こんにちは、クロスシー編集部です。
ショートムービーの利用者が増え、旅行や日常生活など様々な領域で使われるようになっています。こうした流れを受け、ショートムービーによる新たなコンテンツ形式「Vlog」がブームとなっています。中国版ニコニコ動画といわれる「bilibili」(ビリビリ)は、もはや中国動画業界の老舗ですが、この流れに応じた取り組みを進めています。
また5月14日に発表された、bilibiliの2019年Q1の決算報告では、営業収益が予想よりも上振れしたことが報じられました。
今回は中国のZ世代(1990~2000年代生まれ)や「オタク」に支持されるbilibiliの最近のサービス動向と、同社の売上について解説します。
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bilibili、ByteDance、Tencent、sinaも「Vlog」産業に着手
中国のスマホユーザーにおける「ショートムービー」への熱中が伝えられて久しくなりました。ショートムービーは今やDouyin(ドウイン/抖音)はじめ、Kwai(快手/クアイショウ)や西瓜視頻(西瓜ビデオ)といった様々なプラットフォームが存在し、様々な属性のユーザーが、自分の好みにあったサービスを利用しています。
こうしたショートムービーの広まりを背景に、「Vlog」と呼ばれる、いわゆるブログ(Blog)の動画版のコンテンツが流行しています。
Vlogはショートムービーよりも長い10数分程の動画で、ショートムービーのように音楽やスタンプを入れた動画コンテンツです。百度の検索指数によれば、Vlogがネット上で注目され始めたのは2019年以降のようです。
ショートムービーは基本15秒~1分程度で終わってしまいますが、このように長めの時間を使うので、複数の情景を組み合わせたり、少し複雑なことを解説したりするのにも向いています。
現在すでにドウイン(Douyin/抖音)のByteDance(バイトダンス)、Tencent(テンセント)、Weiboのsina(シナ)、そしてbilibiliの各社が、このVlogという新たなコンテンツ形式における業界のスターを生み出すべく取り組んでいます。

例えばbilibiliでは、これまでのところVlogのコンテンツは2.3億再生、3,000万以上の「弾幕」が記録されています。弾幕とは、画面上を流れていく視聴者からのコメントで、ニコニコ動画、bilibiliで採用されている機能です。視聴者の一体感を高める効果もあります。
こうした「Vlog」を投稿するユーザーは50万人に上り、この数字は前年同期比781%の増加ということです。
もともとのユーザー層とも相まって、bilibiliで公開されているVlogは、若年層の体験や考察、日常の記録といったものが多くなっています。料理の手順や旅行中の風景といったものもVlogにおける主要なトピックです。
Vlogはその名の「ログ」つまり記録を意味しており、数十秒で視聴者の関心を誘う「映え」を見せたり、意外性をついて笑わせたりする従来のショートムービーのコンテンツとは路線を異にします。
bilibiliでは“30天Vlog挑战”(30日間Vlogチャレンジ)“Be A Vlogger”(Vloggerになろう)“理想生活Vlog 大赏(理想の生活Vlog大賞)といったキャンペーンを開催し、こうした施策がユーザーの投稿のモチベーションを上げることに成功しています。
bilibiliは交流を主軸にしたSNSというよりは、カルチャーを主軸にユーザーが集まるコミュニティに分類されますが、このVlogの盛り上がりによりbilibiliのコミュニティ全体が盛り上がることも狙っているようです。

2019Q1bilibili財務報告、営業売上は58%増の13.7億元(約226億円)ゲーム事業の占める割合は64%
今年の5月に、bilibiliが2019年3月31日までの財務報告を発表しました。Q1における売上は予想をはるかに上回り、ゲーム事業の売上が過去最高を更新しています。
営業売上は13.7億元(約226億円)で、昨年同期比58%成長、そのうちゲーム事業の占める割合は64%でした。ゲーム事業の売上は8.7億元(約143.5億円)で、全体の64%となっています。
また月間アクティブユーザー(MAU)の四半期における数字が初めて1億を突破し、1.01億人となりました。モバイル端末のMAUは8,860万人、有料会員数も昨年同期の2倍を超え570万人に到達しています。
ユーザーの一日当たりの利用時間は平均81分で、昨年よりも5分増加しています。

bilibiliの2018年の状況は?
現在の状況を相対的に理解できるよう、昨年の状況と比べてみましょう。
2018年の決算では、総売上は41.3億元(約681.5億円)で、前年比67%成長でした。ゲーム事業の売上は7.1億元(約117.5億円)で、全体に占める割合は62%です。当時から大きな割合を占めていたわけですが、bilibiliとしては売り上げにおける事業の多元化を進めており、実際に2018年の売上において、EC(8,100万元、約13億3,650万円)、広告(1.6億元、約26.4億円)、ライブ(2億元、約33億円)はそれぞれ前年比で250~300%前後の成長を示しています。(カッコ内はそれぞれの売り上げ)
ユーザーについて見てみると、2018年Q4のMAUは9,280万人、うち有料会員は440万人です。bilibiliは「Z世代」と呼ばれる1990年~2009年生まれのユーザーが多数を占めています。昨年は「Z世代」における人気アプリランキングでも見事首位を獲得しました(中国のモバイルインターネットデータを分析するQuestMobileの調査による)
また2018年Q3の有料会員数は350万人であり、順調に有料会員を増やしていることがわかります。
2018年はACG(アニメ、コミック、ゲーム)に関連したコンテンツに引き続き注力しており、bilibiliのオリジナルアニメも公開されています。こうしたコンテンツのクオリティが、中国のACGファン、いわゆる「オタク」に評価されるものであることがうかがえます。
今、中国インバウンドで必ず抑えておくべき動画メディア「bilibili(ビリビリ動画)」とは?その向こうにいるユーザー「Z世代」の特徴と、訪
こんにちは、クロスシー編集部です。 本日は中国の動画メディアについてとりあげます。前半はJETROのレポートから全体像をご紹介し、後半ではその中でもインバウンド市場において重要となる動画プラットフォームの「bilibili(ビリビリ動画 中国語:哔哩哔哩)」について詳しく見ていきます。 [cta_toc_upper_banner] 目次 JETRO「中国の動画配信市場調査」レポートからユーザー動向をさぐる bilibili(ビリビリ動画)の特徴 ~「二次元」愛するZ世代が圧倒的多数!~...
若者向け動画配信プラットフォームの「bilibili(ビリビリ動画)」はオフラインでも存在感、自社媒体「纳尼Video」は日本のオリジナル一
こんにちは、クロスシー編集部です。 前回は動画配信サイトの「bilibili(ビリビリ動画)」のユーザー構成や、95年生まれ以降の「Z世代」について解説しました。 今回も引き続き「bilibili(ビリビリ動画)」に焦点を当て、カテゴリやコンテンツ視聴画面といったサイトの基本構造と、日本関連情報を発信する「自社媒体」の事例を紹介します。 [blogcard url=”https://honichi.com/news/2018/06/25/chinamarketing/”] [cta...
まとめ~事業の多角化、コンテンツのクオリティでZ世代を惹きつけるbilibiliに引き続き注目
2018年そして2019年のQ1と順調に成長している様子のbilibiliですが、いち早く最新の流行「Vlog」の事業化に取り組んでいます。中国IT企業大手のByteDance、Tencent、sinaにもこうした動きが出ており、またショートムービー以上に多くの情報を視聴者に伝えられるという特徴もあり、今後注目の集まっていくコンテンツ形式となりそうです。
bilibiliの最大の特長は、なんといってもZ世代の多さとAGCとの親和性の高さです。「オタク」というとついつい成人男性を想起しがちですが、中国のオタクには女性も多く、AGCを基軸とした、コンテンツ以外、例えばグッズやコスプレ用品、コンセプトカフェといった体験への消費意欲も高いのが特徴です。
こうした世界観を正確に理解した上で、成長中のbilibiliをプロモーションのプラットフォームとして利用すれば、インバウンドにおける集客だけでなく、滞在時の満足度向上にもつながるでしょう。
〈参照〉
-
http://stock.eastmoney.com/a/201906041142523235.html
- http://www.199it.com/archives/875051.html?weixin_user_id=b3o6ETQjo0Zc_mM-4kpfTija9vjJUk
- https://baijiahao.baidu.com/s?id=1626680244859453170
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2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
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訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
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