【独自】GoTo「良い影響ある」96.7% 、菅首相に「インバウンド期待」72.5% 海外向け情報発信の適切な時期と内容は:インバウンド対策意識調査

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コロナ禍によって大きなダメージを受けた観光関連産業に対する政府による支援策「GoToトラベル」事業は10月1日から東京発着の旅行も対象となり、国内観光は少しずつ活気を取り戻しはじめています。

インバウンド業界は依然として苦しい状況に立たされる今、インバウンド業界に携わる方々はなにを考え、どのような行動を取っているのでしょうか。

今回訪日ラボでは、訪日ラボのメルマガ会員向けに独自アンケート調査を行い、「GoToキャンペーン」事業に対する反応や、菅首相就任によるインバウンド業界への期待、インバウンド需要の戻り予想、現在行っているインバウンド向けの情報発信の内容などについて調査しました。その結果をご紹介します。

<調査結果>

  • 調査対象:訪日ラボWebサイト読者・訪日ラボメールマガジンユーザー
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査時期:2020年9月18日〜2020年10月7日
  • 回答者数:106名
  • 設問数:11問(回答内容によって異なります)

※なお、本調査結果の「都市部」と「地方」を分けた回答について、「都市部」は総務省の「大都市部」の定義に基づき、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府の6都府県としています。また、企業の所在地を「その他・海外」とした回答は含みません。

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全国的に「GoTo歓迎ムード」、都市部と地方で熱量に差

訪日外国人観光客を受け入れるためには、まずは国内旅行を安全に回復させる必要があります。

そこで、「Go Toキャンペーン(主にGo Toトラベル、Go Toイート事業)は、観光産業全体にとって良い影響を与えていると思いますか?」という設問にて調査を行い、都市部と地方での回答比率を比較しました。

▲[GoToキャンペーンは観光産業全体にとって 良い影響を与えていると思いますか? ※単一回答 エリア別]
▲[GoToキャンペーンは観光産業全体にとって 良い影響を与えていると思いますか? ※単一回答 エリア別]

調査の結果、以下の傾向が見られました。

  • 都市部、地方共に「非常に良い影響を与えていると思う」「良い影響を与えていると思う」の合計は95%以上を占める(都市部・地方を合算すると96.7%)
  • 都市部では「非常に良い影響を与えていると思う」が21.3%に対して、地方では2.8%という結果に

上記の結果から、GoTo事業に対する国内の観光関連事業者の反応は概ね歓迎ムードではあるものの、都心部は特に観光需要の回復を強く実感しているか、あるいは期待していると考えられます。

菅首相就任はインバウンド業界にとって「期待できる」 72.5%

続いて、「菅義偉氏が首相に就任することについて、インバウンド業界にとって期待できると思いますか?」という設問に関する回答結果です。

菅義偉氏が首相に就任することについて、インバウンド業界にとって期待できると思いますか? ※単一回答
▲[菅義偉氏が首相に就任することについて、インバウンド業界にとって期待できると思いますか? ※単一回答]

  • 「大きな期待ができる」「まあまあ期待できる」の回答率を合わせると72.5%に
  • 「全く期待できない」の回答率は2.9%に留まる。

回答結果から、インバウンド関連事業者にとって菅首相の就任は概ね好意的に捉えているといえます。

菅首相は、就任直前に「2030年にインバウンド6,000万人」の旗印は下げないことを明言するなど、インバウンド促進に対する前向きな発言も度々報じられていることも回答結果に影響していると考えられます。

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インバウンドの客足の戻りを求める声、都市部と地方の足並み揃う

「あなたのビジネスや地域の状況を考慮した場合、外国人観光客(インバウンド)の客足は戻ってきてほしいですか?」という設問では、地方と都市部において「戻ってきてほしい」と回答した割合はどちらも約83%という結果となりました。

外国人観光客(インバウンド)の客足は戻ってきてほしいですか?※単一回答 時期別 エリア別
▲[外国人観光客(インバウンド)の客足は戻ってきてほしいですか?※単一回答 時期別 エリア別]

なお、6月の緊急事態宣言が解除された時点で行った同様の調査では、インバウンドの客足に「戻ってきてほしい」と答えた割合が、地方と都市部とで約15ポイントの差がありました。

つまり、この3ヶ月の間で、都市部と地方におけるインバウンド回帰を求める声のギャップはほぼ消失したことになります。

感染状況の落ち着きが結果に影響か

このような結果となった背景として、新型コロナウイルスに対する事業者側の認識に変化があったことが考えられます。

6月の緊急事態宣言が解除された調査期間当時、感染拡大第一波を契機とした緊急事態宣言による長い外出自粛要請が続いており、経済に対しても自粛ムードが強く保たれていました。

そのため、感染者数が比較的少ない地方を中心に、インバウンド関連事業者であってもインバウンド受け入れ再開への抵抗があったと考えられます。

日本におけるPCR検査陽性者数と死亡者数の推移(週) 厚生労働省オープンデータより訪日ラボ作成
▲[日本におけるPCR検査陽性者数と死亡者数の推移(週)]:厚生労働省オープンデータより訪日ラボ作成

今回の調査時では、感染「第2波」の発生や検査数の拡充などの要因により、一日あたりの新規感染数は500〜600名という状態は続いてはいるものの、第一波よりも死者数の推移は落ち着いていることなどから、感染を出来る限り抑えながら経済を動かしていくウィズコロナの考え方が浸透してきているのではないかと考えられます。

さらに、「GoToトラベル」事業の開始によって地方への観光が活発化したにもかかわらず、「GoToトラベル」を原因とする新規感染者数が低く抑えられたことも、意識が変わる一因となったと考えられます。

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外国人観光客の戻り、「来年の五輪までに」予想が最多

国内観光が徐々に活気を取り戻しつつある中、インバウンドの客足の戻りについて、業界関係者はどのように考えているのでしょうか。

「外国人観光客(インバウンド)の戻りは、いつ頃になると思いますか?」という設問については、「2021年7月の東京五輪開催シーズンまでには」と回答した割合が36.7%と最も多いという結果になりました。

外国人観光客(インバウンド)の戻りは いつ頃になると思いますか? ※単一回答
▲[外国人観光客(インバウンド)の戻りは いつ頃になると思いますか?※単一回答]

また、「2020年12月ごろ」、「2021年3月〜4月の春の行楽シーズンには」の回答と合わせると58.4%であり、インバウンド関連事業者の半数以上は、遅くとも来年の東京五輪開催までのインバウンドの戻りを見据えていることがわかります。

インバウンド推進への気運、「積極ムード」を維持

「社内全体的に、インバウンド推進ムードですか? それとも消極的なムードですか?」という設問に対する回答を、調査した時期別に比較した結果が以下の図です。

その結果、6月の調査時点とほぼ変わらず積極ムードを維持していることがわかりました。


社内全体的に、インバウンド推進ムードですか? それとも消極的なムードですか?※単一回答 時期別
▲[社内全体的に、インバウンド推進ムードですか? それとも消極的なムードですか?※単一回答 時期別]

訪日外国人観光客の渡航制限がはじまってから半年以上経過した現在においても、インバウンド需要を積極的に取り込もうとするムードが高く保たれている点は特筆すべきといえるでしょう。

優先的に戻ってきて欲しい国:東アジア人気は継続、「国籍問わず」が増加

続いて、「優先的に戻ってきてほしい国籍・地域はどこですか?」の設問に対する回答結果を紹介します。

6月の緊急事態宣言が解除されたタイミングで同様の設問での調査をしており、その当時の回答と今回の調査結果とを比較します。

その結果、6月の調査と今回の調査共に「優先的に戻ってきてほしい国」として最も回答数が多かったのは台湾という結果になりました。

優先的に戻ってきてほしい国籍・地域はどこですか?※複数回答 時期別 上位15か国抜粋
▲[優先的に戻ってきてほしい国籍・地域はどこですか?※複数回答 時期別 上位15か国抜粋]

また、上位の国の顔ぶれには6月の調査時点とほとんど変化はありませんでした。継続して台湾、香港に対して積極的に誘致したいという事業者側のニーズがあることがわかります。

その一方で、「国籍は問わない」の回答率は約10ポイント増加していることから、「国籍問わずとにかく訪日外国人に戻ってきてほしい」という事業者の気持ちもうかがえます。

「優先的に戻ってきてほしい国籍・地域はどこですか?」 に対する「国籍は問わない」の回答率※時期別
▲[「優先的に戻ってきてほしい国籍・地域はどこですか?」に対する「国籍は問わない」の回答率※時期別]

全世界からの入国解禁へ、10月から:一日1000人、中韓台などは更に追加枠も 観光客除く

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三分の一以上の事業者がインバウンド向け情報発信を「今している」という結果に

「現在、外国人観光客(インバウンド)に対する情報発信をしていますか?」という設問に対して、「今している」と回答したインバウンド事業者は37%という結果になりました。

現在外国人観光客(インバウンド)に対する情報発信を していますか? 単一回答
▲[現在外国人観光客(インバウンド)に対する情報発信をしていますか?※単一回答]


「今していないし、今後もするつもりはない」という回答を除くと、実に半数近くの事業者がすでにインバウンド向け情報発信を実行していることがわかります。

日本政府は早ければ2021年4月に訪日観光客の受け入れ再開を目指して準備を始めています。「旅マエ」及び「プレ旅マエ」への情報発信のタイミングを逆算して、インバウンド関連事業者の約半数はすでに動き出しているといえるでしょう。

タイムライン別のインバウンド向けプロモーションの概要 訪日ラボ
▲[タイムライン別のインバウンド向けプロモーションの概要]:訪日ラボ


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情報発信を「今している」と回答した事業者を対象にした、「現在、外国人観光客(インバウンド)の潜在層に対して、どのような情報発信をしていますか?」という設問において、最も多い回答は「観光スポット、グルメ、自然の風景など観光資源の魅力を伝えるコンテンツ(動画や写真)」であり、回答率は76.3%という結果となりました。

その次に多い回答が「衛生管理や3密回避の徹底といった「安全・安心」のPR」であり、36.8%の回答率となりました。

現在外国人観光客(インバウンド)の潜在層に対してどのような情報発信をしていますか? ※複数回答 上位4回答抜粋
▲[現在外国人観光客(インバウンド)の潜在層に対してどのような情報発信をしていますか? ※複数回答 上位4回答抜粋]


この結果から、インバウンド関連事業者は渡航制限の解除後に訪日外国人から旅の候補地に選んでもらうために、観光資源の魅力の訴求と、ウィズコロナ時代において一層重要性を帯びた「安全・安心」のPRに力を入れていることがわかります。

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渡航制限解除を見据え、着実に準備を進める国内事業者

今回の調査では、国内観光の需要を喚起を目的とする「GoToトラベル」事業に対して、インバウンド関連事業者は概ね好意的に捉えていることがわかりました。

3ヶ月前の調査と比較すると、新型コロナウイルスの感染拡大への懸念から発する「自粛ムード」も落ち着きをみせ、都市部・地方ともに経済再開への気運が高まっていることがうかがえます。

また、インバウンド関連事業者が予測するインバウンドの客足の戻りについて、多くが「来年のオリンピックまでには」と予想しており、すでにインバウンド向け情報発信に動き出している事業者が一定以上いることも興味深い点です。

情報発信の内容として最も多い「観光資源の魅力」に続いて、「安全・安心のPR」が二番目に挙がっている点は、ウィズコロナ時代のインバウンド向け施策として大きな特徴といえるでしょう。

インバウンド関連事業者にとっては経営判断が難しい今日ですが、今後は日本政府と他国との渡航制限緩和への交渉の道筋や、集客のターゲットとする国の感染状況、そして東京オリンピック開催に関する情報を常にキャッチしながら、適切なタイミングと内容での情報発信を続けていくことが重要といえます。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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