韓国が「ボイコット・ジャパン」しきれない4つの事情:浸透する日本製品、あらがえない日本旅行の魅力

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日韓関係の悪化から、2019年夏より活発化した「ボイコット・ジャパン」による訪日旅行の需要減少が、冬の繁忙期をむかえて、回復傾向がうかがえます。

韓国の航空会社が札幌・沖縄路線の運航を再開するといった供給拡大が、需要促進につながった理由の一つとして考えられるでしょう。

さらに今年2月には、新型コロナウイルスの拡大を受け中国路線を運休していた韓国LCCが、振り替え先として日本線を検討していることも明らかになりました。

ボイコット・ジャパン」が開始されてから半年がたった今、インバウンド韓国市場の最新動向に触れながら、韓国が日本を「ボイコットしきれない」4つの事情について整理します。

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2019年12月には、約100万人が来日

2020年1月4日に韓国国土交通部が発表した航空統計の分析結果によると、2019年12月に韓国の航空会社で日本路線を利用した旅客数は計99万1,805人となり、前年同月の172万1,461人と比較すると、42.4%減少しています。

減少傾向なものの、下げ幅は狭まる

ボイコット・ジャパン」が本格化した2019年8月に前年比22.8%だった減少率は、11月には43.7%まで拡大した一方で、冬の観光シーズンが到来した12月には42.4%となり、減少率に多少の回復が見られました。また、韓国航空会社の日本路線を利用した旅客数を月別で比較すると、12月は前月より11.2%増加しています。

ボイコット・ジャパン」が続くなか、韓国の日本路線旅客数の下げ幅が狭まった理由として、韓国の航空会社による運航再開が考えられます。韓国LCC格安航空会社イースター航空は、2019年12月に入って札幌・新千歳〜ソウル・仁川線、3日からは沖縄・那覇〜ソウル・仁川線と宮崎〜ソウル・仁川線の2路線の運航を再開しました。

冬の繁忙期に航空路線を一部再開したことが訪日旅行の需要拡大を後押しし、インバウンドの回復に影響したと考えられるでしょう。

「ボイコット・ジャパン」から半年、下火の気配も

ボイコット・ジャパン」が本格的に始まった2019年8月から半年が経過した現在、その勢いは失速し、下火となった気配が感じられます。

ボイコット・ジャパン」の終息を期待させる、韓国の4つの事情を解説します。

1. 韓国社会に浸透する日本製品

もともと韓国で人気の訪日旅行や日本文化ですが、「ボイコット・ジャパン」での世間の反日ムードに飲まれ、訪日旅行を諦める人や日本製品の不買運動に参加する人も少なくありませんでした。

しかし、韓国社会には日本製品や和食がすっかり浸透していることや、デモなどが活発化しても長くは持続しない傾向にある国民性も関係して、長期的なボイコットが続かないと考えられます。

また、韓国の半導体産業で使われる素材は、そのほとんどを日本からの輸入に頼っていたこともあり、日本以外の国から材料を調達するのは簡単ではないと見られます。このように、半導体素材など日本からの輸入に対する依存度が高い製品もあることから、長期的なボイコットは難しいといえるでしょう。

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2. 不買運動に悩まされたユニクロが「揺さぶり」をかける

韓国で日本企業を代表する存在のユニクロは、「ボイコット・ジャパン」のターゲットとなり、不買運動が始まった2019年7月以降から売り上げは急落し、閉店する店舗もありました。

このように「ボイコット・ジャパン」の象徴とされていた韓国のユニクロですが、2019年11月に1週間にわたり開催された韓国上陸15周年の記念セールでは、開店前から行列ができる大盛況ぶりが話題となりました。不買運動が収束しないなかで韓国のユニクロが打ち出した、買い物客へヒートテック10万着を無料でプレゼントする、というイベントの効果は絶大だったといえます。

こういった状況に対する反応には、韓国国内でも賛否両論の意見が上がりました。ユニクロのセールイベントに殺到した韓国市民に対し「無料プレゼントというマーケティングに負けてはならない」といった批判の声や、不買運動を徹底できない市民の姿勢を嘆くような声が寄せられています。

一方で、「不買運動が愛国精神をあらわすことであるのは認めるが、ユニクロの商品を買う人が批判されるのは正しいのか」というように、今回の市民の行動に一定の理解を示し、不買運動の長期化に疑問を投げかける様子も見られるようになりました。

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3. 韓国航空業界も運航停止は痛手だった?

日韓関係の悪化は、日本製品の不買運動だけでなく、航空業界にも影響をおよぼしています。「ボイコット・ジャパン」が始まった7月以降は、韓国からの札幌路線は1週間で68便の運航から32便、福岡路線も49便から22便と、半分以上も減少しました。

コリアエキスプレスエアは12月28日より、北九州への定期便をはじめ韓国国内線も含むすべての運航を停止しています。

韓国の大手航空会社である大韓航空とアシアナ航空、LCCでトップのチェジュ航空は業績の悪化から、コスト削減策として搭乗手続きカウンターの無人化サービスを導入しました。

また、大韓航空は役員の数を20%減らしたほか、イースター航空などのLCCも無給休職制度を施行するなど、非常経営に入っています。

韓国航空業界にとっても、訪日旅行の需要縮小による運航停止は痛手となっている様子がうかがえるでしょう。

4. コロナウイルス拡大で中国路線運休→日本路線へ回帰か

韓国航空会社は中国・湖北省で発生した新型コロナウイルスの拡大を受け、中国路線の運休に動いていましたが、その代替路線として日本線が検討されています。

韓国LCCのエアプサンは2月2日、韓国と張家界、海口、三亜などを結ぶ中国路線の運航を一時停止すると発表しました。運休となった中国線への機材を日本、東南アジア韓国南部へ振り替えることを検討しています。

チェジュ航空も同様に、韓国中国を結ぶ全6路線を運休した代替路線として、日本線や東南アジア線を検討しています。

日本線は搭乗率が高く航続距離も短いことから、韓国LCCにとっては稼ぎ頭の路線でした。

予期せぬ中国路線の運休により、「ボイコット・ジャパン」による日本旅行自粛の流れは、わずか半年で日本へ回帰せざるをえなくなっている内情が伺えます。

インバウンドの韓国市場、回復期待できる?

日本製品の不買運動、航空路線の縮小や運航停止、訪日旅行の自粛など、反日ムードに包まれた韓国ですが、「ボイコット・ジャパン」による韓国経済への影響も無視できない状況となっており、不買運動の徹底を続けることへ疑問の声が上がりはじめているようです。

イースター航空が日本への一部路線を再開したことを皮切りに、自粛ムードだった訪日旅行の需要回復が期待されます。

インバウンド韓国市場の最新動向には常に注意を払いながら、航空路線が就航する札幌や沖縄などの着地型商品を整備・PRするといった対策を進めることが、韓国市場の誘客を促進するうえで重要となるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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