キャッシュレス決済の普及が加速している中国で、最もシェアが大きいのが支付宝(Alipay/アリペイ)です。
日本でも、街中を歩いていると「支付宝」の文字列を見かけることも多いのではないでしょうか。
中国人にとってAlipayはただの決済サービスではなく、日々の生活になくてはならないほどに多彩なサービスを備えた「スーパーアプリ」です。
公共料金の支払いからローンを組む時に関わる信用度まで、人々の暮らしに深く入り込んでいるAlipayとは、どのようなサービスなのでしょうか?
なぜ中国でAlipayがこれほどにも活用されているか、そしていかに中国人向けインバウンド対策に重要かを解説します。
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支付宝(Alipay)とは
中国IT企業の最大手、アリババグループ傘下によるモバイル決済サービスの支付宝(Alipay/アリペイ)は、中国でも最も利用されているモバイル決済サービスです。
2018年以降日本国内でも加盟店が急速に増え、訪日中国人観光客による取引件数が伸びています。そのため、インバウンド対策としても注目されています。
中国で生まれたモバイル決済サービス
支付宝(Alipay/アリペイ)とは、中国IT企業の最大手、アリババグループ傘下のアント・フィナンシャル社が運営しているモバイル決済サービスです。2017年に4億5,000万人だったAlipayの全世界ユーザー数は2018年には9億人まで伸び、日本における加盟店数も大幅に伸びています。
2019年年初時点でAlipay加盟店は30万店舗を突破し、前年8月と比較して約5倍に増加しています。
アリペイジャパン社の発表によると、2019年のゴールデンウィーク中に日本でAlipayを利用した中国観光客の消費額は世界4位でした。
日本は利用件数の伸び幅が最も高く、今後も訪日中国人観光客のAlipay決済は増えていく見込みです。
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支付宝は何と読む?
日本ではAlipay(アリペイ)として知られているサービスですが、中国でのサービス名は「支付宝(ジーフーバオ)」です。
Alipayは中国消費者に最も利用されているモバイル決済サービスで、2018年の中国でのモバイル決済金額約4,709兆円のうち、54%をAlipayが占めています。
中国では買い物や交通費の支払いだけでなく、屋台での買い物やお小遣いのやり取りまでAlipayで行われています。
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Alipayの様々な機能
Alipayには買い物の決済だけではなく、個人間での送金、家賃や公共料金の支払い、航空券やホテルの手配など、生活に役立つサービスが備わっています。
このような一つのアプリで多様なサービスを利用できるアプリをスーパーアプリと呼び、モバイル決済が進んでいる中国では生活を支えるツールとして広く普及してい ます。
メインサービス
Alipayには買い物でのモバイル決済以外にも、生活を支えるサービスがあります。
Alipayには10種類のメインサービスがあり、その中でもよく使われているのが、送金・受取(Transfer)、データ容量チャージ(Top-up Center)、おつり投資(「余额宝」)、クーポン(Coupon)、両替(Exchange Rate)、公共料金の支払い(Utilities)、航空券・鉄道チケット予約(Air&Rail)です。
【送金・受取(Transfer)】
友達、お店、取引先と自由にお金の授受ができるサービスです。送金先はAlipayアカウントだけではなく、国内外の銀行口座にも送金可能です。
家賃などの生活費や近日発生する費用を自動振込設定したり、リマインド設定したりなど便利な機能がついています。
【データ容量チャージ(Top-up Center)】
データ通信量をAlipayの残高を使ってチャージするサービスです。
【おつり投資(「余额宝」)】
Alipayを使った消費で出るおつりを積み立てたり、自分で設定した投資額を定期的に振り込む設定をしたりできる、少額でできる投資サービスです。
【両替(Exchange Rate)】
Alipayを海外で利用する時の為替レートが確認できるサービスです。
【クーポン(Coupon)】
観光地のクーポンや免税手続きのためのQRコード発行、ホテルの予約ができるサービスです。
【公共料金の支払い(Utilities)】
光熱費、水道代、ガス代、ケーブルテレビ代、固定電話代、Wi-Fi費用、建物管理費の支払いができるサービスです。
【航空券・鉄道チケット予約(Air&Rail)】
アリババ傘下の旅行サービスサイト「飞猪」から、航空券、高速鉄道、旅行バス、ホテルの予約ができるサービスです。
芝麻信用:個人の信用度をスコアリング
Alipayのサービスでとてもユニークなのが芝麻信用(Zhima Credit/ジーマクレジット)です。
ジーマクレジットとは、アリペイ運営会社アント・フィナンシャル社の子会社、芝麻信用管理有限公司によるユーザーの信用度をスコアリングするサービスです。
Alipayでのユーザー行動や人間関係、経歴など5種類の項目から、ユーザーの信用度を測る仕組みになっています。
ジーマクレジットが高いとホテルを予約する時のデポジット(保証金)が不要になったり、病院やお店で後払いが可能になったり、ローンの金利が優遇されたりなど、様々なメリットが受けられます。
Alipayでのショッピングや生活費の支払いなどでスコアを上げられるので、中国人は国内外で積極的にAlipayを利用しています。
他にも様々な機能を持ったスーパーアプリ
メインサービスの他にも、日常生活の様々な場面をカバーするサービスが揃っています。展開しているサービスの例を挙げると、交通系ICカードのチャージから罰金の支払いまでできる日常生活関連(City Service)、荷物の集荷サービス(My Packages)、病院の予約や薬を届けてもらうサービスのヘルスケア(Health Care)、家計簿サービス(Money Tracker)など、多岐にわたります。
さらに金融サービスもあり、少額の借り入れができるサービスや自動車保険、旅行保険といった保険商品の販売もしています。
また、Alipayは大人だけではなく学生にとっても便利な機能が豊富です。
アルバイト情報や就活情報の検索、学費の支払い、試験の成績検索といったサービスもAlipayで利用可能です。
Alipayは展開するサービスの幅広さから、ユーザーを何かするたびに別々のアプリを開く煩わしさから解放しました。
そしてAlipayのみで作業がスムーズに完結する利便性の高さから、スーパーアプリとして中国では高く支持されています。
PayPayが目指す「スーパーアプリ」とは
ソフトバンクは2019年11月5日に、最新の四半期決算の説明会を開催し、その中で「スマホ決済」のサービスで注目を集める子会社「PayPay」の状況についても発表しています。スマホ決済サービスPayPayの累計登録者数は5日時点で1,920万人を突破しています。また、PayPayの「スーパーアプリ」化を目指す方針についても言及がありました。スーパーアプリは、人々の生活を大きく変えるものとして世界で注目の高まっている概念です。インバウンド業界でもスーパーアプリとどのようにサービスを連携させられ...
Alipay導入のメリット
中国のモバイル決済市場で54%のユーザーを占めているアリペイは、中国人観光客を誘客する上でうってつけのツールといえるでしょう。
つづいて、Alipayを導入する具体的なメリットと導入方法について解説します。
訪日中国人を誘客しやすい
Alipayを導入する第一のメリットは、訪日中国人観光客を誘客しやすくなることです。
その主な理由として、中国政府による海外への現金持ち出し制限とAlipayによる中国人ユーザーの優遇措置の二つが挙げられます。
中国では国内消費を拡大させるために、他国への現金持ち出しを制限しています。
日本円で約100万円を超える現金の持ち出しは原則禁止されており、約50万円の場合にも税関での申告が必要です。
こうした規則により、中国人は渡航先で現金ではなくクレジットカードやモバイル決済を利用する傾向にあります。
中国人が旅行先で商品やサービスを選ぶ場合、もし同じような品質であれば、キャッシュレス決済が使えるお店を選ぶ可能性は高いといえます。
さらに、Alipayを利用することで芝麻信用(ジーマクレジット)のスコアを上げることができ、スコアが上がればローン金利が下がるなどの恩恵を中国国内で受けられるメリットがあるため、中国人ユーザーは積極的にAlipayを使いたいと考えます。
簡単に導入できる
多くのキャッシュレス決済は専用の決済端末が必要となりますが、Alipayは専用アプリをインストールするだけで利用できます。
そのため、スマートフォンやタブレット端末があれば簡単に始められます。さらに、月々の固定費も発生しません。
Alipayを店舗で導入する場合には、Alipayのホームページから直接加盟店申請をするか、Alipayに対応している決済サービスを利用するかの2つの方法があります。
前者の場合、インターネット上で申請した後、審査に通った店舗へ登録完了の連絡が届きます。最短で3営業日で導入することが可能です。
後者のAlipay対応決済サービスとしては、リクルート社の「モバイル決済 for Airレジ」やソフトバンク社の「Payment Service」があります。
こちらでは様々なキャッシュレス決済に対応しており、その中にAlipayも含まれています。
入出金記録が確実に記録される
外国人利用者との金銭トラブルの回避にキャッシュレス決済は役立ちます。
キャッシュレス決済なら誰がどこでお金を利用したかデータに記録として残るため、トラブルになりにくいと考えられます。
また、現金の受け渡しがないため、偽札の受け取りやおつりの渡し間違えが発生せず安心して訪日観光客を受け入れやすくなります。
訪日中国人客獲得にはマスト
日本ではキャッシュレス決済だけのイメージがありますが、記事では紹介しきれないほどたくさんの機能が搭載されています。
アプリの便利さに加えて、芝麻信用(ジーマクレジット)で受けられるメリットや海外ショッピングで為替が優遇される仕組みがあるため、Alipayは中国人から高い人気があります。
日本でもすでに30万以上の店舗が訪日中国人観光客の対策としてAlipayを導入しています。
中国人向けのインバウンド対策を考える上で、Alipayの導入は最も重要な選択肢の一つといえるでしょう。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
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- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年5月後編】2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に5月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
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→2025年の訪日客数「4,500万人」へ、観光庁長官の見解は? / 2025年訪米旅行者支出「125億ドルの損失」予想 ほか:インバウンド情報まとめ 【2025年5月後編】
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