2018年9月11日、総務省は大臣会見を通して「ふるさと納税制度を見直す方針」を正式に表明しました。この中で野田聖子大臣は大阪府泉佐野市を名指しで「返礼割合30%ルール違反」として批判しています。
大阪府泉佐野市といえば、訪日外国人への「西の玄関」である関西空港を擁する自治体です。関西空港整備への巨額投資による財政赤宇を「ふるさと納税」などで補填してきた経緯があります。
関西インバウンドのハブ「関空」と大阪府泉佐野市の「ふるさと納税」の関係を追いました。
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たしかに豪華な大阪府泉佐野市の「ふるさと納税」
大阪府泉佐野市が今回名指しで批判された理由は*「ふるさと納税」で定められた返礼品割合(最大で寄付額の30%)を大幅に上回る返礼品があったため、とされます。
実際にふるさと納税ポータル「さとふる」を見てみると、返礼品率が高いだけでなく、大型スーパーやドラッグストアと見まごうばかりに日用品や必需品が充実しているのが目につきます。
「ふるさと納税」の趣旨である「地場産業による地方創生」とは、相容れない商品ラインアップもあることも、否定はできないようです。
例えば、「サントリー プレミアムモルツ350ml*24本」という商品を見てみると、寄付金額は10,000円となっています。同商品を大手ネット酒屋で検索すると税込5,378円(送料別)となっており、明らかに泉佐野市のこのケースでは30%の返礼品割合を超えていることがわかります。
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泉佐野市がなりふり構わず「ふるさと納税」推進した理由「関空関連の赤字」
しかし返礼品割合だけで批判するのは、泉佐野市が大阪・関西圏のインバウンド業界にしてきた多大な貢献を忘れていると言わざるを得ません。
キャノングローバル戦略研究所による「財政再建への道のり~どん底からどのように抜け出したのか<大阪府泉佐野市:財政健全化団体からの脱却>(月刊『地方財政』2015年5月号寄稿論文)」に、大阪府泉佐野市の「空港のお膝元」としての財政赤字の宿命と、血のにじむような財政再建計画が分析されています。この内容をかいつまんでまとめると、
- 平成の泉佐野市は関空への巨額投資と関空景気を見込んだ宅地造成事業・病院事業がバブル崩壊により頓挫、財政破綻しかけていた
- 平成16年「財政非常事態宣言」をし、財政健全化計画を発令。様々な財政健全化計画に着手
- 平成25年度に当初の目標(平成39年度)より14年も前倒しで財政健全化にめどが経った
この論文の書かれたのは3年前ですが、その後の関西インバウンド景気とふるさと納税の成功により泉佐野市の財政健全化にははずみがつき、今年平成30年は「いずみさの飛躍予算」を組み、子育て支援や教育環境の充実に注力していくはずの年でした。
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暗雲がたちこめる関空復旧費用と「空港連絡橋利用税」の収入ゼロ
今月4日に台風21号が直撃した関西空港ですが、2週間の機能停止を経て現在は通常運転へと向かっています。
しかし、ここにきて泉佐野市を直撃する問題となりそうなのが、巨額の関空復旧費用と、空港連絡橋が来年GWまで通行不可のために「空港連絡橋利用税」が収入ゼロとなる損失です。
「空港連絡橋」の損傷復旧に100億円
今回、関西空港の被害をさらに深めたのが「空港連絡橋」へのタンカーの追突です。この復旧には100億円規模で費用がかかるという計算があります。
詳細な数字は復旧後にしかわからないものの、平成元年から平成10年にかけて「りんくうタウン」整備に行われていた投資額が、ちょうど年間100億円規模と言われています。賠償請求が進むはずですが、当座の拠出は巨額です。
「空港連絡橋利用税」の経済損失は3億円弱
「空港連絡橋利用税」は関空と陸を結んでいる空港連絡橋から入る通行税です。自動車1往復あたり100円が徴収され、平成30年から平成35年までの5年間の課税期間中に、年間4億円の税収が見込まれています。(大阪府泉佐野市「空港連絡橋利用税」の更新pdfより)
この4億円/年の利用税が今年9月4日から来年春(GW前後)まで、8~9カ月間利用できないことによる損失は3億円弱と計算されます。
泉佐野市の平成30年度予算における一般会計は約563億円ですので、財源の約0.5%が失われるという計算になります。
関空閉鎖から2週間どうなった?/数百億円規模の損害見込み、しかし旅客便は9割、貨物便含めて52%に復旧。神戸・伊丹空港にバックアップ期待
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泉佐野市の「ふるさと納税」金額はいくらなのか?
この関空の緊急事態のさなかに発せられた「泉佐野市のふるさと納税は行き過ぎ」発言ですが、泉佐野市の「ふるさと納税」による収入は実際にいくらぐらいなのでしょうか?
泉佐野市の発表した「平成30年度当初予算について」では平成30年度のふるさと応援寄附金を28億円と見込んでいました。これは前年度実績(平成29年度)からスライドした金額です。
実際のところ、今年7月6日に総務省が発表した「ふるさと納税」の2017年度の寄付額をによると、大阪府泉佐野市への「ふるさと納税」は135億円となっており、想定していた寄付額の約4倍の「ふるさと納税」がありました。
泉佐野市の平成30年度予算における一般会計は約563億円ですので、135億円ならば予算の1/4に近い金額が「ふるさと納税」で入ってきた計算になります。返礼品割合が50%近いと言われていますので経費を差し引いても67.5億円という大きな歳入です。
もし泉佐野市の「ふるさと納税」に法規制がかけられ縮小すると、この金額は今後落ち込んでいくことが予想されます。
関空インバウンド対策事例 空港内外で展開する「観光情報プラザ 関空まち処」「観光交流プラザ りんくうまち処」でのインバウンド対応とは
関西地方はインバウンド需要の非常に高い観光地で、入国港としての関西国際空港のインバウンド利用が年々多くなってきています。そこで、一般社団法人 関西インバウンド事業推進協議会は、関西国際空港内にある「観光情報プラザ 関空まち処」、関西国際空港の対岸にある泉佐野市にある「観光交流プラザ りんくうまち処」を利用してインバウンド需要に対応しています。その取組みについて見てみましょう。 目次関西国際空港内「観光情報プラザ 関空まち処」とは関西国際空港内「観光情報プラザ 関空まち処」の目的関西国際空港...
まとめ:ふるさと納税への規制は弾力的な運用を・また「自治体に賛同する」心意気の本来の寄付を期待
「ふるさと納税」は本来、地方自治体が地方創生のために知恵と創意を使い、自ら地場産業を利用して資金繰りをするという主旨の制度です。もう一つの見逃せない点はその地方自治体の姿勢に賛同し応援するファンや理解者を全国から得られるという点です。
「ふるさと納税」本来の姿としては「関西空港復旧、ひいては大阪のインバウンドを盛り立てていこう」という心意気から泉佐野市へのふるさと納税が増えるべきかもしれません。また、関西インバウンド業界に「ふるさと納税」が果たしてきた貢献を再確認することも必要かもしれません。
2017年 関空の国際線旅客数が初めて2000万人を突破!背景にはインバウンドの関西へのシフト・関空独自のユニークな取り組みも
関西国際空港を運営する関西エアポートは、関西国際空港の2017年12月の利用状況の速報値を発表、合わせて2017年の利用状況の合計値を発表しています。この発表によると 国際線の旅客数は対前年比で伸びており、初めて2000万人を上回っています。こうした結果にはどのような背景があるのでしょうか。インバウンド市場や各国の訪日外国人に関する調査やもっと詳しいインバウンドデータ知るには?訪日ラボがまとめた「インバウンドデータレポート」を詳しく見てみる「調査・リサーチ」の資料を無料でダウンロードする「...
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<参考>
- 泉佐野市の財政健全化計画の概要
- キャノングローバル戦略研究所 月刊『地方財務』2015年5月号掲載「財政再建への道のり~どん底からどのように抜け出したのか<大阪府泉佐野市:財政健全化団体からの脱却>
- 大阪府泉佐野市「空港連絡橋利用税」の更新
- 大阪府泉佐野市 平成30年度当初予算案について
- ふるさと納税、関西首位は大阪・泉佐野市の135億円 17年度
- 台風21号で関空vsタンカー、損害賠償めぐる第2の衝突
- 「ふるさと納税」成功しすぎで総務省は許せない? 制度見直しの真意とは
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短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
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【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
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