保有資産30億以上 「超富裕層」人口ランキング1位は香港/超富裕層向けホテル・コンテンツ不足は今後の日本の課題

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日本政府は、訪日外国人の旅行消費額を2015年の3.5兆円から2020年に8兆円、2030年に15兆円に増やすという目標を立てています。この数値目標達成のためには、訪日観光客の人数を増やすことはもちろん、訪日観光客1人あたりの消費額を増やすことが必要です。

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そこで、これからのインバウンド対策で重要になってくるのは、世界の「超富裕層」です。「超富裕層」を誘致することができれば、日本の国際観光収入を上げることができます。

さて、これからの日本がターゲットにしなければならない「超富裕層」と呼ばれる人は、世界のどこにいるのでしょうか。

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超富裕層ランキング1位は香港、日本もランクイン

世界の「超富裕層」の人口は昨年、前年比でおよそ13%増加し、25万5810人となりました。昨年発表された「超富裕層」人口ランキングで1位になったのは香港で、人口は前年比で31%増加、およそ1万人に上っています。香港の「超富裕層」人口は昨年ニューヨークを追い抜き、初めて世界で最多となりました。

順位 都市 超富裕層の人数
1位 香港 1万人
2位 ニューヨーク 8900人
3位 東京 6800人
4位 ロサンゼルス 5300人
5位 パリ 4000人
6位 ロンドン 3800人
7位 シカゴ 3300人
8位 サンフランシスコ 2800人
9位 ワシントンD.C. 2700人
10位 大阪 2700人

出典:Wealth-X World Ultra Wealth Report

長年にわたり、「億万長者」を生み出してきたのは主に北米でした。しかし、報告書によれば、いまやより多くの富豪が誕生しているのはアジア地域です。中国経済の着実な成長により、同地域の超富裕層の人口は昨年、前年比19%増を記録しました。北米での増加率は、その2分の1ほどにとどまっています。

香港・ニューヨークに続き3位につけたのはもう一つのアジアの都市、東京です。約6800人が超富裕層の一員となっています。また、欧州の都市でトップとなったのは、およそ4000人を数えた5位のパリでした。

そもそも「超富裕層」の定義とは?:報告によってまちまちだが5億〜30億の資産がある人

さて、世界中で増加している「超富裕層」ですが、そもそもどういった人のことをさすのでしょうか?

実は「超富裕層」の定義には国際基準がないのですが、世界的に影響力のある二大富裕層調査Wealth-X World Ultra Wealth ReportとWorld Wealth Reportはそれぞれ基準を定めています。

  • Wealth-X World Ultra Wealth Report:保有資産3000万ドル以上
  • World Wealth Report:投資可能資産額3000万ドル(約33億円)以上

また、日本でよく用いられる基準としては、野村証券の定義があります。

  • 野村証券:純金融資産5億円以上

このように見てみると、やはり匡や報告書によってもまちまちだということがわかります。

1位の香港人、人気の旅行先は?

「超富裕層」が世界最多の香港ですが、その香港人はいったいどこへ旅行に行っているのでしょうか?

旅行予約サイト「Hotels.com」によると、2017年の台湾人の海外旅行先人気1位は2年連続で東京、2位は大阪でした。

日本政府観光局JNTO)の調査によると、2017年の訪日香港人は223万人で、3.3人に1人が日本を訪れたことになります。2017年に日本を訪れた香港人の2割が、訪日回数10回以上のヘビーリピーターだったということです。

日本のホテルや観光資源は超富裕層のニーズに応えられているのか?

香港からは多くの訪日外国人が日本に来ていることがわかりました。また、前述の調査から必然的に「超富裕層」が多く訪日していることが推測できます。しかしながら、果たして、日本のホテルや観光資源は、現在香港の「超富裕層」に満足してもらえているのでしょうか

まず、ホテルについて見ていきましょう。「超富裕層」が泊まって満足できるホテルは日本にあるのでしょうか。世界の高級ホテルと日本の高級ホテルを比べてみます。以下はホテル名と、一泊の料金です。

ホテル名 一泊の料金
帝国ホテル スイート 日本 30万円
ホテルニューオータニ プレジデンシャルスイート 日本 30万円
リッツカールトン スイート 日本 240万円
Hotel President Wilson スイス 6万5000~8万ドル(約730万~900万円)
Lagonissi Resort ギリシャ 4万7000ドル(約530万円)
Four Seasons New York アメリカ 4万5000ドル(約500万円)
Raj Palace Jaipur インド 4万ドル(約450万円)

出典:帝国ホテル、ホテルニューオータニ、デービッド・アトキンソン『新・観光立国論 イギリス人アナリストが提言する21世紀の「所得倍増計画」』東洋経済新報社,2015.

世界では、このように1泊400万~900万円という価格帯のホテルを高級ホテルと呼びます。日本の高級ホテル「御三家」に数えられた帝国ホテルやホテルニューオータニとは、桁が違います。日本最高額といわれるリッツカールトンのスイートでさえ、世界の高級ホテルには遠く及びません。

適切なホテルが整備されていなければ、「超富裕層」は満足以前に日本に来ることもできないでしょう。

観光資源はどうでしょうか。日本は「超富裕層」のニーズに応えられているのでしょうか。まずは下の国際観光収入ランキングを見てください。

国際観光収入ランキング(2015年)

順位 国際観光収入
1位 アメリカ 2045億ドル
2位 中国 1141億ドル
3位 スペイン 565億ドル
4位 フランス 459億ドル
5位 イギリス 455億ドル
6位 タイ 446億ドル
7位 イタリア 394億ドル
8位 ドイツ 369億ドル
9位 香港 362億ドル
10位 マカオ 313億ドル
11位 トルコ 266億ドル
12位 日本 250億ドル

出典:UNWTOのTourism Highlightsより訪日ラボ作成

上位にはアメリカ・中国のほか、ヨーロッパの国々など観光大国と呼ばれる国が名を連ねています。日本は250億ドルで、世界12位でした。しかし、ここで注目すべきは10位のマカオです。マカオの国際観光収入が多いのは、IR(統合型リゾート)の影響だといわれています。

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マカオには、「ギャラクシー・マカオ」と呼ばれる世界最大級の統合型リゾートがあります。これは、6つのラグジュアリーホテルとカジノやブランドショップ、プールなどを擁する複合施設です。ホテルに関しては、ファミリー旅行者層をターゲットとしたものから超富裕層向けまで、幅広い価格帯で展開しています。

同様に、IRの中で楽しめるコンテンツの価格帯も幅広く、さまざまな層のニーズに対応できるようになっています。

▲ギャラクシー・マカオ/出典:IR(統合型リゾート)研究会

▲ギャラクシー・マカオ/出典:IR(統合型リゾート)研究会

また、IRの主な収入源はカジノであり、運営費の多くをそれで賄えるほど多くの収入があります。「超富裕層」がカジノを楽しむことで、IRの経営は成り立ち、同時にそのIRが所在する国には莫大なお金が入ることになります。

日本には、IRに限らずまだこういった複合リゾートがほとんどありません。価格帯の幅がせまく、「超富裕層」のニーズに適した観光施設をつくることができていないのが現状です。

しかし、1泊に数百万円かけるような「超富裕層」に、たとえ数としては少なくても日本に来てもらうことができれば、日本の観光収入は大幅に上がるでしょう。これからは、ホテルや観光資源などを見直し、価格帯を広げて「超富裕層」を呼び込むことができるような状態をつくることが重要です。

まとめ:日本にも「超富裕層」を呼べる可能性あり、まずは整備を

香港には、多くの「超富裕層」がいるということがわかりました。そしてその香港では、多くの人々が日本を旅行先として選んでいます。これは香港の人々にとって旅行先としての日本がとても魅力的だということの表れでもあります。香港の「超富裕層」にも、日本での旅行に魅力を感じてもらえる可能性は大いにあります。

日本の国際観光収入を増やすため、香港などにいる「超富裕層」を誘致することは不可欠です。そのためにはまず、そのような「超富裕層」のニーズに適したホテルやリゾート、観光資源を用意することが必要です。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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