2020年の東京オリンピックに向けて、サマータイム導入が検討されています。最近の日本の酷暑は五輪・パラリンピック選手への負担が大きいため、2時間を前倒しにすることで少しでも涼しい時間に競技してもらおうという考えです。一般的には観光業や飲食業というインバウンド業界にとって、サマータイムは好ましいものとされているようですが、イスラム諸国からの訪日ムスリム客は減るかも知れないという声もあります。
意外と知られていないのは、サマータイムの本場であるアメリカ・ヨーロッパでもその評価はまちまちで、サマータイムを採用却下したり、導入後廃止してしまった国もあります。世界のサマータイム事情と訪日外国人に与える影響をまとめました。
『この暑さでホントにオリンピックやるの?』酷暑の開催が予想される2020年東京五輪 暑さ対策は果たして十分なのか?一部競技の夜間開催の検討の必要性も?
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戦時下に生まれ・エネルギー危機で定着したサマータイム
サマータイムの始まりは第一次世界大戦下のドイツで、石炭採掘の日中の労働強化のために始まったと言われます。ドイツを真似てヨーロッパ諸国が自国にも導入したのです。
大戦後はいったん廃止されたものの、第二次世界大戦でまた復活します。その後、サマータイムが欧米で本格的に定着したのは1970年代のエネルギー危機の時代でした。理由は石油不足による電力消費抑制のためです。
サマータイムには「損する人と得する人」がいるため、その誕生以来、賛成派と反対派による議論は尽きません。アメリカの例でいうと石炭採掘会社やコンビニ業界、外食業界はサマータイム導入を熱心に主導した経緯がありました。インバウンド業界にとっても、サマータイムは好ましいものとされています。
一方で、サマータイムに反対してきた業界としては農業や酪農などが挙げられます。農作物の収穫は朝露が乾いた後が好ましく、牛は搾乳時間を変えないほうが体調が良い。自然や生き物相手の業界では、人為的な時間の変更が必ずしも現実とうまくマッチしません。しかしそんな業界でも消費者とつながるための市場や店舗への流通は2時間前倒しになってしまうのです。
日本サマータイム導入で「損する人・得する人」インバウンド業界に与えるメリットとデメリットを検証
世界に見られるサマータイム見送り・廃止の流れ
1970年代から導入され、欧米中心に定着してきた感のあるサマータイムですが、最近では見直しの議論も盛んのようです。
①世界的観光地ハワイではサマータイムは「節約にならない」として却下
アメリカでは3月の第2日曜から11月の第1日曜までほぼ全土でサマータイムが実施されます。しかしアメリカの世界的な観光地ハワイ州・アメリカで最も気温が高いアリゾナ州はサマータイムを導入していないのをご存知でしょうか。
ハワイは常夏の国ですし、アリゾナは全米で最も暑いとされる地域です。省エネ効果を狙ったところで早朝からエアコンをかけるだけ無駄というのが理由とされています。
つい最近はオーストラリアでもサマータイム採用が見送りされました。東南アジアなどでもサマータイム採用国はほとんどありません。世界的に暑い地域ではサマータイムがあまり採用されていません。
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②フィンランドではサマータイムを廃止、EUにも廃止を要望

北欧のフィンランドでは白夜にはサマータイムによるメリットがないとしてサマータイムを廃止しました。加入しているEUに対してもサマータイム廃止を要望する署名が7万件も寄せられるなどしています。
現実的な理由として、隣接したロシアなどが2011年にサマータイムを廃止したため、商取引に不便が生じていたことがあるそうです。
ところが、サマータイムを廃止すると、今度はサマータイムを採用しているEUとの取引に不便が生じます。サマータイムを導入している国同士の取引は問題が起きませんが、一方の国だけサマータイムを導入していると不都合が多いようです。
この続きから読める内容
- ③ロシアでは2011年にサマータイム導入するも、わずか3年で廃止
- サマータイム導入でイスラム教国からのムスリム訪日客が減る?
- まとめ:サマータイム導入のインバウンド業界への影響は極めて大きい・各国の例をみて慎重な議論を
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