東京オリンピック2020の4つのリスク|個人が対策できること&政府方針まとめ

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新型コロナウイルスパンデミックを受け、東京オリンピック五輪)・パラリンピックは1年程度の延期が決定しました。詳細な日程、選考基準などは、公式情報が発表され次第、順次更新します。

昨年12月中国の武漢市での発生が報じられて以来、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者が日本でも多数確認されています。こうした状況を受け、SNS上では「#東京オリンピック中止」がTwitterでトレンド入りするなど、東京オリンピックの開催をめぐってさまざまな憶測が飛び交っています。

しかし小池東京都知事は、「オリンピック中止」の情報をデマをとして明確に否定しています。

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により「感染症」のリスクが注目されがちですが、オリンピック開催により考えられる主なリスクとしては、他にも「宿泊」「交通」「テロ」があります。

それぞれのリスクと、現状講じられている対策についてご紹介します。


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東京オリンピックのリスク1. 宿泊施設の高騰

東京オリンピックの開催を控え、東京周辺では大会期間中の宿泊料金の高騰が続いています。需給バランスの予測がつきずらい中、宿泊業事業者は価格設定の難しい判断に迫られ、消費者も困惑しています。

ホテル料金の暴騰

東京23区内の格安ビジネスホテルでは、通常2人二泊で2万円程度の宿泊プランが、東京オリンピック開催期間中に7万円を超えているそうです。

一部の民泊でも、通常宿泊料金が1~3万円程度のところ、数十万円に設定されているなど、尋常ではない価格となっているといいます。 

「ホテル不足しない」という試算、むしろ供給過多のおそれも?

一方で2019年11月に行われたみずほ情報総研の試算によれば、「ホテルは不足しない」とされています。

2018年にホテル客室数が大幅に増加したことに加え、2019年8月以降の日韓摩擦激化による訪日韓国人の減少、開催地の宿泊料金の高騰や混雑を回避する「クラウディングアウト効果」により、訪日外国人数が大幅に加速する可能性は低いと予測しています。

むしろ、供給増により東京・大阪における客室稼働数の低下幅が大きくなるとも予測されています。

【インバウンド】クラウディングアウトとは?東京オリンピック2020開催で訪日外国人が減少するは本当か?

インバウンド業界でのクラウディングアウト(crowding out)とは、オリンピックをはじめとする国際的な大型スポーツイベントなどが開催される際に起きる混雑を嫌って訪日外国人観光客が減ってしまう減少です。東京オリンピック・パラリンピック2021年に延期となり、9月7日には国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ調整委員長が再延期や中止はないとの方針を示しました。2021年に東京オリンピック・パラリンピック大会が開催されることによりクラウディングアウト(crowding out)は...


東京オリンピックのリスク2. 交通機関の混雑

東京では通勤ラッシュの混雑は過酷な状態で、休日やお盆の時期などには高速道路の渋滞も深刻です。世界中から観光客が訪れる東京オリンピック中は、交通機関がさらに混雑し、混乱することが懸念されています。

大会期間中、電車では大混乱が起きる 

鉄道も研究対象とする情報工学の専門家は、人気競技が集中する日を中心に、大会期間中、電車では大混乱が起きると指摘しています。

競技場の最寄り駅に非常に多くの人が集中するほか、分散している競技場にアクセスするため、東京駅新宿駅、永田町駅といった乗換駅の混雑も懸念されます。特に朝のラッシュ時間帯は、通常のラッシュに加えて観光客も増えるため電車が動かなくなることも考えられます。

専門家は、競技場にアクセスするためには最寄り駅ではなく前後の駅から歩く、競技場は開始時間よりも早く来てもらうようイベントなどを開催する、通勤客は会社を休むことなどを提案しています。

混雑緩和の対策は?「2020TDM推進プロジェクト」と高速料金の調整

混雑緩和の対策にあたり、東京都、内閣官房、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委員会)が事務局となり、大会時の交通混雑緩和を目指す「2020TDM推進プロジェクト」が推進されています。

TDMとは「交通需要マネジメント」の頭文字です。自動車の効率的な利用や、公共交通への利用転換などによる道路交通の混雑緩和や、鉄道などの公共交通も含めた交通需要調整をする取組みを意味しています。

また、東京都は「東京2020大会における首都高速道路の料金施策に関する方針」を取りまとめました。オリンピック・パラリンピック期間中、時間帯によって料金を変更することで混雑の緩和を図ります。

実施期間は7月20日から8月10日と、8月25日から9月6日です。昼間はマイカー等を対象に都内区間で料金を1,000円上乗せするほか、夜間はETCを搭載した全車種が、首都高全線で5割引となります。

東京オリンピックのリスク3. 感染症の流行

オリンピック開催にあたり懸念される感染症の拡大リスクは、新型コロナウイルス(COVID-19)だけではありません。 

「マスギャザリング」のリスク

オリンピック開催にあたっては、「マスギャザリング」により、日本国内外で潜伏する感染症が拡散するリスクが指摘されています。

マスギャザリングとは、一定期間に、ある目的のために、特定の地域に多人数が集まることを指します。

1カ所にさまざまな国の人が集まるため、気づかないうちに感染症が拡大する恐れがあります。過去のオリンピックでも、夏季、冬季問わず発生しており、新型コロナウイルス(COVID-19)だけでなく、リスクは存在するといえるでしょう。

「FUSEGU2020」発足、予防策を啓発

日本感染症学会と日本環境感染学会は、2020年のマスギャザリングへの対応に向けたプロジェクト「FUSEGU2020」を発足しています。

1月22日に開催さいた記者会見では感染症を防ぐための方針を提案しており、そこで示された方針は以下の通りです。

  • 知らせて防ぐ(認知・理解度を上げる)
  • 適切な予防手段で防ぐ(マスク・手指衛生・ワクチン)
  • 産官学で防ぐ(協力体制を拡大する)

東京オリンピックのリスク4. テロ

世界中の注目を集めるオリンピックは、テロの標的になりやすくなります。十分なテロ対策は、オリンピックを成功させるために欠かせません。

世界中の耳目を集めるオリンピックは格好の標的に

オリンピックは、

  • 世界中が注目
  • 世界中から多数の要人が来日
  • 外国人観光客の増加
  • 聖火リレー、選手の事前合宿等の全国での実施

と、テロの標的になりやすい要素が詰まっています。これまで大規模なイベントで発生したテロ事件としては、ボストンマラソンを狙った爆弾テロ事件(2013年)、アトランタオリンピックにおける爆弾テロ事件(1996年) などがあります。

日本政府の対策

日本政府はテロ対策を強化するため、「2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会等を見据えたテロ対策推進要綱」を作成しました。

要綱は、以下の7項目のテロ対策強化策から構成されています。

  1. 情報収集・集約・分析等の強化
  2. 水際対策の強化
  3. ソフトターゲットに対するテロの未然防止
  4. 重要施設の警戒及びテロ対処能力の強化
  5. 官民一体となったテロ対策の推進
  6. 海外における邦人の安全の確保
  7. テロ対策のための国際協力の推進 

テロ対策に欠かせない情報対策のほか、政府だけでなく官民一体となった対策、国際社会との連携を通した対策など、幅広いテロ対策が推進されることになっています。

政府の方針や対策を知り個人でもできる対策を

東京オリンピックについては、開催中止のデマに対し都知事が直々に否定するなど、目の前で広がる新型コロナウイルス(COVID-19)の影響に注目が集まっています。

しかし感染症以外にも「宿泊」「交通」「テロ」といったリスクがあり、十分な対策が求められます。

政府の方針や対策の動向を見守りつつ、感染症を防ぐための衛生管理の徹底や、大会期間中の移動手段の検討など、個人レベルでもできることを実践する必要があるでしょう。


<参照>

・東京新聞:五輪中止デマ、小池都知事が否定 新型肺炎巡り、ネットに拡散

・産経新聞:五輪期間中ホテル暴騰 宿泊施設足りない? 直前放出の可能性も

・トラベルボイス:東京オリンピックで「ホテルは不足しない」の最新試算、供給増で、一方で東京・大阪の客室稼働率が大幅低下の予測も

・FNN PRIME:東京2020」その日、電車は止まり駅では大混乱が起きる…専門家が警鐘

・BUSINESS INSIDER:新型コロナウイルスだけじゃない!東京五輪では感染症の流入に要注意

・首相官邸HP:2020年オリンピック・パラリンピック東京大会等を見据えた テロ等違法行為の防止対策の強化

・首相官邸HP:2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会等 を見据えたテロ対策推進要綱

【7/3開催】宿泊のイマを考える「ホスピタリティサミット」

インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」

2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。

参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。

<こんな方におすすめ>

  • インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
  • 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
  • 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
  • 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
  • インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生

「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる

【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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