報発信強化プロジェクト」としてまとめています。どのような内容になっているのか詳しくみていきましょう。目次ビジターセンター情報発信強化プロジェクトの背景ビジターセンター情報発信強化プロジェクトの目的ビジターセンターとは、そもそも何か?ビジターセンターの情報発信の方...
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「自然・景勝地観光」は訪日外国人の4大人気アクティビティ
昨年度の観光庁のアンケートによると、観光・レジャー目的で日本を訪れた73.6%の訪日外国人は「自然・景勝地観光をした」と答えています。(訪日外国人消費動向調査・H29年年間値より)
同アンケートから日本での人気アクティビティをランキングすると
- 1位「日本食を食べる(96.0%)」
- 2位「ショッピング(89.3%)」
- 3位「繁華街を歩く(79.2%)」
- 4位「自然・景勝地観光(73.6%)」
「自然・景勝地観光(73.6%)」は「温泉入浴(38.7%)・旅館に宿泊(33.6%)」より、はるかにポピュラーなアクティビティであることがわかります。
ラーメン大好きフィリピン、ガイドブック好きのイタリア、品質本位のベトナム…日本への好感度が高い国でも「刺さるポイント」はそれぞれ違うことが判
株式会社電通が「ジャパンブランド調査2018」を発表しました。この調査は親日度(日本に対する好意度)・訪日旅行意向・希望訪問地域とその理由、日本産品に対する興味・関心やイメージなど多岐にわたるデータを収集しています。いわば日本に対する好感度調査にあたるこのリサーチ。2018年1~2月にかけて20カ国で行われました。日本への好感度は果たしてインバウンドに結び付いているのでしょうか?インバウンド市場や各国の訪日外国人に関する調査やもっと詳しいインバウンドデータ知るには?訪日ラボがまとめた「イン...
ヨーロッパ系の訪日外国人観光客が特に好む「自然・景勝地観光」
もっとも「自然・景勝地観光をした」割合の高い訪日外国人観光客は、
- 1位 スペイン(86.1%)
- 2位 イタリア(84.0%)
- 3位 英国(83.9%)
- 4位 ドイツ(83%)
- 5位 オーストラリア(82.8%)
となっており、訪日欧米人は総じて「自然・景勝地観光」を好むことがわかります。彼らは「次回したいアクティビティ」としても「自然・景勝地観光」を挙げています。
例外はフランスで、スペインとほぼ同数の訪日数があるにもかかわらず「自然・景勝地観光」をした割合は72%にとどまっています。これはフランスの観光文化が文化観光主力であることも関係ありそうです。
「自然・景勝地観光」に「満足した」のは英語圏からの観光客
日本での「自然・景勝地観光」に「満足した」と答えた訪日国別ランキングを見ると英語圏・または英語が通じる国が圧倒的に多いことがわかります。
- 1位 英国(99.5%)
- 2位 インド(98.4%)
- 3位 インドネシア(98.1%)
- 4位 シンガポール(98.1%)
- 5位 オーストラリア(97.8%)
- 6位 カナダ(97.7%)
同アンケートからは、フランス(96.8%)・イタリア(96.5%)・スペイン(95.9%)といったラテン語圏からの訪日外国人の「自然・景勝地観光」への満足率は英語圏ほどではないということがわかりました。
「自然・景勝地観光」にもっとも「満足していない」のは東アジアからの観光客
訪日数が多い東アジア諸国からの訪日客も「自然・景勝地観光」への満足率はあまり高くありません。
- 中国(87.8%)
- 香港(87.8%)
- 韓国(87.3%)
- 台湾(86.1%)
これらの東アジアの国々は圧倒的な訪日観光客数があるので、満足度が低いというのは大きな問題のように思われます。
多言語化のニーズに対応が遅れている日本の自然観光の現状
英語圏からの訪日客は自然観光への満足度が高く、それ以外の言語を話す訪日客はそうでもない…訪日客の「自然・景勝地観光」への満足度と出身国言語に相関関係があるとすれば、多言語対応の遅れによる提供情報の不均衡が生じている可能性があります。
観光庁が発表した「通訳案内士を巡る状況及び今後の対応について(平成27年)」という資料を見ると、日本国内で訪日外国人をツアーガイドする登録通訳案内士は英語ガイドに偏重し、多言語化が出来ていない問題が指摘されています。
また同資料では自然観光ニーズの顕在化にも対応が出来ていないことが指摘されています。トレッキングガイドや山岳ガイドといったアクティビティガイドの数が圧倒的に不足しているのです。
自然観光資源を収益につなげるためには、訪日外国人が自然を眺めて歩くだけではなく、そこにツアーガイドが付き添い母国語で説明を加えたり実際に植物や鉱物を手に取って体験してもらう努力が必要です。
パンフレットや案内板も多言語対応が足らず「日本語にローマ字表記を併記」程度では自然の持つ複雑な魅力をほとんど伝えることは出来ないでしょう。
多言語対応への遅れが英語を母国語としない訪日外国人観光客の「自然・景勝地観光」への満足度が低い原因となっている可能性は否定できません。
まとめ:自然観光資源の収益化には多言語対応が不可欠
自然観光資源を収益につなげるためには、自然を眺めるだけでは不十分で、トレッキングやキャンプといったアクティビティ化して課金していくことが必要です。ツアーガイドの養成やアクティビティ拠点の整備を急ぐ必要があるでしょう。せめてパンフレットや掲示だけでも多言語対応し、訪日外国人が母国語で日本の自然に親しめる環境を作るのが必要です。
観光庁アンケートによると、訪日外国人の約半数は旅マエの時点で旅程に「自然・景勝地観光」を入れたことがわかっています。旅行中の飲食や宿泊、購買などの旅ナカ消費をどの地域で行うかは旅マエで「自然・景勝地」を軸に決められているのです。
「ジオパークだから・国立公園だから」と広大な自然に入場料をかけることは難しいものの、有料の自然観光ツアーや宿泊を伴うアクティビティはいくらでも導入可能で、じじつ世界各地の自然公園で行われています。
多言語対応と専門知識で「自然・景勝地観光」という観光資源の収益性を高めることは可能です。自然から生まれた利益を自然環境の保護に使うという理想的な観光スタイルも可能になっていくでしょう。
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今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
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