「全世界から」観光客受け入れへ タイの旅行業界の動向は:政府の施策、国内旅行のトレンドなど

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2020年も残すところ1か月を切りました。新型コロナウイルスが世界各地で感染拡大を続ける中、タイは一足早く海外からの観光客の受け入れを再開しました。

また「タイ版Go Toキャンペーン」ともいえる国内旅行の需要を喚起する施策も行われ、観光業界は徐々に回復を目指しています。

本記事では、タイ政府の動向やタイの国内旅行のトレンドなどをまとめてお伝えします。

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タイでも猛威を振るったコロナウイルス

タイで最初に報告された新型コロナウイルスの症例は、1月初旬に中国在住の女性がタイを来訪中に感染が確認されたものです。

2020年12月14日時点で、タイ国内の累計感染者数は4,237人、死者は60人となっています。

タイでの感染のピークは3月下旬から4月初旬で、当時1日あたりの感染者数は100人を超える日がありましたが、3月下旬の緊急事態宣言後は減少しています。

ロイター通信によれば、タイでの1日あたりの感染者数は12月14日時点で平均18人であり、これは4月のピーク時の15%と、比較的減少傾向にあります。

タイ政府の取り組み

タイ政府は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、3月26日から緊急事態宣言を発令しました。

4月2日からは夜間外出禁止令が出されていましたが、6月15日以降はすべての規制が緩和され、現在は日常生活でのほとんどの活動が再開されています。

緊急事態宣言は8回の延長を繰り返し、現在は2021年1月15日まで延長されており、タイの国境は3月23日から封鎖されています。

一足早く外国人観光客受け入れを再開

新型コロナウイルスが世界各地で感染拡大を続ける中、タイはいち早く外国人観光客の受け入れを再開しました。

「非常事態宣言延長」と「インバウンド受け入れ」の両立を決めたタイの観光施策とは

日本のインバウンドにおける重点市場であるタイでは、いち早く外国人観光客の受け入れを再開しました。将来的に日本が海外からの観光客の受け入れを再開するにあたり、タイの事例から学べることはあるのでしょうか。本記事では、タイ国内の最新の状況や、旅行のトレンドについて紹介します。インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!訪日ラボに相談してみる目次タイの感染状況:増加ペースは緩やか非常事態宣言を来年1月1...


特別観光ビザ(STV)交付開始:全世界からの観光客受け入れ再開

タイは観光ビザ(TR)、特別観光ビザ(STV)の交付を開始し、2021年9月30日まで実施する予定としています。

月に1,200人を上限に外国人観光客を受け入れる予定で、タイ観光・スポーツ省(Ministry of Tourism and Sports: MOTS)によれば、STVを開始した10月の訪タイ観光客数は1,201人で、そのうちの35人が日本人だったということです。

12月8日から、打撃を受けている観光業の回復に向け、すべての国・地域からの申請・交付を開始しています。

ただし来訪者は従来通り、入国後2週間の隔離が必要となります。

外国人観光客向けアプリ「タイランドプラス」を導入

タイ政府は新型コロナウイルス感染拡大対策として、タイ国内で外国人観光客を追跡できるスマホアプリ「タイランドプラス」を導入する予定です。

感染リスクを判断して陽性者との接触情報を提供するスマホアプリ「モーチャナ」を開発したEnergy Absolute Companyが開発したもので、「タイランドプラス」は「モーチャナ」と同様の機能を有しており、万が一の場合には感染拡大の対策を取ることができるということです。

2020年のタイ国内旅行事情

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、各国で渡航制限が行われる中、タイでは国内旅行が盛り上がりを見せています。

レスポンシブルツーリズムを推進

タイ国政府観光局は、2020年1月30日よりタイにおけるレスポンシブルツーリズムを促進するため「The One for Nature」プロジェクトを開始しました。

レスポンシブルツーリズムとは、直訳すると「責任ある観光」となり、観光客が主体性や責任意識を持って行動する旅行のことです。

タイにおけるレスポンシブルツーリズムは、すでにチェンマイやプーケット、スラートターニーのカオ島などで実践されており、タイ政府はさらにこのプロジェクトによって、環境への意識が高い観光客にタイをアピールできることを期待しています。

プロジェクトでは、カオ島での海洋生態系再建のための人工魚礁の建設や、オンラインコミュニケーションを通じて観光客に環境意識を浸透させる取り組みなどが計画されています。

タイ国政府観光庁:国内外に向けて国の魅力を発信

タイ国政府観光庁は、バンコク、チェンマイ、スラータニー、プーケットの4都市を観光できるバーチャルツアーを開始しました。 

スマホやVRを利用して、臨場感を味わいながら観光を楽しむことができ、バンコクの「メーカラールージー宮殿」や、プーケットの「チンプラチャ― ハウス」など穴場的なスポットを訪れることができます。

国内外に向けてタイの魅力を発信することで、コロナ禍での国内旅行の誘致や、アフターコロナに向けたインバウンド誘致につなげることができそうです。

「タイ版 Go To トラベル」:We Travel Together

タイでは、2020年7月1日から2021年4月30日まで「We Travel Together」キャンペーンを実施しています。 

観光事業者を支援し、経済を回復させようとするもので、タイ政府は1部屋1泊あたりの宿泊料金の40%のホテル料金をサポートします。

最大15泊あるいは15部屋まで有効で、訪問先での食事や入場料などに使える、1泊あたり900バーツ(約3,100円)のクーポンが配布されます。

「We Travel Together」の利用者の伸びは好調のようで、7月18日のスタート以来456万人が登録し、236,000室以上のホテルが予約されたと、各報道で報じられています。

国内旅行のトレンドは?

Airbnbによると、タイ国内で最も予約されているのはパタヤやホアヒンといったリゾート地で、旅行者の45%以上が都市部以外の目的地を予約しているということです。

旅行の際にはプライベートプールやキッチンを求めるなど、プライバシーの確保が優先事項となっているほか、タイ人のAirbnbの予約のうち約40%が自宅から300マイル(約483km)以内の目的地を選択しています。 

さらに4つのトレンドとして「リゾート地などの沿岸部」、「タイ内陸部の探索」、「国立公園で自然を楽しむ」「プライバシー」があげられています。

2021年のタイはどうなる?

タイ版Go To トラベルは当初の期間よりも延期されており、今後も国内旅行の促進が予想されます。

入国制限を緩和し、全世界からの観光客の受け入れを再開したことで、世界中からタイのインバウンド対策が注目されることも考えられます。

JNTOバンコク事務所がタイの旅行会社を対象に行った調査によれば、「コロナ後に訪日旅行商品の販売に注力するか」との質問に対し「従来通り(75.0%)」「より取り扱いを増加させる(25.0%)」との回答が多く、訪日旅行の意欲やタイ人の訪日旅行需要がうかがえます。

また、タイとシンガポールに拠点を置く、訪日インバウンドPR事業などを手掛けるアジアクリックの調査によると、タイ・シンガポール現地の旅行会社が日本の自治体から欲しい情報として「感染対策情報」「新プラン」「助成金」を挙げています。

現地の旅行会社は継続的に訪日旅行商品の販売を再開できる機をうかがっており、ウィズコロナ時代ならではの情報ニーズがあることがわかります。

タイ・シンガポール旅行会社 約30社に聞いた、今こそ日本の自治体に求めるアクションとは?

タイとシンガポールに拠点を置くアジアクリックの小桑です。訪日インバウンドで先が見えない中、皆様も不安を抱えながらそれでも何か今できるPRを、とお考えかと思います。「現地の旅行会社の方々は今何をしていて、何を求めているのか?」「いったい今何に取り組むべきなのか?」私たちも、今具体的にできることは何かを手探りで進めています。今回は、現地旅行会社の皆様の状況を把握し適切な施策を打つために、タイ・シンガポールにて現地旅行会社のご担当者様を対象としたアンケート調査を行いました。その結果、両国から共に...


年間を通じて訪日タイ人観光客に訴求できる商品造成を

タイでは外国人観光客の受け入れが再開され、タイ国内でも旅行意欲を促進する取り組みが行われています。

ウィズコロナ時代に旅行を楽しむ意識が醸成され、さらに訪日旅行を訴求することができれば、タイ人訪日観光客が戻ってくることも期待できるでしょう。

タイでは雪が降らないため、訪日タイ人観光客は日本の雪資源に関心が高く、冬シーズンのスノーツーリズムへの需要回復に期待が寄せられましたが、今シーズンは厳しいと考えられます。

桜など春シーズンであるソンクラーンに合わせたコンテンツの企画や、アニメや漫画のコンテンツを活かした商品の造成など、年間を通じて日本を訪れてもらう理由作りが重要といえます。

タイ人訪日観光客を呼び戻すためには、魅力ある観光コンテンツの造成と、それらを分かりやすくタイの人達に伝えるプロモーションなどのインバウンド施策が求められます。

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<参照>

厚生労働省検疫所:新型コロナウイルス-タイ(中国からの輸入症例)

在タイ日本国大使館:新型コロナウイルスに関するお知らせ(プラユット首相等による非常事態宣言に関する説明:3月25日)

在タイ日本国大使館:新型コロナウイルスに関するお知らせ(タイ政府による夜間外出禁止令の発表)

在タイ日本国大使館:新型コロナウイルスに関するお知らせ(タイ政府による規制緩和:6月15日から)

在タイ日本国大使館:新型コロナウイルスに関するお知らせ(1.バンコク都知事による発表(3月23日) 2.タイ国内全ての陸上国境の封鎖 3.タイ各県における各施設の閉鎖措置)

在東京タイ王国大使館:特別観光ビザ (Special Tourist Visa -STV)

タイ国政府観光庁:バーチャル体験 4都市深発見

福岡県:タイにおける新型コロナウイルス感染症の訪日観光への影響

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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