"訪日外国人向けミシュラン"最高評価の「立山黒部アルペンルート」そのワケは?堅実なインバウンド対策がカギ

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2020年2月、「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」改訂第6版が発売されました。改訂版の発売は、2017年10月以来約2年半ぶりとなります。

ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンは、レストランではなく観光地の格付けをするガイドブックです。今回の記事では、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンの評価基準や、新規掲載された観光地について紹介します。

《注目ポイント》

  1. 改訂第6版では新たに157か所が掲載
  2. よりディープな日本を知りたいというニーズに応える
  3. 特に欧米豪の観光客がガイドブックで情報収集を行っている

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ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンとは?

ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンとは、フランスに拠点を置くタイヤメーカーミシュラン社による、訪日外国人観光客向けの観光ガイドです。

ミシュランといえばグルメガイドのイメージが浸透していますが、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンでは訪日外国人観光客が充実した旅行をするのに役立つ日本の観光地の情報が紹介されています。

さまざまなジャンルの観光地をミシュラン社が独自に調査・評価し、訪日外国人観光客がその土地をより深く理解できるような情報が掲載されています。

掲載された観光地は、訪日外国人観光客へのおすすめ度によって星なし、★ 「興味深い(星1つ)」、★★ 「寄り道する価値がある(星2つ)」、★★★ 「わざわざ旅行する価値がある(星3つ)」の4つに分類されています。

評価基準

掲載する観光地の選定には、ミシュラン社独自の9つの基準が用いられています。

  1. 旅行者がその観光地を訪れた時に受ける第一印象
  2. その場所の知名度
  3. 文化財の豊かさ、レジャーの充実ぶり
  4. ユネスコの世界遺産などの公的評価
  5. 芸術品や史跡の固有の美術的価値
  6. 美観
  7. 作り物ではない本物としての魅力と調和
  8. 旅行のしやすさと利便性(施設整備、アクセス、維持管理など)
  9. 旅行者の受け入れの質

公開されているのはこれらの基準のみで、具体的な選定方法については明らかにされていません。

157か所が新規掲載/星3つは2か所

約2年半ぶりの改訂となった第6版では、ミシュラン社員が行った新たな調査情報が加えられ、157か所が新規掲載されました。

ミシュラン社が近年調査を行いミシュラン・グリーンガイドの英語版Webサイトに掲載された奄美群島、水俣、大分、山陰、日光国立公園、富山に関連する新規掲載地が多くみられました。

そのうち、「★」は80か所、「★★」は30か所に与えられた一方、最高評価にあたる「★★★」がついたのは富山・長野の「立山黒部アルペンルート(日本アルプス)」とそこに含まれる「雪の大谷、室堂エリア(日本アルプス)」のみでした。

星3つを獲得した「立山黒部アルペンルート」と「雪の大谷、室堂エリア」

立山黒部アルペンルートは、富山県と長野県を結ぶ北アルプスの山岳観光ルートです。有名な黒部ダムを含むさまざまな景色が見られることから、国内外から毎年多くの観光客が訪れています。

雪の大谷、室堂エリアとは、立山黒部アルペンルートに含まれる、富山県側の標高2,450mほどの場所に位置するエリアです。ここでは例年4月から6月にかけて、高さ8m以上にも及ぶ雪の壁の間を歩く体験ができる「立山黒部・ 雪の大谷フェスティバル」が行われます。

新型コロナウイルスの影響で2020年はメインイベントである「雪の大谷ウォーク」を含む多くのイベントが中止となってしまいましたが、例年この「立山黒部・ 雪の大谷フェスティバル」を目当てに多くの人が訪れます。

立山黒部アルペンルートの公式サイトは、日本語のほかに英語、韓国語、中国語(繁体字、簡体字)、タイ語、ベトナム語、インドネシア語、ドイツ語、フランス語の計9言語に対応しています。

同サイトでは、「立山黒部・ 雪の大谷フェスティバル」をはじめとする季節ごとの楽しみ方、現在の雪の壁の高さ、コースや時刻表、ライブカメラの映像、服装と持ち物のアドバイス、支払いに使用できるカードなど、さまざまな情報を多言語で発信しています。

立山黒部アルペンルートや雪の大谷、室堂エリアが持っている美的価値や魅力に加え、このように堅実なインバウンド対策が「★★★」の獲得につながったと考えられます。

そのほかに新規掲載された場所:GINZA SIX・サムライミュージアムなど

そのほかに新規掲載された場所をいくつか紹介します。

世界遺産に関連する場所としては、「合掌造り民宿勇助(高山 五箇山)」「三保松原(富士山)」「日光国立公園(北関東 日光)」「軍艦島(長崎)」や、世界遺産の候補地である「奄美大島」など多くの観光地が掲載されました。

商業施設としては、「東京ミッドタウン日比谷(東京 銀座)」 「GINZA SIX(東京 銀座)」「サムライミュージアム(東京 新宿)」「三井ショッピングパーク ガンダムベース東京(東京 ベイサイド)」「金森赤レンガ倉庫(函館)」など主に都内の施設が多数取り上げられました。

温泉地としては、「大牧温泉(高山 五箇山)」「宇奈月温泉(日本アルプス 富山)」「湯の鶴温泉(水俣)」などが新規掲載されました。

すでに日本を訪れたことがあり、よりディープな場所を知りたいという訪日外国人観光客のニーズの高まりに応えているとみられます。

ガイドブックは訪日前の主要な情報源の一つ

近年、海外旅行前の情報収集はインターネットを通して行うのが主流となっている一方、ガイドブックも特にヨーロッパの観光客から依然として高い支持を得ています。

観光庁訪日外国人の消費動向 2019年 年次報告書」によると、「訪日前に役に立った情報源」としてガイドブックを選んだ割合の高い国上位5か国は、すべてヨーロッパの国々が占めています。

このことから、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンに観光地が掲載された場合、特にヨーロッパでの認知度向上につながると考えられます。また、集客の面でもよい効果が期待できるでしょう。

順位 ガイドブック利用率

1位

スペイン 28.1%

2位

イタリア 27.6%

3位

フランス 25.2%

4位

ドイツ 24.5%

5位

英国 19.7%

掲載観光地のジャンルはさまざま/総合的なインバウンド対策が必要

今回の「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」改訂第6版での新規掲載地だけを見ても、日本の北から南まで、さまざまな地域・多様なジャンルの観光地が紹介されていることがわかります。

掲載地の選定方法について具体的には明らかにされていません。しかし、評価基準の「旅行者がその観光地を訪れた時に受ける第一印象」や「旅行者の受け入れの質」などでは特にインバウンドへの対応力が見られているといっても過言ではありません。

ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンに掲載されるには、幅広くインバウンド対策を行い、訪日外国人観光客の満足度を上げることが重要といえます。

現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響で海外から日本への入国制限の措置がとられ、街中に訪日外国人観光客の姿はほとんどありません。それでも収束後に向けて今のうちからインバウンド対策を強化しておくことで、掲載に一歩近づけるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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