2015年の新語・流行語大賞にも選ばれた中国人観光客による「爆買い」の始まりは、2014年だったといわれています。そしてこの2014年から2015年にかけての時期は、訪日外国人の数が急激に増えた時期でもありました。
2014年の訪日外国人数は前年より29.4%増加し、約1,341万人に上りました。また、このデータを国・地域別に見てみると台湾からの訪日外国人数が最多となり、2013年に第1位だった韓国を抜く結果となりました。
これらを踏まえ、この記事では2014年の訪日外国人数とその傾向についてご紹介します。
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2014年の訪日外国人は1,341万人
2014年の訪日外国人数は前年比29.4%増の1,341万3,467人となり、過去最高の訪日外国人数を記録しました。
大幅な増加の理由としては、まず政府がビザ発給条件を大幅に緩和したことや消費税の免税制度を拡充したことが挙げられます。また国際的な要因としては、アジア地域各国の経済成長により海外旅行需要が拡大したこと、さらに円安の進行により訪日旅行が以前と比べ割安になったことなどが挙げられます。
また、観光庁やJNTO(日本政府観光局)が訪日外国人へのプロモーションキャンペーンを推進し、併せて日本国内のインバウンド業界が成熟していったことも訪日旅行の魅力向上に繋がったと考えられています。
国・地域別では台湾が1位に
2014年
順位 | 国と地域 | 人数 |
1位 | 台湾 | 282万人 |
2位 | 韓国 | 275万人 |
3位 | 中国 | 240万人 |
4位 | 香港 | 92万人 |
5位 | アメリカ | 89万人 |
▲[2014年の国・地域別訪日外国人数ランキング]:JNTOより引用
2013年
順位 | 国と地域 | 人数 |
1位 | 韓国 | 245万人 |
2位 | 台湾 | 221万人 |
3位 | 中国 | 135万人 |
4位 | アメリカ | 79万人 |
5位 | 香港 | 74万人 |
▲[2013年の国・地域別訪日外国人数ランキング]:JNTOより引用
国・地域別で2014年の訪日外国人数を見てみると台湾が前年1位だった韓国を抜き上げ1位に躍り出ました。台湾が首位となるのは1998年以来16年ぶりの出来事でした。
また、主要18か国の中ではイギリスとロシアを除いた16か国がそれぞれ過去最高の訪日外国人数を記録し、ロシアを除いた17か国が訪日外国人数において前年と比べて2桁増の伸びを示しました。
前年、訪日外国人数において1位だった韓国は同年4月16日に発生したセウォル号沈没事故を受け船舶旅行を避ける傾向が増え、修学旅行のキャンセルなどもあり上半期の訪日観光客数は以前と比べ低迷したものの、夏の行楽シーズンを境に徐々に回復していきました。
下半期の韓国からの訪日観光客数は円安の進行と訪日プロモーションの成果などにより大幅な回復を示し、前年同期比で30.2%増となりました。
2014年~2018年の推移
訪日外国人数の推移を年別に見てみると、2015年は約1,974万人、2016年は約2,404万人、2017年は約2,869万人、2018年は約3,119万人と、2018年時点では2014年の約1,341万人と比較して約2.3倍も増加していることが分かります。
またこの数は年々着実に増加していることからも、今後も更に訪日外国人数は増え続ける可能性が高いと言えるでしょう。
【国別】2019年訪日外国人観光客数の予測|効果的なインバウンド対応のポイントとは?
日本政府観光局(
2014年のインバウンド消費は2兆278億円
2014年のインバウンド市場全体での消費総額は前年比43.1%増の約2兆278億円となりました。また、訪日外国人一人あたりの消費額は前年比10.6%増の約151,174円となりました。
特に家電製品や医薬品など大量購入する、いわゆる「爆買い」を行う中国人の動向が顕著となりました。
2014年のインバウンド消費についての詳しい情報は、以下の記事をご覧ください。
2014年の訪日外国人旅行者の消費額は2兆278億円
目次訪日外国人の消費額が2兆円突破個人の平均消費額は15万円2020年には訪日外国人旅行者数3000万人突破も夢じゃない!担当から一言訪日外国人の消費額が2兆円突破6月9日に観光庁が発表した「平成26年度観光の状況」によると、2014年(平成26年)の訪日外国人旅行者による旅行中の消費額は2兆278億円となり、初めて2兆円を突破しました。訪日外国人旅行者数は1,341万人まで伸び、ここ2年間では500万人の増加となります。訪日外国人旅行者数と消費額の推移(2010-2014)個人の平均消費...
2014年のインバウンド消費データ(訪日外国人消費動向)
2014年のインバウンド市場全体の消費額は前年比+43.14%の2兆278億円となり、初の2兆円超えを達成しました。訪日外国人一人あたり消費額は前年比+10.59%の151,175円となり、この増加が2014年のインバウンド消費の底上げをしました。
2014年~2018年の推移は?
2018年のインバウンド市場全体での消費総額は4兆5,189億円となり、2014年から2018年の5年間で約2.2倍に増加しています。
2018年のインバウンド消費について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
インバウンド消費が過去最高記録!観光庁「訪日外国人消費動向調査」からわかるトレンドについて解説
2018年のインバウンド消費額は、過去最高を記録しました。しかしながら、以前に比べ消費額には伸び悩みが見られました。今回は、観光庁より発表された国・地域別総消費額や一人当たり消費額のデータから、訪日外国人の消費傾向を分析します。その上で、今までのアジア圏を主なターゲットとした誘致に対し、さらなるインバウンド消費増大を目指すための新たな指針を紐解いていきます。また、この記事では「モノ消費」から「コト消費」という訪日外国人の消費トレンドの変化について近年のデータを参考に検証し、今後の消費傾向を...
2014年の四半期別インバウンド消費データ(訪日外国人消費動向)を見る
他の年のインバウンド消費データ(訪日外国人消費動向)を見る
- 2011年のインバウンド消費データ
- 2012年のインバウンド消費データ
- 2013年のインバウンド消費データ
- 2014年のインバウンド消費データ
- 2015年のインバウンド消費データ
- 2016年のインバウンド消費データ
- 2017年のインバウンド消費データ
- 2018年のインバウンド消費データ
2014年のインバウンド関連出来事は?
過去最高の訪日外国人数を記録した2014年、インバウンド業界においてはどのような出来事があったのでしょうか。ここでは特に注目された「訪日中国人による爆買い」と「あべのハルカスの開業」についてご紹介します。
「爆買い」顕在化
春節(中国の旧正月)の時期には中国では連休が設けられており、例年多くの中国人観光客が日本を訪れています。特に2014年からは、訪日中国人の「爆買い」が顕在化しました。
秋葉原や新宿などの家電量販店で温水便座や高級家電製品などを大量に購入していく訪日中国人が注目を浴び、様々なメディアでも取り上げられました。
訪日中国人の日本での買物額は平均12万円超と突出しており、日本旅行における支出総額の約55%を占めています。また、一人あたりの消費額においても2012年は187,970円、2013年は209,898円、2014年は231,753円と年々増加しています。
爆買いについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
爆買いとは
「爆買い」とは、主に訪日中国人による一度に大量の商品を購入する行為をいう俗語です。2015年には流行語大賞を受賞するほどの社会現象となりましたが、昨今は以前と比べ下火になったとの論調もあり「爆買いは終わった」といわれることもあります。 一方で最近でも、ドラッグストアや小売店に足を運べば、そこにはやはり日用品や医薬品を購入する訪日中国人の姿があります。しかし、広く訪日外国人観光客の消費傾向が「モノ消費」から「コト消費」へと変化していることも事実です。 この記事では、果たして爆買いは本当に...
あべのハルカス開業
あべのハルカスは、大阪市阿倍野区に位置する日本で最も高いビルです。2014年3月7日に開業し、日本人だけではなく訪日外国人からも注目を集めました。
2019年3月7日の開業5周年時点では累計で約2億541万人の来館者を迎え入れており、観光客の集う展望台をはじめデパート、美術館、企業オフィスやホテルなどがビル内に存在しているため単純な展望施設とは一線を画しています。
展望台で景色を楽しんだ後はレストランで食事を楽しんだりデパートでショッピングを楽しんだりと多様に遊べるのがあべのハルカスの特長です。
あべのハルカスへの来館者の約2割は訪日外国人で、展望台から見える大阪の夜景はSNS映えが良いということもあり人気を博しています。
2014年は爆買い始まりの年だった
過去最高の1,341万人という訪日外国人数を記録した2014年は、訪日外国人の中でも特に中国人観光客の姿が大きく目立ちました。
訪日中国人による爆買いがブームとなったことにより多くの百貨店や家電量販店は対策に追われ、免税制度が拡充したことも相まって特に人気の温水便座や炊飯器などの家電製品が飛ぶように売れました。
現在爆買いについては、落ち着いた・まだ続いている等さまざまな見方がありますが、2014年は爆買いが頭角を現した最初の年だったと言えるでしょう。
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