なぜ今、欧米で「ストロー禁止」が叫ばれるのか?インバウンドでも無視できない「食のおもてなし」の多様性を考えるきっかけに

公開日:2018年07月30日

「2020年までに全世界の店舗で使い捨てストローを廃止」というスターバックスの声明が2018年6月に発表されました。なぜ今、小さなプラスチック片であるストローが取り立ててそれほど大きな批判を呼ぶのか、よくわからないと感じている人も多いのではないでしょうか。

欧米のストロー禁止(plastic straw ban)運動は、実は日本のインバウンド業界として汲み取るべき強い食へのメッセージを含んでいます。ストロー禁止問題は日本のインバウンド業界にとって、どのような意味を持つのかまとめました。

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ストロー禁止騒動のあらまし

プラスチックのゴミは以前より世界的な問題になってきました。特に近年、この中でも海洋廃棄が問題視されています。

プラスチックは自然に分解されることが難しいため「焼却・埋め立て・海洋廃棄」のいずれかが最終処分になります。海洋廃棄されたプラスチックのゴミは海に漂い、クジラやカメなどの海洋生物が餌のクラゲと間違えて、食べてしまうケースが多発しているためです。

こうした環境問題を受けてアメリカで始まった「ストロー禁止」運動は3つの象徴的な事例と共に語られることが多いようです。

  • スターバックスによる2020年使い捨てストロー全廃の声明発表
  • スターバックスのお膝元・シアトルにおけるプラスチック製ストロー禁止条例施行
  • フットボール界のスター・トム・ブレイディ氏によるアンチ・ストロー・キャンペーン

この中でも日本のメディアでよく目にするのはスターバックスによる2020年までにストロー全廃宣言です。

よく見ると穏当なスターバックスによる「ストロー廃止」宣言。メディアがセンセーショナルに取り上げる理由とは?

実際にスターバックスのプレスリリースを見てみると、その内容は極めて穏当なものであることがわかります。

「ストローがなくても飲みやすい蓋(リサイクル可能なプラスチック)を用意し、プラスチックではない代替材によるストローを用意します。巨額の予算を投じてリサイクル可能・自然分解で堆肥化されるカップの開発に乗り出します」

スターバックスのグローバルプレスリリース July 9, 2018 Coffee & Company

スターバックスのグローバルプレスリリース July 9, 2018 Coffee & Company

環境問題におけるゴミ対策の3原則はREDUCE-REUSE-RECYCLE(減らす・再利用する・リサイクルする)」です。

じつはスターバックスはストローだけでなく、プラスチック製品全体を見直してこの3原則を行うとしています。メディアにおいてストローだけがことさら取り上げられるのはナゼでしょうか?

「カフェでくつろぐ」という日常の楽しみに潜む原罪を問う・メッセージ性の強い「ストロー禁止」

ストロー禁止は象徴的なメッセージを私たちに伝えています。

誰もがちょっとした日常の楽しみで何気なく使い捨てしているストロー海洋生物がプラスチック汚染で苦しんでいるという2つの対極事例を結びつけ、一般人の当事者意識を目覚めさせるという狙いです。

カフェで冷たいドリンクを片手にスマホチェック、好きな音楽でしばしくつろぐ…誰もが経験のある日常の小さな楽しみが地球の環境を破壊していると知れば、それを続けることは居心地が悪いに違いありません。

プラスチック製ストロー禁止条例施行をしたシアトルはスターバックスやマイクロソフトといった企業城下町で富裕層が多い・意識が高い街です。またトム・ブレイディ氏はフットボール界のスターで、超有名モデルの夫で、誰もが憧れるセレブです。

注目度も高く、オピニオンリーダーである街・人物・企業が揃って取り組んでいる「ストロー禁止」の流れは、今後も注目され、世界的な共感を得ていくのかも知れません。

「食べることは選択である」という訪日外国人は多い。まだまだ対応しきれていない日本のインバウンド業界

今回のストロー禁止に見られるように、海外では食とライフスタイルは切っても切れない関係にあります。自分が食べるものを自分で選択するという考え方は日本で考える以上に強いのです。

たとえば、伝統的には肉食が多い欧米でベジタリアンは増え続けています。ベジタリアンになる理由は様々ですが、共通しているのは「自ら選んでベジタリアンになっている」という点です。

世界的なミール・デリバリー企業 「Just Eat」によるサーベイ 2018年ベジタリアン食はトレンドに www.riseofthevegan.comより

世界的なミール・デリバリー企業 「Just Eat」によるサーベイ 2018年ベジタリアン食はトレンドに www.riseofthevegan.comより

フランスではベジタリアンによる食肉店打ち壊しなども多発するほど、食に対する思想は強く人間の行動に影響しています。訪日外国人を多数受け入れる状況下で、これを尊重しないというわけにはいかないのです。

飲食店でのインバウンド対策で必須知識!訪日外国人に多い「ベジタリアン」とは?

飲食店が訪日外国人観光客を接客する場合、別の記事でご説明したそれぞれの国ごとの食習慣・マナーの違いのほか、嗜好や宗教によって「食べることが出来ないもの」「食べてはいけないもの」「食べたくないもの」があることに注意が必要です。この記事では訪日外国人観光客の嗜好によって気をつけるべきポイントとして、海外では多い「ベジタリアン」についてご紹介します。 目次ベジタリアンとは?ベジタリアンの種類ビーガン/ピュアベジタリアン(純粋菜食主義者)ダイエタリー・ビーガンフルータリアンラクト・ベジタリアン(乳...

日本のインバウンド業界でもそろそろ「食に対する選択と決定」を尊重しないといけないのでは?

SNS上で訪日を前にした外国人同士で繰り返される質問があります。

「日本でおススメのベジタリアンレストランはどこ?」「東京でオーガニック食材はどこで買えるの?」といったものです。TwitterやFacebookでこの質問はいつも繰り返されています。それに答えているのも、じつは日本人ではなく外国人が多いようです。

「日本でベジタリアンとして生きるのは大変なことだ」 ベジタリアンのための日本の生活アドバイス12箇条(Twitterより)

「残さない」「好き嫌いをしない」という日本の食事における美徳は世界では通用しません。特に訪日外国人に食事を提供するインバウンド業界はいち早くこれに対応したもの勝ちのようです。

Trip AdvisorのTOKYO100で3位入賞「割烹伊勢すえよし」の実践するインバウンド対策とは?

「The Taste」でのJNTO出展の様子:timtvhollywood.comより引用訪日外国人観光客の増加から、インバウンド需要が増えている飲食業界。日本政府観光局(JNTO)は、日本食のもつ潜在性に目を付け、「Los Angeles Times」が主催する食のイベント『The Taste』のブースにおいて、「日本食」を紹介するコーナーを出店しました。訪日外国人観光客からも関心が高い「日本食」を使って、さらなる訪日外国人観光客の誘致に取り組むことが目的です。観光庁の資料によると、「日...

まとめ:訪日外国人への「食のおもてなし」は美食だけではない。インバウンド業界は「食の選択」を用意するべき

今回のストロー禁止が日本のインバウンド業界に提起するのは、訪日外国人の中には自らの食を選ぶことに強いこだわりがある人も多数おり、きめ細かく選べる食の選択肢を用意する必要があるということです。

飲食店のための宗教別インバウンド対策・おもてなしポイント:仏教編

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その市場規模1,000億円以上 ムスリム訪日客増加で莫大になりつつあるハラール食品市場は地方誘致にも一役買うのか?

近年増加傾向にあるムスリムの訪日外国人観光客を受け入れるために日本国内ではさまざまなインバウンド対策が行われています。例えば、大阪観光局では宗教上の制約に従った「ハラル」やそれに準じる料理を提供する店やホテルを紹介するA4判の冊子 「ハラル&ムスリムフレンドリーマップ」を制作しています。また、LCCを利用して多くのムスリムが入国する成田空港でも ムスリム向け無料観光ガイド「CHIBA MUSLIM TOURISM GUIDE」が配布されています。ムスリム市場は年々成長しており、これに伴い ...

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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