山口県のインバウンド事例 | おいでませ山口観光振興計画の効果は?地方県のインバウンド誘致の課題とは?

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山口県はインバウンド誘致のために「おいでませ山口観光振興計画」など様々なインバウンド対策を行なっています。

しかしブランド総合研究所がおこなっている「都道府県魅力度ランキング2019」では、2018年からワンランクダウンの37位でした。

この記事では、山口県がおこなっているインバウンド対策やインバウンド事情、今後の課題について解説します。

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山口県のインバウンド誘致対策

山口県では観光振興の基本的な取り組みとして「やまぐち観光維新の推進」「明治維新 150 年を契機とする観光需要の拡大」「インバウンド新時代に向けた国際観光の推進」の3つの柱を中心とした国内外にわたる誘客対策を進めています。

ここでは、山口県のインバウンド施策について紹介します。

「おいでませ山口観光振興条例」

山口県では観光を通じて山口県を活性化させていく指針として2016年に「おいでませ山口観光振興条例」を制定しました。

観光スポーツ文化部を設立し、2020年までの5年間で訪日外国人の誘致を20万人以上のほか、クルーズ船の寄港や山口宇部空港の国際便・チャーター便増加など、新たな観光振興計画を進めています。

スポーツツーリズムにも力をいれており、サイクル県やまぐちProjectとして、サイクルエイドやサイクルピットなど設備の充実を進めています。

多岐にわたるインバウンド対策

訪日外国人客にむけたさまざまな施策のひとつに、無料で利用できるやまぐちコールセンターがあります。

英語、中国語、韓国語など18か国語に対応しており、24時間無休でSkypeや電話での観光案内や通訳サービスが受けられます。

県内の観光地や店舗ではメールアドレスの登録のみで利用できる無料公衆無線LANサービス「やまぐち Free Wi-Fi」の整備のほか、消費税免税店の設置拡大、飲食店の多言語対応など消費行動の促進に向けた取り組みもしています。

「九州・山口多言語コールセンター」が九州7県及び山口県全域をカバー

目次外国人観光客向けのツールが拡大通話料は利用者負担外国人観光客向けのツールが拡大長崎県は、8月1日、外国人観光客向けの「九州・山口多言語コールセンター」に関して、九州7県(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県)及び山口県全域での利用が可能となったことを発表しました。「九州・山口多言語コールセンター」は、8月1日(水)~平成31年3月31日(日)、24時間対応にてサービスを提供。対応言語は、英語、中国語、韓国語、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、ポルトガル語、スペイン...

観光PV「関門海峡に現れた怪獣が転ぶ」

2017年3月にYouTubeで公開され話題となった、福岡県北九州市と山口県下関市が共同で制作した観光PVムービー「COME ON!関門!~海峡怪獣~」の動画再生回数が、2019年7月についに1億回を突破しました。

このPR動画は、東京五輪招致映像「Tomorrow begins」や数々の有名CMを手がける江口カン氏と日本屈指のCG製作スタッフがタッグを組み、英語の動画に日本語、中国語などの字幕をつける手法で世界中に知られる作品になりました。

観光情報が詰め込まれたPR動画が多い中、日本三大急潮流のひとつでもある関門海峡だけにスポットをあてており、ゴジラなどで知られている日本の怪獣映画とシンプルなメッセージが海外の人へ伝わりやすかったと考えられます。

動画を通して地域の認知度向上に成功した例といえるでしょう。

「COME ON! 関門!」下関市北九州市PRムービーの再生回数1億回超え/海外の反応は?

福岡県北九州市と山口県下関市が共同で制作した2分半ほどの観光PR動画「COME ON! 関門!~海峡怪獣~」が2017年3月に公開されました。北九州市と下関市を隔てる「関門海峡」を舞台とした「ゴジラ」を彷彿とさせるSFチックな演出が話題を呼んでいます。音声は英語ですが、日本語・中国語(簡体字・繁体字)・タイ語・韓国語の字幕版も同時に公開されました。日本語字幕版の視聴回数は1億4千万回を超えており(2020年5月時点)、そのほかのバージョンでも視聴回数をのばしています。このように近年、多くの...

山口県のインバウンド事情

当日自県宿泊率や訪問者数、消費金額など、統計をもとに山口県のインバウンド事情についてみていきます。

当日自県宿泊率46位

GPS位置情報データをもとに滞在や移動などを地図上にプロットすることで、訪日外国人観光客の行動の見える化を実現した調査から、インバウンド客が訪れた都道府県での当日の宿泊率をランキングでみていきましょう。

山口県は当日自県宿泊率が47.3%で全国46位となっています。

山口県への訪日外国人宿泊者数は122,630人泊で全国第43位にあたることからどちらも順位に差があまりなく、1日を通して県内に滞在している人が少ないことがわかります。

そのため日中時間の誘致だけでなく、ナイトタイムエコノミーの充実のような宿泊率の上昇につながる施策が有効といえます。

インバウンド需要

▲[山口県インバウンド需要・対応状況]:訪日ラボ
▲[山口県インバウンド需要・対応状況]:訪日ラボ

訪問率と訪日外客数を元に計算したところ、2018年の山口県への訪問率は訪問者数は268,344人となり全国第30位です。

また山口県に来ている訪日外国人観光客の1人1回あたりの旅行消費単価は31,744円で、全国第32位となっています。

対応状況

2019年の山口県のJapan.Free Wi-Fi登録施設は2,305施設であり、全国第21位です。

また外国人観光案内所設置数は19施設であり、全国第25位となっています。

2016年の山口県の施設内案内表示の英語化率は50%-75%です。

山口県のインバウンド需要

山口県は、訪日外国人の訪問率、訪問数は全国25位で並程度、インバウンド宿泊人泊数においては93,150人泊で大40位と、お隣広島・福岡と比較してもあまりインバウンド需要は高くないことが数値から見られます。

ナイトタイムエコノミーを充実させるには

観光庁がおこなった訪日外国人観光客の意識調査では、今後海外旅行で体験したいコンテンツとして、ナイトツアーやナイトショーなどがあがっており、コンテンツの充実がインバウンド消費の増加につながると考えられます。ここではナイトタイムエコノミーの実例を紹介します。

ナイトタイムエコノミーとは

ナイトタイムエコノミーとは、お寺や行楽地を観光する日中の過ごし方とは対照的に、ナイトツアーやナイトショーなど18時から翌日朝6時までの間の経済活動をさします。

海外にくらべ日本の夜のアクティビティーはまだまだ少なく、訪日旅行の際のナイトタイムコンテンツ体験者の割合は、海外での体験者の割合より低くなっています。

またナイトタイムコンテンツの満足度においても、国内での体験の方が海外より低い結果となっています。

例1:東京湾クルージング

東京湾の夜景スポットが楽しめるフリードリンク付きの「ナイトクルーズ」は、ディナークルーズよりも気軽に非日常感が味わえるとあって人気のクルージングです。

運行時間が21:30から22:30と短く、料金も比較的安く設定されているため老若男女問わず幅広い世代から人気があります。

また海に面したお隣の神奈川県でもクルーズは運航しており、工場の夜景やベイブリッジ、みなとみらいの夜景も楽しめる「横浜の工場夜景クルージング」は人気があります。

例2:インバウンド向けラーメン店を開業

大阪市西成区のホテル「FP HOTELS Grand難波南」は、インバウンド特化型のホテルです。

宿泊者の9割が訪日外国人観光客であるため、宿泊ゲスト用の駐車場を利用する人が少なくほぼ遊休地になっていました。

そこで駐車場を利用した屋台による起業と遊休スペースをマッチングさせるサービスSTAND3.0を活用し、屋台村でラーメン店の営業を開始しました。

運営している株式会社フリープラスでは、インバウンド向け飲食店が少ない西成エリアにおける新たな「食」の体験の創出とインバウンドにおけるナイトタイムエコノミーの活性化をはかるとしています。

行政と協力して効果的なインバウンド対策を

地域活性化を目指す山口県では、多岐にわたるインバウンド対策に取り組んでおり、訪日外国人観光客数は増加傾向にあります。

しかし全国ランキングの順位は低位で推移しており、山口県が有する魅力のさらなる知名度の向上が必要と言えます。

あわせて訪日外国人観光客が楽しめる多種多様なナイトタイムコンテンツを充実させることにより、県内での滞在率があがりインバウンド消費額の増加が期待できます。

日中だけでなく夜間の経済活動が盛りあがれば、1日中楽しめる場所として口コミやリピーターの獲得にもつながります。

行政と連携した効果的なインバウンド対策と今後の山口県の取り組みに注目が集まります。

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今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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