航空業界の回復は「4年」必要…「トラベルバブル」で復活なるか?各国の運休・減便・再開・破産の動きとは【航空×コロナ動向まとめ】

公開日:2020年05月22日

新型コロナウイルスの影響で減便・運休を余儀なくされていた各国の航空会社に、新たな動きが出ています。

韓国の大韓航空、アシアナ航空は来月6月から一部路線の運航を開始します。また、スイスー成田間やニューヨークー成田間の運航再開も6月に予定されています。徐々に新型コロナウイルスの感染が収束する国・地域も出てきており、段階的な運航再開の動きに注目が集まります。

一方で、タイ国際航空が経営破綻するなど、入国制限に伴う経営危機も問題となっています。

この記事では、各国の航空会社の動きをまとめます。

関連記事
【入国制限まとめ】日本・世界の新型コロナ 水際対策の渡航制限措置が一目でわかる一覧表(5/15更新)
コロナ危機、航空業界はどう乗り切るか:日本の地方空港の踏ん張りに今後の明暗
【新型コロナ海外動向まとめ】中国政府、渡航緩和を探る 世界で進む規制緩和 感染「第2波」の恐れも

今後の航空業界の動きはどうなる?

IATA(国際航空運送協会)は、国際線の需要が回復するには4年ほどかかると推測しており、航空業界は厳しい状況が続くと考えられます。

そこで、まずは近いエリアでの旅行を推進する「トラベルバブル」も議論されています。

国際線の需要回復は2024年:IATA発表

5月13日、IATA(国際航空運送協会)は、新型コロナウイルスの影響で大きく減少した国際線の需要が、2019年の水準に回復するのは2024年になるとの見通しを発表しました。

各国の国内線は2022年までに回復すると予測する一方で、国際線は到着地での厳しい検疫が多くの旅行者を遠ざけているとして、各国政府へ需要回復に向けて代替措置を検討するよう要請しています。

「トラベルバブル」検討:オーストラリア・ニュージーランド

オーストラリアとニュージーランドは、新型コロナウイルス対策として閉鎖していた国境を開放し、両国を同一の旅行ゾーンとする方針について議論を進めています。

議論の中では「トラベルバブル(travel bubble)」という言葉が使われています。トラベルバブルとは、社会的・経済的に結びつきが強く、互いに新型コロナウイルス感染が収束している国同士での、渡航制限解除などの取り組みを指します。他のエリアからの新型コロナウイルス流入から守られている状況を、外から空気が入ってこないバブル(泡)に例えているようです。

今後は他の地域でも、隣国との「トラベルバブル」から国外旅行が始まるかもしれません。

各航空会社の動向まとめ

未だ多くの国が入国制限を行う中、韓国や台湾などで、段階的な運航再開が計画されています。その他、アメリカやオランダなどでも運航再開の動きがみられます。日本路線も、アメリカのユナイテッド航空やスイスのインターナショナルエアラインズなどが再開する見通しです。

一方、日本国内の航空各社は、未だ多くが運休・減便を継続しています。タイやオーストラリアなどで、経営が悪化し破綻に陥る航空会社も出てきており、航空業界の危機はしばらく続きそうです。

アジア:国内航空各社は運休、減便を継続

日本国内

日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)、エアアジアジャパンなど、国内航空各社は運休、減便を継続しています。

JALは5月23日から6月14日までで、72%の便が運休・減便対象となっており、ANAは5月31日までで86%が運休・減便となっています。

エアアジア・ジャパンは、5月31日までとしていた全3路線の運休を6月末まで延長しています。

九州ー台湾間を運航するスターフライヤーも、全2路線の国際線の運休を6月末まで延長しています。

また、ANAグループとスカイマークは、新入社員採用を中断しています。ANAグループは、採用再開について今後の動向を見極めながら検討するとしています。スカイマークも、当初「中止」としていた新入社員採用を「一時中断」と軌道修正しましたが、再開の目途は立っていません。

台湾

5月15日、中華民国交通部は新型コロナウイルスが収束傾向にあることを受けて、交通・観光防疫対策を3段階で緩和する計画案を発表しました。外国人観光客の入境規制は、第3段階の10月1日から緩和するとしています。

今まで14日間の在宅検疫が必要だったビジネス目的での訪台については、「極めてリスクが低い」および「リスクが低い」と判断した国からであれば、在宅検疫の日数が短縮される見通しです。 

韓国

大韓航空は、6月から米ワシントン・シアトル、カナダのバンクーバー・トロントの各路線の運航を再開します。これで国際線の約30%が運航再開となります。アシアナ航空も6月から国際線13路線の運航を再開する予定で、全73路線のうち運航する路線は27路線となります。

一方、LCC各社は事業の改革に取り組んでいるようです。最大手のチェジュ航空は、新たにアシアナ航空出身の専門家をトップに迎え入れており、イースター航空の買収や財務構造の改善などに取り組むとみられます。国際線のシェア2位に浮上したティーウェイ航空は、他社との差別化を図るために中長距離路線に注力する計画で、機材導入の準備を進めています。

タイ

5月19日、タイ政府は経営危機に陥ったタイ国際航空の法的整理を閣議決定しました。ただし破産ではなく、事業を継続しながら債務再編やリストラを実施し、再建をはかるとのことです。また、同社は7月1日から限定的に国際線の一部再開を計画しており、7月1日に32路線を、翌2日に5路線を再開する見通しです。

北米・南米:ユナイテッド航空はニューヨークー成田線を再開

米国

デルタ航空は5月18日、中国本土への旅客便を6月に再開すると発表しました。再開するのは全6路線のうち、デトロイトー上海線とシアトルー上海線の2路線としています。

また、ユナイテッド航空は、ニューヨークー成田線を6月5日から週3往復で再開し、成田発も翌6日から再開します。ただしその他の日本路線については、7月4日まで減便が延長されます。

米国、カタール

アメリカン航空とカタール航空は、5月17日からコードシェア(共同運航)を開始しました。2月に締結された戦略パートナーシップによるものです。

コロンビア

コロンビアのアビアンカ航空を傘下に持つアビアンカホールディングスは、米国の連邦破産裁判所に破産を申請したと発表しました。同社はニューヨーク証券取引所に株式上場していましたが、コロンビア国内では3月23日から国際線・国内線の運航が禁止されており、再開の見通しも立っていないため、経営悪化は避けられなかったようです。

ヨーロッパ・オセアニア:ヴァージン・オーストラリアが事実上の経営破綻

スイスー成田

スイスのインターナショナルエアラインズは、6月1日からチューリッヒー成田線の旅客便を週2往復で再開します。

オーストラリア

4月21日、オーストラリアの航空2位のヴァージン・オーストラリアが、事実上の経営破綻となったことを発表しました。同社は全日本空輸(ANA)とのコードシェアを今年1月17日に締結しており、影響が懸念されます。

英国

5月5日、ヴァージン・アトランティック航空は、人員削減を含めたコスト削減策を発表しました。

オランダ

エールフランス-KLMグループのKLMオランダ航空は、欧州域内の路線を5月4日から順次再開しています。5月中に新型コロナウイルスの感染拡大前と比べて15%の運航再開を目指しています。

<参考>

AviationWire:

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!