民泊が東京オリンピックの宿泊施設不足を救う?民泊のメリットとは

公開日:2020年03月16日

※新型コロナウイルスのパンデミックを受け、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは1年程度の延期が決定しました。詳細な日程、選考基準などは、公式情報が発表され次第、順次更新します。

2020年の東京オリンピックに向けて、ここ数年注目を浴びているのが「民泊」です。

民泊は住居の一部や全部を旅行者に貸し出すサービスのことで、空いている部屋や空き家を活用できることと、訪日外国人観光客の増加やAirbnbのサービスの広まりから一般にも浸透してきました。

東京オリンピックでは、首都圏の宿泊施設不足が懸念されており、民泊に期待が寄せられています。

しかし、昨今流行している新型コロナウイルスの流行の影響で、予約が激減したという事業者の声も聞かれます。

ここでは、民泊のメリットとデメリット、そしてインバウンド向けの施設にするためのポイントを改めて紹介します。

東京オリンピックでは宿泊施設が足りない?

東京オリンピックが目前に迫る中、オリンピック期間中の首都圏広域でホテルの高騰や施設不足などに対する不安の声が上がっています。

そんな中で、大手のホテルグループなどが新たなホテルを建設したり、自治体が民間と協力してクルーズシップを宿泊施設として使用する計画を立てたりするなど、宿泊施設不足を補うべく動き出しています。

東京オリンピックに向けたホテルの開業ラッシュ

こうした東京オリンピックに関連する宿泊施設不足やインバウンドの増加を見越して、首都圏では新たなホテルの建設が急ピッチで進められています。

東京23区のホテル客室数は、2021年には2018年と比べて約2万9,000室(+24%)増加するという試算があります。

住友不動産は、羽田空港に直結する1,717室のホテルを建設、京浜急行電鉄も、羽田空港国内線ターミナルから1駅の場所に「京急EXイン」の開業を予定するなど、羽田空港周辺の宿泊施設が充実することが予想されます。

また、東京臨海部の豊洲や有明でもホテルの建設が相次いでいます。

豊洲市場周辺は都や江東区が歩行者用通路や公園の整備を進めており、まちの賑わい創出にも期待がかかっています。

都内のホテルはほぼ満席状態

東京オリンピックに合わせて宿泊予約サイトで検索すると、都心の中心部だけでなく首都圏広域にわたって満室のホテルが多くなっています。

ほかの時期と比べて宿泊料金が極端に高いホテルもあり、予約争いが過熱しています。

原因の一つとしては、大会組織委員会による仮押さえがあり、競技会場となるさいたまスーパーアリーナや幕張メッセの周辺ホテルでは、大会関係者の調整が終わるまでは一般の宿泊予約がしにくくなっていますが、調整ができ次第、一般にも開放される予定です。

川崎市では、民間の業者と協力して川崎港に大型客船を停泊させる「ホテルシップ」の提供を予定しています。

千葉市では大規模なイベントホームステイを実施予定

千葉市ではAirbnbと連携し、東京オリンピック期間中に「イベントホームステイ」を実施します。

大会では一部の協議が千葉にある幕張メッセで開催されることもあり、競技開催期間中にホームシェアリングを行うことで旅行者と市民の交流を図ることが目的です。

市内に自宅があり、当該自宅の提供にあたり賃貸借契約やマンション管理規約に違反しておらず、所定の「ホームシェア実務研修」を受講することが可能であればイベントホームステイの提供者として応募できます。

4月と5月に市内で大規模イベントが開催される際にも、ホストが実践の機会を得られるようにホームシェアを実施する予定です。

民泊のメリット・デメリットとは?

東京オリンピックの際の宿泊施設不足を補う存在として期待が高まる民泊ですが、メリットもあればデメリットもあります。

民泊には個人が自宅の空き部屋を貸し出す場合や、企業などが専用の不動産を購入して大規模に貸し出す場合などさまざまなタイプがあります。

宿泊者として、ホスト側としての両方の視点から見ます。

ゲスト側のメリット

民泊の最大の魅力は、現地の人が実際に生活しているところに泊まれることでしょう。

旅行者として一般的なホテルに泊まるのとは違い、現地の人の生活を体験できるのは大きなメリットです。

現地の人々と交流してうどん作りやそば打ちなど、日本食を作ったり食べたりする体験をすることや、オーナーから周辺地域のおすすめのお店や観光スポットなどを教えてもらうことが可能です。

ホテルよりもバラエティに富んだ宿泊体験ができることと、比較的安く泊まれることもメリットです。

ホスト側のメリット

訪日外国人観光客もリピーターが多くなってきています。

何度も日本を観光している訪日外国人の中では日本文化を「体験する」ことに注目が集まってきており、日本の生活を体験できる民泊の需要が高まっています。

受け入れるホスト側のメリットとしては、グローバル化の流れが大きくなっている昨今では外国人のゲストと交流できることが挙げられます。

外国人とコミュニケーションを図ることは、外国の文化を知る貴重な体験といえます。

また、所有している空き部屋や空き家を有効活用できることも大きなメリットでしょう。

デメリット

旅行者と受け入れ側の双方にメリットのある民泊ですが、もちろんメリットだけではありません。

文化や言葉の違う地域から訪日外国人と、ちょっとした行き違いでトラブルになる可能性もあります。

特に、集合住宅を提供する場合は、ゲストがルールを守らずにごみを捨てたり、深夜に騒いだりという苦情が近隣住民から出ることがあります。

また、訪日外国人が頻繁に出入りすることを不安に感じる住民がいることも事実です。

日本の電化製品や住宅設備に慣れていないゲストが設備を壊したり、キッチンを使用して火事になるリスクもゼロではありません。

インバウンド向けの施設にするためには?

訪日外国人観光客に民泊を提供することを決めたら、訪日外国人に選んでもらえるような施設にする必要があります。

訪日外国人観光客が宿泊場所を選ぶ際に重視することは、立地、Wi-Fiなどの設備、外国語に対応しているかです。

日本を訪れるのですから、日本の文化を感じられる設備が整っていると良いでしょう。

設備の充実

観光地や交通機関の情報を調べるために、インターネットは欠かせないものです。

Wi-Fiを設置することはもちろん必須ですが、意外に見落としてしまうのが複数台同時に接続できるかどうかです。

すでに設置している場合でも、同時に何人まで接続可能なのか詳細を確認しておきましょう。

また、外国で使用しているパソコンやスマートフォンなどの電化製品は電圧やコンセントの形状が違うため、日本ではそのまま使えないこともあります。

変圧器や、通常のコンセントからUSBポートに変換するアダプターなどがあればゲストに喜ばれるかもしれません。

多言語対応

設備の説明や注意書きなどは日本語でなく多言語で作成する必要がありますが、すべての言語に対応することは不可能です。

その場合に便利なのが絵文字で表示ができる「ピクトグラムです。

ピクトグラムとは、どの国のどんな人でも、直感的に内容が伝わる絵文字や絵単語、案内用図記号のことです。

ただし、ホストがゲストに伝えたいことがある場合は事前に準備することもできますが、ゲストが質問をしてそれに答える場合などの双方のコミュニケーションでは困ることがあります。

そのような場合に備えて多言語翻訳機やスマートフォンにダウンロードできる「他言語音声翻訳システム」の使用を検討するのも良いでしょう。

24時間いつでも複数言語を話せるオペレーターが対応してくれる、タブレット型通訳サービスなどもあります。

ピクトグラムとはどんなもの?外国人にもわかりやすい視覚記号/無料ダウンロードできるサイト3選

ピクトグラムとは、情報や注意を示すための記号の一種で、「絵文字」や「絵単語」と呼ばれることもあります。単純な記号を用いた案内が訪日外国人の受け入れ等に有効であることから、2021年に開催予定の東京オリンピックに向けてピクトグラムの導入や変更が進んでいます。2019年夏には東京都内でピクトグラムの展示も開催され、その存在意義や様々なデザインを啓蒙する動きが盛んです。今回はピクトグラムの意味や歴史、導入のメリット、無料で素材をダウンロードできるサイトについて紹介します。インバウンド対策にお困り...

民泊のインバウンド対策

「爆買い」に象徴される「モノ消費」が落ち着き、インバウンドにおいては体験を重視する「コト消費」がポピュラーになってきています。そのなかで、農家などの一般家庭に泊って農業体験をしたり、一緒に食事を作ったりする民泊が人気を集めています。かつては修学旅行生など学生がやることというイメージが強かった民泊ですが、インバウンド対策やインバウンド集客のためにはどのような取り組みを行えばよいのでしょうか?このページでは、民泊の様々なインバウンド対策事例集について施策別に事例をまとめています。

日本文化が体験できるコンテンツの用意

近年のインバウンド市場では、訪日外国人の消費が「モノ消費」から「コト消費」へ移っています。

コト消費とは、旅行先の文化や生活を体験する消費行動のことです。

したがって、民泊を提供するにあたって、宿泊だけではなく体験できるものを用意することはとても重要です。

鳥取県のある民泊施設では、仕出し料理屋のノウハウを生かして手巻き寿司作り体験などを提供しています。

空き部屋を有効活用するために家族で経営している施設で、Airbnbを利用して日本の田舎の暮らしや文化等を情報発信しているところは多くみられます。

コト消費の3事例を紹介|人気観光スポットから探る最新トレンド

近年、訪日外国人観光客の観光目的が家電製品などを購入するモノ消費から体験を重視するコト消費へと変化しています。例えば田舎暮らしを体験するツアーなど、モノから私たち日本人の生活そのものに興味を持っている観光客が増加しています。この記事ではコト消費の意味だけでなく、モノ消費との違いを3つの事例を参考に解説します。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに相談してみる目次コト消費とは?所有...

オリンピック期間中の民泊に期待

オリンピック期間中は宿泊施設不足が予想され、民泊の需要も高まると考えられています。

ラグビーのワールドカップ時には、首都圏だけでなく周辺の地域でも宿泊の需要が高まったこともあり、オリンピックの開催中も同じような状態になるのではないかと予想されます。

訪日外国人観光客を受け入れるには、施設の設備や多言語対応などの課題もありますが、空き部屋や空き家の休眠資産を有効活用できるのは大きなメリットです。

民泊を有効活用して訪日外国人誘致につなげられるとよいでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!