多くの日本人が好感を持っている国として、北欧の国々が挙げられます。北欧諸国に対し、福祉大国で税金が高いものの国民の幸福度合いが軒並み高く、モダンで洗礼されたデザインの発信地として認識している人も多いのではないでしょうか。
今回は北欧人の性格や、訪日旅行に感じる魅力について紹介します。
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北欧の代表的4か国と、3つの地域や国
北欧諸国とは、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランドに、バルト三国(エストニア、ラトヴィア、リトアニア)、ブリテン諸島、アイスランドを指します。
株式会社阪急交通社が日本人を対象に2019年に行った「北欧知名度調査」によると、地図上で北欧4か国(スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド)の場所を正しく答えられる人は約4割程度に留まっており、北欧諸国は、まだまだ日本から心理的にも距離の遠い地域といえるでしょう。
北欧人のステレオタイプと実際のところ
北欧各国の人々はどのような物事の考え方をする傾向があるのでしょうか。
北欧の大国であるスウェーデンの人々は、集団の中では静かにすることを幼い時から学び、口にすることもオブラートに包み、北欧の中でも控えめな国民性であるといわれています。これらの特徴は日本人に似ているととらえられることもあり、「北欧の日本人」と表現する人もいるそうです。
デンマーク人は包み隠さずストレートな表現を好み、議論好きな性格だといわれています。
ノルウェー人については「北欧のオーストラリア人」と表現する人もおり、他の北欧諸国に比べると人生の計画を緻密にするのではなく「今日を生きる」タイプが多いそうです。
フィンランド人は北欧の中では他の国と一線を画しているといわれています。フィンランド人の多くは「哲学」的に物事を捉えるのが好きで、道に落ちているリンゴから「人生」を考え始めてしまうと表現されます。
違いはあれども、総じて「真面目で時間にきっちりしていて、静か」なのが典型的な北欧人の特徴のようです。
訪日北欧人の人数は?
人口が少ないことから、他の国々の観光客よりも目立たない北欧人ですが、どの程度日本に来ているのでしょうか。
JNTO「訪日外客数」のデータによる、2019年の訪日北欧人(スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド)は以下の通りです。
スウェーデンが最も多く5万人、残り3つの市場は2.5~3万人強で、4つの市場を合計すると14万1,000人となります。
- スウェーデン 5万3,836人
- デンマーク 3万2,893人
- ノルウェー 2万4,838人
- フィンランド 2万9,437人
訪日国トップのアジア諸国などと比べるとだいぶ訪日数が少ないですが、スウェーデンはメキシコ、スペインと同程度、他の北欧諸国はベルギー、ポルトガル、オーストリアと同様の訪問者数でした。
北欧サイトが紹介する「日本の魅力」
北欧人からみた「日本の魅力」はどこにあるのでしょうか。月間33万ユニークユーザーを誇る、デンマークの旅行情報サイトから紹介します。
「対照的」が混在する
デンマークの旅行情報サイト「RejsRejsRejs.dk(Rejs=Travel)」では、観光のために整備された文化財だけではなく、日本在住者が普段目にしている日常に惹かれる様子が伝えられています。
密集した高層ビル街と夜中も煌びやかなネオン街は欧州ではなかなか見かけることのないもので目を引くようです。
同時に、首都である東京にも寺や日本庭園があり、こうした施設には「禅」を感じとれると語ります。二つの対照的な存在を持つ街は、日本の魅力の一つであると紹介しています。
日本人との交流、英語は通じなくても感激
同サイトでは日本人との交流が以下のようにつづられています。
世界でも日本は英語が通じない先進国ということは有名です。どこのお店に行っても「どこから来たの」と必ず聞かれ、笑われることもあり気分を害する時もあります。レストランにあるメニューの英語は「Google翻訳」されており、意味が分からないことが多い。
しかし英語で話しかけてくれる日本人も居て、彼らはとてもチャーミング。電車でも切符の買い方が分からない時に、駅員さんがアプリを使って一生懸命説明して助けてくれました。(RejsRejsRejs.dk より一部訳)
日本を旅行する北欧人の場合、英語が通じないという体験そのものが非日常でエキサイティングだと受け止められるようです。
サイクルツーリズム
サイクルツーリズムは、訪日外国人の間では公共交通機関では味わえない景観を目にできるとして、人気の観光方法です。
北欧では「自転車」利用が日常に溶け込んでおり、日頃慣れている交通手段を日本に来ても使いたいという旅行者が居るのは容易に想像できます。欧州では世界的に有名なロードレースが沢山あり、日本やアメリカでいう「ゴルフ」のようにサイクリングを通じた交流もあるそうです。
日本旅行中に、「ここを自転車で通ってみたい!」とコメントする北欧人もいます。運動と観光を同時にできるのは魅力的なようです。
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北欧市場の日本ファンの傾向をつかむ
観光庁のビジット・ジャパン事業で準重点国家でありながら、インバウンド事業者でも北欧市場にフォーカスしているというケースは多くありません。
しかし、北欧にも確実に日本ファンがいます。例えば、デンマークのデザインTシャツ販売サイト「Spreadshirt」が販売するTシャツには、日本関連のデザインも多くあります。
中でも「日本大好き」Tシャツは、なんと577件もの評価投稿で「星4.3個」を取得しており、かなり人気があるデザインといえるでしょう。デンマークの国旗がプリントされているシンプルなTシャツでも370件ほどの評価で、他のデザインTシャツと比べても引けを取らないことが確認できます。
北欧地域は人口が少ない分、どのような社会通念や消費者像なのかその国以外では知られていない部分も多くなっています。それでも、訪日外客数では毎年、北欧の各国から3~5万人が記録されています。
アフターコロナの観光市場では、人の密集を避けたアウトドア関連の旅行スタイルが存在感を高めていくと考えられます。サイクリング好きの北欧人が、日本に注目する大きなチャンスとなるのではないでしょうか。
<参照>
PRTIMES:北欧のこと、どれだけ知ってる?知名度調査(株式会社阪急交通社)
https://www.rejsrejsrejs.dk/rejsemaal/asien-rejseartikler/japan/oplevelser-japan-rejser/
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