インバウンドビジネスの現状 | 成功事例から今後の対策を考える

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インバウンドビジネスとは、訪日外国人観光客をターゲットとしたビジネス全般を指し、政府が2020年の訪日外国人旅行者数4,000万人の目標を掲げたことなどからインバウンド業界はますます盛り上がりを見せました。

新型コロナウイルスの流行によりインバウンド消費が大幅な落ち込みを見せていますが、それでも長期的な観点から引き続きインバウンドビジネスの可能性は注目されています。

この記事では、インバウンドビジネスとは何か、また、日本のインバウンドビジネスの現状と今後の展望や成功事例を紹介します。

インバウンドビジネスに関心がある人や、これからインバウンドビジネスで起業したり、またはインバウンドビジネスへ参入しようとしている場面での、ヒントやポイントとなる点を解説します。

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インバウンドビジネスの現状

インバウンドビジネスとは、訪日外国人観光客をターゲットとしたビジネスを指します。

また、外国人観光客の訪日によって生まれるビジネスも該当します。訪日外国人観光客を対象とした商品やサービスの提供を主とした商売全般がこれにあたります。

訪日外国人観光客による訪問、または利用する可能性があるビジネスは、すべてインバウンドビジネスだといえます。近年では情報産業、IT産業およびシェアリングエコノミーインバウンドビジネスと深く関わっています。

訪日外国人観光客4,000万人を目指すもコロナで大幅減

国は当初、2020年の訪日外国人観光客数の目標を2,000万人に設定していました。しかしその後、4,000万人に数値を引き上げ、2030年には6,000万人を目標に掲げていました。

実際、2019年の訪日外国人数は3,188万2,000人と過去最高を記録し、2020年の目標値に向けて順調に推移していました。

しかし新型コロナウイルス感染症の流行により、2020年4月の訪日外客数はわずか2,900人と前年同月比で99.9%減少しています。

3月26日に出された国連世界観光機関UNWTO)の最新予測によると、2020年における国際旅行客数は前年比で20〜30%減少の見込みで、この数値を回復させるには1年以上かかると試算するコンサルティングファームもあります。

4月訪日客99.9%減 わずか2,900人:コロナショックで統計史上最低を記録【グラフで見るインバウンド】

2020年5月20日、日本政府観光局(JNTO)は訪日外客数の2020年4月推計値を公表しました。4月は前年同月比99.9%減と、調査対象の全22市場で外客数がほぼゼロとなるなど、訪日外客数の激減が顕著な結果となりました。新型コロナウイルスの世界的な感染流行に伴う、海外渡航制限や外出禁止等の措置の継続が、大きな要因になったと考えられます。4月の訪日外客数のデータとともに、各国における水際対策の最新動向をあわせて解説していきます。▲2020年4月 訪日外客数(JNTO推計値):[JNTOプレ...

インバウンド市場の変化

インバウンド市場の質的な変化は、主に2つ挙げられます。

1つは、個人旅行やリピーター客の増加です。

現時点で中国人旅行者における個人旅行者は60.7%と、半数を超えています。また台湾や香港からのリピーター8割を超えていることから、中国においても今後リピーターが増加すると考えられています。

もう1つは、旅行に求められる価値観の変化です。

昨今の訪日旅行者の間では、買い物などの「モノ消費から、体験などの「コト消費へと需要が変化しています。

以前までは「爆買い」に象徴されるように「物の豊かさ」を求める観光客が多くいました。しかし最近、こうした現象は以前よりも少なくなっており、食事やアクティビティなど、より自身の体験から得られる「心の豊かさ」が訪日旅行において重視されつつあります。

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世界的な消費行動の変化として、商品を購入する「モノ消費」から体験型の「コト消費」へと変化しています。 この変化は国内消費だけでなく、訪日外国人観光客のために酒造見学や田舎暮らしの体験ツアーなどが提供されている事からも変化を感じ取ることができます。 この記事ではモノ消費からコト消費へシフトしている理由とインバウンド誘致における対策方法について解説します。 インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応...

インバウンドビジネスのこれから

新型コロナウイルスの流行に伴って、大きな影響を受けたインバウンド市場を切り抜けるには、今後の状況を予測し、しっかりと戦略を立てておく必要があるでしょう。

以下では、日本のインバウンドビジネスの今後とそこで求められる戦略について紹介します。

インバウンド市場の回復は「地域→国内→訪日旅行者」の順で

観光庁の補正予算では、今後感染が収束し、観光客の誘致が可能となった対象国や地域には、日本政府観光局が国際航空便の運航再開や日本への来訪を後押しする広報宣伝などで支援を行う方針が示されました。

こうした政策からも、インバウンド市場でコロナショックから回復するには第一に、地元の人達による早急な地域消費の活性化が行われるべきだと考えられています。

そして第二に、日本人国内旅行者の誘致を促進し、日本人による消費を回復させることが重要となります。

こうして国内での活気を取り戻した後、第三にインバウンド旅行者の誘致を拡大し、徐々に経済回復することで平常化していくとされています。

インバウンドビジネスの今後の潮流

個人客の増加に伴って、その価値観は多様なものへとシフトしています。

そうした中でリピーターの増加へ繋げるため、個客をターゲットとしたマーケティングが重要となります。多言語による情報提供だけでなく、交通や宿泊施設といった、インフラ整備の拡張も欠かせません。

さらにオリンピックの開催が予定されている現在では、オリンピック終了後も見据えた対策が必要となります。

インバウンド市場はオリンピック後にも拡大していくことが予想されるため、開催都市や国の印象を「また来訪したい」といった印象を深く与えることが鍵となるでしょう。

インバウンドビジネスに今後求められる戦略

外国人の本質的ニーズを理解することが求められています。

外国人に限ったことではありませんが、顧客群によって異なる嗜好や価値観を分析し、消費行動の特性を見極めた上で、適切な対策を講じる必要があります。

訪日する前後における消費の動向をチェックし、いかに訪日前の入り口(ファーストワンマイル)を捉え、実際に訪れるところ(ラストワンマイル)までのサポートを行えるかが重要です。

インバウンド市場が大きくなれば、インバウンドが感じる問題点も多様化していきます。情報コンテンツの拡充や、宿泊施設や交通などプレイヤー同士の協働、さらにはWi-Fiなどの通信環境を整えることが、今後におけるアプローチには欠かせません。

インバウンドビジネスの成功事例

インバウンドビジネスを成功させるために外せないポイント、また、既にインバウンド対策に成功している企業ではどういった戦略が展開されているかを紹介します。

インバウンドビジネスにはネットでの情報発信が不可欠

日本を訪れる外国人旅行客のほとんどが、情報収集の手段として、インターネットを使用しています。インバウンドに対してどれだけインターネットを通して、伝えたい情報を伝えられるかが鍵となります。

世界的に多くの人が利用しているInstagram、FacebookおよびTwitterなどといったSNSでの発信は不可欠といえるでしょう。他にも、知名度が高いAirbnbなどのWebサービスを生かした情報発信を行うことで、インバウンドが集まりやすくなります。

情報発信の際には、検索で上位に食い込むためにも多言語対応をしっかりと行うことが大切です。

加えて、それまでの海外経験などを通して海外とのコネクションがある場合はそれらもフルに活用することで、よりインバウンドにアプローチしやすくなります。

成功事例1.マツモトキヨシ

マツモトキヨシがインバウンドに対する売上を伸ばしたのは、彼らのニーズを的確に満たしているからだといわれています。

訪日外国人の多くを占める中国人は、自国通貨である人民元の海外持ち出しが規制されており、海外での買い物にはデビットカードが重宝されています。

マツモトキヨシは、中国で発行されるデビットカード「銀聯(ぎんれん)カード」の利用を可能にしたことで、インバウンドがより訪れやすい環境になったと考えられます。

また情報発信の手段として、WeChat微信)での商品情報の発信や、クーポンの配信を行っています。中国にいても日本にいても情報を入手できるため、より多くの人の目に留まりやすくなります。

環境面としては、免税対象商品や、店内で利用できるフリーWi-Fiを拡充することで、買い物をしやすい環境が整えられています。

成功事例2.ネスレ日本

ネスレ日本の大ヒット商品といえば、日本でも大人気の「キットカット」です。

商品戦略を各国に任せている点が、ネスレの特徴で、アジアのブランディング戦略の中では「メイド・イン・ジャパン」のキットカットが売れ行きを伸ばしており、訪日外国人観光客からも人気となっています。

特に日本ならではの抹茶味のキットカットは、数あるキットカットの商品の中でも購買意欲をそそるものとなっており、多くの人々を魅了しています。

商品情報を発信するにあたって、世界中の人々の心に訴えかけるショートムービーを作成し配信することで、世界に対するブランディングを行っています。

インバウンドビジネスの回復に向け、今できる事を着実に行っていく

コロナショックからの回復は、第一に地元住民による活性化、第二に日本国内の消費の回復、そして最後にインバウンドからの回復となるため、長期戦となることが予想されています。

そのため、インバウンドのみにターゲットを絞った短期的な戦略では、思うような回復ができない可能性があります。今、目の前にある課題を1つずつ解決していき、マーケティングをより効果的なものとしていく必要があります。

インバウンドの少ないこの状況下では、自社の問題を改めて洗い出すなど、今できることを着実に行うことが、先のインバウンドビジネスを成功させるために重要といえるでしょう。

<参考>

UNWTO:Impact assessment of the COVID-19 outbreak on international tourism

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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