「人間以外」のインフルエンサーが広告費を動かす現実:柴犬・猫・VTuber…海外からの反応も

公開日:2020年07月13日

今日、インフルエンサーの存在は広告だけでなく、顧客との関係構築にも必要不可欠となりつつあります。

例えば、アメリカの大手化粧品製造業・EsteeLauder社は、2020年度のマーケティング予算の75%をインフルエンサーの起用に使用すると宣言しました。

このような動向は各業界で見受けられており、今後もインフルエンサーの需要は世界規模で増加すると考えられます。

インバウンド市場も例外ではなく、旅マエの情報収集に活用されているSNSにおいては、ターゲット層に響くインフルエンサーの起用が戦略の明暗を司る分岐点となります。

一方、インフルエンサーを起用したマーケティング施策では、ブランドの求めるイメージをインフルエンサーに発信してもらうのみならず、ブランドにとって好ましくないイメージを排除できるのかという点や、各マーケットに適した言語対応も必要になってきます。

市場における多くのインフルエンサーは人間ですが、最近では猫や犬、VTuberなどの人間以外のインフルエンサーも姿を現しはじめました。

人間以外のインフルエンサー単純なブランドイメージの向上に高い効果を発揮するため、次世代のインフルエンサーとして注目を集めています。

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「人」以外のインフルエンサーまとめ

今回は、主に英語圏と中国語圏の情報を参考に、特に影響力を持つペットインフルエンサーとバーチャルインフルエンサー(VTuber)を抽出しました。

名前 種類 媒体 フォロワー数 影響力のある地域
野良猫ニャン吉 Instagram 約17万人 英語圏、中国語圏、韓国語圏
りょっころ Instagram 約18万人 英語圏
Masaya Y Instagram 約34万人 英語圏
ねこべや。 YouTube 約49万人 英語圏
柴犬まる Instagram 約257万人 英語圏、中国語圏、タイ
白柴凛と奈々 Instagram 約9万人 英語圏、中国語圏、韓国語圏
Ryuji Instagram 約33万人 英語圏
shibainu berry Instagram 約15万人 英語圏
今日のルンルン YouTube 約14万人 英語圏
カワウソさくら カワウソ YouTube 約39万人 英語圏
GEN3 OWL CHANNEL ミミズク YouTube 約32万人 英語圏
キズナアイ VTuber bilibili,
YouTube
bilibili:約113万人
YouTube:約276万人
中国、英語圏
カグラナナ VTuber bilibili,
YouTube
bilibili:約141万人
YouTube:約11万人
中国、英語圏
輝夜月 VTuber bilibili,
YouTube
bilibili:約28万人
YouTube:約99万人
中国、英語圏
鹿乃ちゃん VTuber bilibili,
YouTube
bilibili:約125万人
YouTube:約22万人
中国、台湾
白上フブキ VTuber bilibili,
YouTube
bilibili:約108万人
YouTube:約69万人
中国、英語圏
湊あくあ VTuber bilibili,
YouTube
bilibili:約76万人
YouTube:約56万人
中国、英語圏
訪日ラボ編集部調査

ペットインフルエンサーとバーチャルインフルエンサー(VTuber)それぞれの特徴について、以下で解説します。

ペットインフルエンサー

フォロワー数が多く、またユーザーに対し発言力のある動物のアカウントは「ペットインフルエンサーと呼ばれます。

ペットインフルエンサーはペット関連商品の紹介だけでなく、それ以外のサービス・商品のブランディングや販売促進にも活躍しています。

SNSやYouTubeにおいては、動物の登場するコンテンツに好意的な反応が集まりがちです。

動物は視聴者の属性を問わず、好感を与えられる存在です。注目の理由はさまざまですが、老若男女問わず基本的に肯定的な印象を抱く点は、動物ならではの特長です。

人間のインフルエンサーは、性別や社会的属性、過去の発言などを通じて特定のイメージを形成しています。こうしたインフルエンサーの持つ属性により、影響力を与える消費者層にも制限が生まれてしまいます。

商品のプロモーションを依頼したインフルエンサーが問題を起こしてしまった場合、そのインフルエンサーが取り上げた商品にも負のイメージが残されてしまう危険性があります。

一方、ペットインフルエンサーの場合、人間と異なり社会的な批判にさらされる可能性が非常に低く、消費者が負のイメージを持つ危険性も大幅に抑えられます。

こうした点からも、マーケティングにおけるペットインフルエンサーの存在感は日に日に大きくなっています。

以下に、有名なペットインフルエンサーの例をいくつか紹介します。

1. 柴犬まる


柴犬まるは2007年生まれの雄の柴犬です。東日本大震災で暗くなった日本を少しでも明るくしたいと思った飼い主が、2011年にまるの写真を投稿し始めました。

現在、柴犬まるのInstagramは約256万人のフォロワーを抱えており、うち約8割が外国からのフォロワーです。また、20代や30代の女性に多くフォローされています。

Instagramの投稿には日本語の短文と少数のハッシュタグが添えられているだけですが、「まるは本当にかわいい」「とても嬉しそう」といった英語のコメントも多く、写真を通じて海外のユーザーにも癒しを届けていることがわかります。

2014年には角川文庫からまるの写真集が出版され、台湾、タイ、香港で翻訳版が発売されました。

2015年には、岩手県盛岡市の公式プロモーションとして採用されました。柴犬まるの発信する情報が、海外における同市の認知度向上に貢献したと考えられます。

2016年にはTIME誌の「世界に影響を与えた動物100」に選出され、その人気はますます高まっています。

2. 野良猫ニャン吉  

野良猫ニャン吉は11歳の猫で、2009年に飼い主の自宅の倉庫に迷い込んだ所を保護されました。

その後、飼い主が散歩での風景や旅行先をFacebookやInstagramに掲載したところ、世界的な人気を得ました。

2020年7月現在、Facebookのフォロワー数は約14万人、Instagramのフォロワー数は約17万人となっています。

上の写真は、2018年の5月に仙台を訪れたときの様子です。仙台の名所である伊達政宗像を背景にしており、縁の人物に理解を深める旅行の醍醐味を猫が味わっているように演出しています。

投稿には韓国語で「고양이(猫)」のハッシュタグも付けられており、韓国をはじめとする海外の猫好きなInstagramユーザーが宮城について知見を深める機会にもなっています。

この写真は投稿から2週間で6,200件ほどの「いいね」を集めており、ニャン吉の人気度がうかがい知れます。

2017年には双葉社から公式写真集が販売され、2018年にはポーランドやリトアニアにてニャン吉の旅先の写真が展示されました。

また、2019年には中国のWebメディア「行遍天下」にも紹介記事が掲載されました。

ニャン吉はSNS利用者のみならず、インターネットを使わない世代の人々に対しても、書籍や展示を通じて旅行の楽しみを伝える存在になっています。

3. ayasakai(ムーとたすく)


ayasakaiさんがInstagramに投稿しているフレンチドッグの「ムー」と男の子「たすく」くんの写真も、犬の愛らしさで注目を集めています。

写真には「ムー」単体のものと、ayasakaiさんの家族が一緒に写っているものがありますが、どの投稿も1万件から3万件ほどの「いいね」を集めています。

また、英語、中国語、韓国語でのコメントも多く見られます。

このような、日常的で見る人の心を落ち着かせるような写真が人気を呼び、2014年にはWeiboでも話題となり、中国においてもファンを獲得しました。

また、過去にはアメリカのYahoo!でも、注目の投稿者として紹介されたことがあります。

2014年には写真集「ムーとたすく」がポプラ社文庫より出版され、1年後には次男の「せつ」くんを加えた「ムーとたすく2」が出版されました。

2020年7月現在、Instagramのフォロワーは約47万人に達しています。

4. GEN3 OWL CHANNEL


GEN3 OWL CHANNELは、げんさんの開設しているYouTubeチャンネルです。げんさんが飼っているベンガルワシミミズクの「ガルー」の様子を掲載しています。

チャンネル登録者数は約32万人となっており、チャンネルには英語の説明も記載されているため多くの外国人ユーザーを集めています。

上の動画は飼い主のげんさんにミミズクのガルーが甘える様子を撮影したものですが、英語圏のユーザーからは「猫のようでかわいい」「飼い主を優しく突く姿が好き」という声が寄せられています。

バーチャルインフルエンサー(VTuber)

バーチャルインフルエンサーとは、CGやアニメーションのキャラクターであるインフルエンサーです。

現在、バーチャルインフルエンサーの多くは動画共有サイト「YouTube」で活動しています。こうしたキャラクターを指して「バーチャルユーチューバー(VTuber)」というジャンルが確立されました。最近ではCG技術を駆使して作られたインスタグラマーも登場しています。

CGによるキャラクターの創作はそれ以前からあったものの、日本の社会で広く知られるようになったきっかけとして、2016年の「キズナアイ」の活動が考えられます。

バーチャルインフルエンサーも「スキャンダルを起こさない」「インフルエンサー本人の人格が疲弊しない」という点で、ペットインフルエンサーと類似した社会的ポジションにあるといえます。

ただし、ペットインフルエンサーと異なり、バーチャルインフルエンサーはインターネット内の存在であるため、現実における体験について紹介するプロモーションにはあまり適していません。

1. キズナアイ

キズナアイは、2016年から活動を開始したVTuberの代名詞というべき存在です。2018年には、JNTOの訪日促進Webプロモーションにも起用されています。

キズナアイはYouTube上で「A.I.Channel」と「A.I.Games」の2チャンネルを運用しており、商品のプロモーションには「A.I.Channel」が用いられています。

「A.I.Channel」の登録者数は約276万人、「A.I.Games」の登録者数は約148万人と、数あるVTuberの中でも突出した登録者数が特長です。

エナジードリンク「ZONe」とのコラボ楽曲「Awakening」のPVは120万回以上再生されており、英語圏のユーザーからも「キズナアイの曲はどれも好きだけど、この曲は特に素晴らしい」「どうしたらこんな映像が作れるの?信じられない」という評価の声が寄せられています。

2. カグラナナ(神楽七奈)

カグラナナは、2018年に活動を開始したVTuberです。


YouTubeチャンネルの登録者数は約11万人となっていますが、「神楽七奈」名義で活動しているbilibiliチャンネルは約142万人の登録者数を抱えています。

中国のVTuberまとめサイト「魔茶国際」によるVTuber人気ランキングでは第2位を獲得しており、日系VTuberの中では最も高い人気を持っています。

新型コロナウイルスが中国で流行した際にはチャンネルの収益を武漢の慈善団体に寄付するなど、中国に根付いた活動をしていることも特徴の一つです。

3. 鹿乃ちゃん

鹿乃(かの)ちゃんは、カグラナナと同じくYouTubeやbilibiliで活動しているVTuberです。

YouTubeのチャンネル登録者数は約22万人ですが、bilibiliのチャンネル登録者数は約126万人となっています。


VTuberを運用している鹿乃さんは歌手として活動しており、2010年からニコニコ動画にて「歌い手」としても活動しています。

2020年に自身の3Dモデルを作成し、YouTubeやbilibiliなどで鹿乃ちゃんとしての活動を始めました。

人間以外のインフルエンサーを活用したプロモーション

インターネットで見かける多くのインフルエンサーは人間ですが、最近ではペットやVTuberといった人間以外のインフルエンサーも登場しています。これらのインフルエンサーは人間とは異なり、不祥事が発生する危険性も低く、多くのユーザーから愛されやすいという特長を持っています。

種類にもよるものの、ペットインフルエンサーは実際にサービスを体験してもらったり、商品を試用してもらうことも可能です。

バーチャルインフルエンサー(VTuber)にサービスを体験させるには映像上の工夫が必要ですが、商品の紹介には適した性質を持っています。中国ではすでに、生放送とEC機能を組み合わせたライブコマースの領域で、バーチャルアイドルと配信者との共演が展開されています。

次世代のインフルエンサーとして期待されているペットインフルエンサーやバーチャルインフルエンサー(VTuber)を活用して、日本らしい「かわいさ」を重視したプロモーションを実現することもインバウンド市場には効果的でしょう。

<参照>

https://kyodonewsprwire.jp/release/201502247929


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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