京都の宿泊税徴収が2018年10月からスタートしました。観光の振興を図る施策に充てるとされています。
宿泊税は東京や大阪、金沢でも既に導入されており、導入を検討している自治体もあります。
この記事では 、京都市の宿泊税について、制度から使用用途、免除となるケースを紹介していきます。
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京都市で宿泊税の徴収開始
新たに京都市での徴収が開始された宿泊税の詳細と、納入方法、宿泊税の目的について紹介します。
宿泊税制度とは
ホテルや旅館、民泊等への宿泊者が納税義務者となる税制です。2018年10月1日から施行されています。
宿泊者は一人一泊につき、以下の税金を支払う必要があります。
宿泊料金 |
宿泊税額 |
20,000円以下 |
200円 |
20,000円以上50,000円未満 |
500円 |
50,000円以上 |
1,000円 |
特別徴収義務者は、旅館業又は住宅宿泊事業の事業者です。
詳しくは後述しますが、児童・生徒、引率の教員が修学旅行等の学校行事で宿泊する場合など、一部免除となる場合があります。
宿泊税の納入方法
宿泊税は原則的に、宿泊があった月の翌月の末日までに、徴収義務者である宿泊事業者が、納入申告書を京都市長に提出し、申告額を納入します。
また一定の条件に当てはまる場合は、特例として3ヵ月に一度の申告・納入が可能です。
宿泊税の目的とは?
京都市が新たに宿泊税を導入したのは、「国際文化観光都市としての魅力を高め、及び観光の振興を図る施策に要する費用に充てる」ためであるとされています。
宿泊税による税収の使途は?
「国際文化観光都市としての魅力を高め、及び観光の振興を図る施策に要する費用に充てる」という目的で始まった宿泊税は、具体的には、どのように使用されるのでしょうか。解説していきます。
2019年度予算の宿泊税の充当事業(約42億円)の内訳
京都市の2019年度予算では、総額42億円の宿泊税が以下事業に充当されます。
混雑対策・分散化 (8.7億円充当)
市バスの混雑対策をはじめとし、観光客が一部の観光地に集中することを緩和する取組(「とっておきの京都」プロジェクト等)に充てられます。また、駅や道路等のバリアフリー化等もこの財源で進められます。
民泊対策(1.4億円充当)
民泊に対する通報や相談窓口を運営、不適切な民泊調査等に使用されます。
宿泊事業者支援・宿泊観光推進(3.9億円充当)
京都での宿泊者を増やすための施策として、MICEの誘致強化を行います。また夜の観光の魅力増進を図り、日帰りではなく京都で宿泊する観光客を増やします。
受入環境整備(7.1億円充当)
観光客が安心して快適に観光できる環境を整えます。京都のバスターミナルでミスト装置を設置、観光地のトイレの洋式化等を図ります。
市バスや地下鉄といった公共交通機関においての4ヵ国語の表示対応等にも使用されます。
国内外の情報発信(2.6億円充当)
京都観光オフィシャルサイトを強化します。また海外への情報発信として、海外情報拠点を増やし、Japan Expoなどにも出展します。
京都ならではの文化振興・美しい景観の保全(16.8億円充当)
京町屋などの京都市の景観を保全・再生・継承するために使用されます。また「祇園祭創始1150年事業」など京都の文化財を守り発展させていく取組等にも使用されます。
宿泊税が免除されるケースは?
上記様々な用途で使用される宿泊税ですが、課税が免除されるケースがあります。
学校行事に伴う宿泊の場合は宿泊税免除
学習指導要領における学校行事であると認められる修学旅行等への参加者とその引率者については、宿泊税は課されません。
その他課税対象外となる場合
以下の場合も課税対象外です。
- 宿泊税を徴収していない場合(幼児等を無料で宿泊させる場合等)
- 日帰利用の場合
また、天災等の事情がある場合も、宿泊税の減免を受けられる場合があります。
宿泊税で負担増も、インバウンド向けの整備に期待?
2018年10月から運用が開始された京都の宿泊税について紹介しました。
少額の宿泊料金で宿泊する観光客にとっては、200円の宿泊税は大きな負担となります。また納税義務者は宿泊者ですが、宿泊客の理解を浸透させ運用を図る過程においては、宿泊事業者にも負担がかかります。
ただし税収が増加した分は、MICEの誘致や多言語対応など、インバウンド増につながる施策にも充てられます。
今後、宿泊税を充当した事業により京都市の魅力が増せば、最終的には観光客や宿泊事業者にも恩恵のある税制度となることが期待できるでしょう。
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