観光税312億円はいかにしてニュージーランドを救うのか?日本や主要6か国の類似制度も紹介

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英・インデペンデント誌によると、7月1日、ニュージーランドで長年導入を検討されていた観光税の導入がついに開始されました。

観光旅行税にかんする新たな規定は、オーストラリアや南太平洋諸島の国民、政府関係者、トランジットビザを持つ訪問者等を除く、ニュージーランドを訪れるほぼ全ての来訪者が対象で入国時に35ニュージーランドドル(約2,500円)が課されます。

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入国時に35ニュージーランドドル(約2,500円)を徴収

2018年にニュージーランドを訪れた外国人は382万人に上り、今回の観光税は、今後増え続けると予想される観光客に対応するため観光地の保全や新たな資源の発掘等に使用される予定になっています。

政府は観光旅行税導入後5年間で4.5億NZドル(約312億円)の税収を見込んでおり、その後も毎年8,000万NZドルの徴税を期待を寄せています。

行政サポートが急がれる観光地には例えばテカポ湖があります。クライストチャーチとクイーンズタウンの間に位置するテカポ湖は、マッケンジー盆地最大の湖です。その壮大な景色と、世界遺産級とも評される同湖の星空は毎年多くの観光客を惹きつけています。

年間80万人を超える旅行者が訪れており、なんと住民1人当たり170人もの観光客を支えている計算になります。

自然のど真ん中に位置する小さな集落は、旅行客の多さに深刻な問題を抱えており、今回の観光税導入を通しニュージーランド政府はインフラ整備を計画中です。施策は観光客の為だけではなく地域住民に対するケアも含んで進められるといいます。

▲湖イメージ
▲湖イメージ

いつ誰がどうやって支払う?免除対象は?

観光旅行税は、入国管理制度によるビザ代金や新たに始まる電子入国管理システム(NZeTA、後半で説明)を支払う際に課されます。 観光目的やワーキングホリデー、学生ビザ、短期就労ビザを含むほぼ全ての訪新客が対象になっており、最終的な判断は入国ビザの支払い時に明らかになります。

通常12ヶ月からそれ以下の旅行者には、25NZドルから35NZドルの間で入国税が課される予定ですが一部渡航者は対象外になっており、該当者は以下の通りです。

  • NZ国民、住居者
  • トランジットビザ、トランジットNZeTAを持つ訪新者
  • オーストラリア国民、永住者
  • 太平洋諸島の国民 外交官、軍、医療、人道的活動のビザ保持者
  • 南極条約に基づく旅行者(南極旅行トランジットビザ含む)
  • 認定季節労働者 商用ビザ保持者(APECビジネストラベルカード含む)
  • 船舶、航空会社乗務員 学生、就業ビザ保持者の付帯家族
  • ニュージーランド移民局にて旅行ビザ、NZeTAビザを無効にされた旅行者

日本の観光税はいくら?

日本での観光税はどの様になっているのか。今年1月より本格導入された観光旅行税を振り返ります。

2019年1月よりスタート「出国税」とは
・「出国税」は、2才児未満と乗り継ぎ客、そして天候や予期せぬ事情によって緊急着陸した場合を除く全ての出国者が対象

訪日外国人だけでなく日本人も対象

出国税は1回の出国につき1,000円

・この税は本人が直接支払うのではなく、航空券やツアーを購入した際にチケット料金に上乗せされる

出国税がかからないケースもある?
・2歳児未満の子供
・乗継で入国後24時間以内に出国する場合
・天候やその他理由によって引き返してきた場合
・諸事情により緊急着陸した場合

2019年1月導入「出国税」とは?いくら?徴収方法は?導入の理由・使い道も解説

2018年の訪日外国人客数は史上初めて3,000万人を超え、2020年までに訪日外国人数4,000万人という政府が掲げる目標に一歩近づきました。政府は2020年に向けて目下さまざまな取り組みを行っています。2019年に1月に導入された「出国税」も、その取り組みの一つです。これは、訪日外国人観光客が快適に旅行できるような工夫・整備を行うために導入されました。「出国税」は原則日本を出国する人全員が対象であるため、日本人・外国人問わず対象になります。以下で税率や徴収方法、政府が発表している使い道...

日本で現在導入されている観光税は「出国税」と呼ばれる様に、主に日本国外から出国する際に課される税金で、日本国民もその例外ではありません。ビジネス目的での訪日も通常通り徴収される点で、今回のニュージーランドの観光税とは税金の対象が異なります。

また、日本の出国税の場合、航空券やツアーを予約した際にチケット料金に上乗せされて精算されるので、個別の手続きは不要となっています。

各国の旅行税

他の諸外国の観光旅行税はどの様になっているのでしょうか。

大手旅行会社JTBの調べによると、2017年5月の時点で40カ国もの国で、何かしらの空港税を徴収していることがわかります。

1. アメリカ

国際通行税(国際線出発及び到着)
税関審査料(国際線到着)
入国審査料(国際線到着)
動植物検疫使用料(国際線到着)
空港施設使用料(国際線/国内線出発)
米国保安料(国際線/国内線搭乗) 等

2. イギリス

旅客サービス料(国際線出発・ヒースロー空港/ヨーロッパ行き)
航空旅客税(国際/国内線出発・エコノミークラス) 等

3. イタリア

搭乗税(国際線EU行き/国内線出発・ローマFCO空港)

カウンシルシティータックス(国際線/国内線搭乗・ローマFCO空港)
旅客サービス料(国際線/国内線出発・ミラノMXP空港)
保安料(国際/国内線出発・ミラノLIN・MXP空港) 等

4. フランス

民間航空税(国際線出発/EU外行き)
旅客サービス料(国際線出発・シャルルドゴール空港/EU外行き)
空港税(国際線/国内線出発・シャルルドゴール空港)
国際線/国内線出発(マルセイユ/MRS)
国際連帯税(国際線搭乗EU外行き)<エコノミークラスの場合> 等

5. アラブ首長国連邦

旅客サービス料(国際線出発)
旅客保安料(国際線出発)
旅客審査料(国際線到着)
旅客施設使用料(国際線出発) 等

6. シンガポール

旅客サービス料(国際線出発・シンガポールチャンギ空港)
旅客保安サービス料(国際線出発・シンガポールチャンギ空港)
航空税(国際線出発・シンガポールチャンギ空港) 等

※2017年5月更新の情報。現在は一部改変されている可能性があります

まとめ

ニュージーランドでは現在、観光税徴収の導入と同時に電子入国管理システム(NZeTA)の実用化を計画しており、2019年10月からの運用開始を計画しています。

同システムはビザ免除プログラムが適応の国民、例えば日本国民も対象になっており、今後ニュージーランドへ渡航の際には必須の手続きになります。ニュージーランド政府は申請・認証までに72時間を要すると案内をしており、渡航を予定している際には、余裕を持った申請が必要となると考えられます。

また、その申請料は申請経路により異なり、独自のアプリを通した申請の場合は9ニュージーランドドル(約630円)、オンラインからの申請は12ニュージーランドドル(約840円)を課すと発表しています。

外国からの旅行客を集めるPR戦略や魅力的な資源発掘と同時に、滞在の質向上に関する行政からのサポートは多くの国が面している課題であり、各国でも対策が次々と打たれており、引き続きこの傾向は強まっていくでしょう。


<参照>

Immigration (Visa, Entry Permission, and Related Matters) Regulations 2010

空港税一覧表 JTB

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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