ネット検閲が厳しい中国でも、米国トランプ大統領は特別?北京からTwitter投稿できた理由とは

Twitterで情報発信することで知られるアメリカのトランプ大統領は、普段から政策や自身の活動などについて幅広い内容をツイートしています。

2017年11月にトランプ大統領が中国に滞在した際には、Twitterを禁止する国にいながらにして8回の投稿、2回のトップページ画像変更頻繁にTwitterを更新していたことが話題になりました。

世界でもトップクラスのネット検閲システムを用いてインターネット利用を厳しく管理している中国において、トランプ大統領のように問題なくTwitterを使用できたということは、ネット検閲を避ける方法があるということを暗に示しています。

グレートファイアウォール(金盾)について

中国は、国家戦略の一つとして「グレートファイアウォール」という厳しいネット検閲システムを導入し、中国政府に対して批判的な団体や悪影響と思われる情報を監視・遮断しています。これによりTwitterなどの国外SNSやサイトの閲覧が禁止され、自由なインターネット閲覧ができないように情報統制が行われています。

国内のサイトでもある程度の情報を得ることができるため、中国国内に居住・滞在する人々はこのようなネット検閲が当たり前の状況下でインターネットを使用しています。

ただし趣味や勉強の一環として海外のサイトを見たくても見られない海外に住む知り合いと連絡する手段が限られるなど、一定の不便さもあります。

また、日本人旅行者も含め外国から中国へやってきた訪問者は、普段通り利用してインターネットを使おうと思っても繋がらないため、中国のネット検閲の厳しさを目の当たりにすることになります。

中国政府の検閲により生じる問題については、以下の記事で解説しています。

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グレートファイアウォールの目的とは?

中国政府が「グレートファイアウォール」を使う目的は大きく分けて2つあります。まず、1つ目の目的は前述のとおり情報統制です。国外のウェブサイトや電子メールなどは不適切な内容とみなされるとブロックされるほか、GoogleやYahoo! JAPANなどの検索エンジン、Facebook・LINE・Twitter・InstagramといったSNSサービスは軒並み使用することができません。

このような厳しいネット検閲によって、国の不利益になるような情報は徹底的に排除しています。

2つ目の目的は、中国国内のIT市場を確保し、IT産業の成長を促すことです。

中国は世界的に有名なIT企業の参入よりも、国内IT企業を育てることに注力してきました。その結果、検索エンジンの百度(バイドゥ)、中国版Twitterの微博(ウェイボー)、インスタントメッセーメッセンジャーアプリの微信WeChatといった、国内IT企業の検索サイトやSNSが絶大なシェアを誇っています。

グレートファイアウォールを避けるために必要な「VPN」

中国のネット検閲の影響を受けることなくインターネットを使用する方法の一つとしては、VPNがあります。VPNとは、バーチャルプライベートネットワークの略で、インターネット上の仮想専用ネットワークを意味します。VPNサーバーを経由することで通信が暗号化されて監視の目が届きにくくなるため、自由にインターネットを閲覧することが可能になります。

ちなみに中国ではVPNの利用も規制されていますが、基本的には政府に登録し許可されたVPNサービスは問題なく使用できるようになっています。

厳しさを増すネット検閲

グレートファイアウォール」は1999年に導入、2003年から検閲システムが稼働しており、ネット検閲はますます厳しさを増しています。2017年6月に「サイバーセキュリティー法」が施行されたことで規制が強化され、無料のVPNは使用できなくなり、有料版のVPNでも利用できないものが出てきています。

特に中国政府の重要な会議が開催される時期や、党大会などがある時期一層規制が厳しくなる傾向があり、普段使えていたVPNサービスが一時的に使えなくなったり、通信が遅くなったりと、通信状況の悪さを指摘する利用者の報告が多数あがっています。

Shadowsocksの規制に関するTwitter投稿
▲Twitter投稿:編集部スクリーンショット

Twitter:Shadowsocksの規制に関する投稿(https://twitter.com/KabeNekoVPN/status/1175274364490547200)

トランプ大統領は特殊な機材を使用していた?

このように、中国では強固なネット検閲システムが敷かれているにも関わらず、アメリカのトランプ大統領は中国滞在中の数日で合計9回もTwitterを更新しています。

トランプ大統領が中国でTwitterを問題なく使用するために、一体どのような手段が使われたのでしょうか。中国やアメリカの正式回答は公表されていませんが、主に3つの方法が有力と考えられています。

1. 自前のVPN整備

中国では有料のVPNサービスなどが利用できますが、トランプ大統領の来訪前から繋がりにくい状態になっていたため、通常のVPNを使用したTwitterの更新は難しかったと想定できます。

トランプ大統領の場合は、より安全で自由度のきく自前のVPNを利用した可能性が高いと言えます。例えば、大統領専用機には独自のWi-Fiシステムが搭載されていることもあり、こういった自前の通信システムによってトランプ大統領が規制を迂回してTwitterを使えたのではと推測する声があります。

2. 一時的な規制緩和

中国の鄭沢光外務次官は、トランプ大統領来訪を前に記者団に対して、「大統領が国外とアクセスできるよう配慮する」といった趣旨の話をしていました。

通常、外国から訪問する政府関係者などは、中国のセキュリティー基準に従うように求められます。自身の携帯電話やパソコンなどの端末を自由に使うことを制限されることがありますが、トランプ大統領の滞在中に限り、一時的に規制を緩和したという可能性も考えられます。

ただ、鄭沢光外務次官の対応については、国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ 」などから批判が出ており、国民に対して規制しているTwitterを中国滞在中のトランプ大統領が使用できるのはどうかという懐疑的な声もあがっています。

3. データローミング機能

他に可能性の高い通信手段としては、携帯電話のローミング機能の利用が挙げられます。

データローミングの携帯電話を使用すれば、中国国内でも問題なくTwitterなどに自由にアクセスすることができます。

データローミングとは、海外旅行などで外国に滞在する際に、もともと契約している携帯電話会社の電波が受信できない代りに、現地の携帯電話会社の電波を利用できる仕組みのことを意味します。朝日新聞デジタルの記事によると、国際ローミングしているアメリカの携帯の一部は、中国国内でもソーシャルメディアが使えるとし、トランプ大統領もこのデータローミングを利用することでTwitterを利用していたのではないかと考えられます。

日本から中国へ旅行に行く場合でも、ホテルなど滞在先の無料Wi-Fiを使うと、中国国内のネットワークに接続するため当然様々なサイトやSNSに繋がりません。このような時にデータローミングを利用すれば、自由にインターネットに接続できるので非常に便利な機能と言えます。

ただし、高額の通信量が請求されるため、通常の旅行であるならば携帯電話会社のデータ定額プランなどを利用する方が良いと考えられます。

中国ネット内のグレートファイアウォールを乗り越える

中国のグレートファイアウォールは、強固なネット検閲監視システムを築いており、中国国内で絶大な効果を発揮しています。一方で、トランプ大統領のTwitter使用が話題になったことも後押しとなり、有料VPNやデータローミングを使用すれば、規制を避けて自由にソーシャルメディアにアクセスできるということが広く知れ渡りました。

今後ますます規制が強化され、自由度が狭まっていく可能性もないとは言えませんが、差し当たっては、今回紹介したVPN利用やローミング機能などを上手く利用することでストレスのないインターネット環境を手に入れることができるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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