爆買いの次は【爆滑り】 前年比1.5倍で高まる中国旅行者の「雪・スキー需要」を2019年Ctrip最新レポートから解説 

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こんにちは、クロスシー編集部です。

春節期間も終わりましたが、引き続き日本各所を訪れる中国人の姿が見られます。この数年、中国人旅行者にブームなのがウィンタースポーツを含む「雪」を目的とした旅行です。今では「爆買い」にならって「爆滑り」という用語が登場したほど。なぜ、中国の中でこれほどまで雪鑑賞が人気になったのでしょうか?

また雪鑑賞や冬季アクティビティの旅行先にはどういった地域があるのでしょうか。今年の傾向を、中国旅行研究院とCtripのレポートから紹介します。

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2019年「中国氷雪旅行消費ビッグデータレポート」

2月26日の報道によれば、中国旅行研究院とCtripは、2019年1月末までのデータを用いて「中国氷雪旅行消費ビッグデータレポート」を発表しました。これによれば、寒冷地への雪や氷の鑑賞やそれらを用いたアクティビティ、現地文化の体験を目的とした「氷雪旅行」は、近年人気を博しているといいます。市場の成長も非常にスピードがあり、今年は人数ベースで145%の成長となりました。

2022年の北京冬季オリンピックの開催に向けて「氷雪旅行3億人」計画のもとに、寒冷地への旅行がこれから増えていく見込みです。旅行者は2017年から2018年の冬季にはのべ1.97億人、市場規模は約3,300億元(約5兆4,450億円※1元=16.5円)となりました。前期比で延べ人数は16%増加、市場規模は22%増加となっています。

2021年から2022年の冬季には旅行者数は3.4億人、市場規模は6,800億元(11兆2,200億円)の目標を達成する見込みです。世界観光機構(UNWTO)の試算には、中国の冬季旅行の経済効果は2兆9,200億元(約48兆1,800億円)に達するとするものもあり、ポテンシャルの高い市場となっています。こういった計算には氷や雪を用いたウィンタースポーツや氷像の展示、現地の特産品の消費に加え、寒冷地の伝統的な生活様式の見学などが含まれます。

2018年~2019年の冬の流行は? 新疆や内蒙古も人気目的地に

Ctripの予約データによれば、2018年の11月から2019年4月の期間、氷雪文化を持つ地域でユーザーに人気の目的地はハルビン(黒竜江省)、雪郷(黒竜江省牡丹市に位置する大規模な自然公園)、長白山市(吉林省)、尚志(黒竜江省)や、ウルムチ(新疆ウイグル自治区)、張家口(河北省)、蘭州(甘粛省)など。

中国では、首都北京から見て東北に位置する三省を「東北」と分類しています。北京に近い順に、遼寧省、吉林省、黒竜江省です。氷や雪の景色や文化に関しては、黒竜江省の省都であるハルビンで開催される「氷まつり」が昔から有名です。

東北以外でも今年は新疆ウイグル自治区、内蒙古自治区が氷雪旅行の目的地として知名度を上げました。それぞれの地域では4泊5日~5泊6日程度のプランが多く利用されていますが、長いものでは8日間、短いものでは3日間のプランもあります。

旅行者インサイト~南方から、カスタマイズツアーを選ぶ親子旅行が多い~

こういった地域を訪れる旅行者は、当然ながら南方の人々が多くなっています。2018年の11月から2019年の4月までの旅行客のデータでは、上海、広州、北京、深センといった四大経済発展地域に加え、南京、杭州、武漢、南昌、貴陽、アモイ、長沙(湖南省)、合肥(安徽省)、重慶、西安や成都といった地域が並びます。

「雪鑑賞」は南方の人々にとって、旅行カテゴリの一つとしてこの数年安定した地位を確立しています。南方から北部への移動に交通費が必要であるため、結果旅行代金が高くなっていること、また目的地までの経路が複雑であることが影響して団体旅行を選ぶ人が多いことが特徴です(今年は全体の約65%)。一方で北京からも近い張家口には北京からの旅行者が多く、一人当たりの旅行消費額は852元(約1万4,000円)程度に収まっています。

旅行者のうち26%が80後(30代)、23%が00後であり、比較的アクティブな若者に支持されていると分析されています。子連れの旅行者の場合は滞在を自分たちに最も合った形にするため、「カスタマイズ旅行」を好む傾向にあり、「カスタマイズ旅行」のうち53%は子連れ旅行となっています。また、カスタマイズ旅行を選ぶユーザーは昨年比で50%増と急速に増加しています。

▲旅行同行者の割合。親子53%、同僚や友人20%、両親9%、恋人13%、一人旅5%
▲旅行同行者の割合。親子53%、同僚や友人20%、両親9%、恋人13%、一人旅5%

2019年 春節トレンドは「カスタマイズプラン(私家団・私人定制)」と「ショートムービー映え(Douyin/ドウイン)」

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スキー人口はまだまだ増加の途中!

実は、雪や氷の鑑賞が可能な地域は南方の山にも存在し、旅行者の人気を集めています。西岭雪山、峨眉山(四川省)、黄山(安徽省)、玉龍雪山、梅里雪山(雲南省)などがその代表です。また北部で言えば、天山天池(新疆ウイグル自治区)や東北三省にももちろん雪景色の有名な山が存在します。

日本の各地でも雪景色の美しさをほこる地域が存在しますが、中国人旅行客をターゲットに訴求ポイントを絞る際は、こういった地域と差別化できる点の明確化や、どういった地域の中国人に対して魅力を打ち出すのかといった視点が重要になるでしょう。

冬季に日本を訪れる中国人の目的の一つが「スキー」です。実はスキーの普及率という観点では、中国はまだ低い水準にとどまっています。スキー人口の比率はオーストリアでは36%、一人当たりの1シーズンあたり体験回数は2.5回、日本は9%、2.5回ですが、中国は1%、1.08回です。レポートでは今後、雪に関わる文化が広く宣伝されていく過程で、当然スキー人口が増加すると予想しています。すでに南方では、上に述べたような地域にスキー場をいくつも建設しており、南方エリアのユーザーの支持を集めています。

▲青がスキー人口、緑がスキー体験者数(述べ)
▲青がスキー人口、緑がスキー体験者数(述べ):https://baijiahao.baidu.com/s?id=1626782753571022672

「雪」を目的とした海外旅行の予算は?

雪の鑑賞を目的に組み込んだ海外旅行では、日本、スイス、アイスランド、フィンランド、ロシア、アメリカ、スウェーデンが人気となっています。Ctripのユーザーはこういった旅行では1万元以上(約16.5万円)の予算をかけており、潤沢な資金のある旅行者であることが想定されます。

訪日スキー客は昨年の1.5倍に! 日本のスキー場の評判は?

スキー普及率1%とはいえ、そもそもの人口が多い中国です。2018年のスキー体験者数はのべ1,800万~2,000万人と言われています。中国メディアの報道によれば、2019年の2〜3月の訪日スキー客は昨年の1.5倍になると予想されており、その具体的な数字は発表されていないものの市場のとりこみに成功しつつあることがうかがえます。

スキー目的の中国人観光客に圧倒的人気な日本ですが、その理由はずばり「パウダースノー」です。水分が少なく、スキーにはもってこいの雪質で、こうした情報が徐々に中国人のスキー愛好者に広まっています。北海道のニセコ、長野の各地を始め、岩手の安比高原、神戸の六甲山、新潟の湯沢や群馬県の草津国際スキー場を訪れる中国人も多くなっています。

こういった施設には中国人向けの決済サービスの導入や中国語での利用案内など、訪日中国人が快適に過ごせる環境が整備されています。訪日客には初めてスキーをする人も多く、初心者向けレッスンを開催し、集客につなげています。また安比高原では、ゲレンデ以外で過ごす時間の満足度を上げるべく、ショッピングエリアを充実させています。

まとめ ~誰に対しどんな魅力を届けるのかを明確に、絶え間ない情報発信がポイントに~

雪を目的にした冬季の旅行において、中国人旅行者の中では、日本の北海道、青森、長野の知名度が高くなっています。それらの地域と同様の自然資源があることを考えれば、青森以外の東北5県や北陸なども、同様に人気を高めていくポテンシャルがあるといえるでしょう。

本編で紹介したレポートでは、氷雪旅行を楽しむ中国人の「予算が潤沢」「南方」「親子」「30代以下」といったインサイトが見えてきました。また、時間ができた時にふらっと日本を訪れるのも中国人富裕層の特徴です。四季を問わず、常に魅力となる情報を発信することで、旅行者が旅行を思いついたタイミングでまっさきに思い浮かべることのできる、旅行者に選ばれるスポットになることができるでしょう。

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この記事の筆者

株式会社クロスシー

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株式会社クロスシー編集部。中国語圏向けに日本情報の提供をするインターネットメディア運営・レップ事業を展開すると共に、訪日観光客向けのマーケティング・ソリューションを提供しています。日本の観光立国を実現すべく、メインターゲットとなる中華圏への観光情報、サービス、商品について、日中間の情報格差を埋め、観光客にとって最高の日本体験の提供を目指しています。

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