中国は、訪日外国人のなかで消費額が1位の国です。
訪日中国人による大量消費行動のことを「爆買い」と呼び、2015年には流行語大賞を受賞するなど社会現象となりました。
本記事では爆買いが起こった理由や、爆買いされた商品、そして最近の動向などを紹介します。
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訪日外国人の消費額圧倒的1位の中国、「爆買い」の理由とは
訪日中国人の総消費額は、2015年に世界1位となる14,174憶円にのぼり、「爆買い」が話題になりました。
中国人による過剰ともいえる消費行動には、日本製品への信頼や円安などが影響していました。
理由1. 「メイド・イン・ジャパン」の品質への信頼
中国人が日本製品の品質に対して寄せる信頼は、厚いものとなっています。
JETROが2018年に発表した調査データでは、中国人へのアンケートで、中国・日本・米国・英国・イタリア・フランス・ドイツ・韓国・タイの9か国中、「安全・安心」のイメージで日本が第1位となりました。
また同調査で「どの国から製品・サービスを購入したいと思うか」という趣旨の質問でも、日本は1位になっています。
理由2. 円安の影響
2014年~2015年頃から、元高円安の現象が起こっていました。
中国の人民元が高くなる一方で、日本円は高くならず、ブランド品などは自国で購入するよりも、日本で購入した方が安く入手できるようになりました。
日本製品に限らず「安く買える」という理由から、日本で高額な商品を大量に買う行動につながったと考えられます。
訪日中国人には何が人気なのか
訪日中国人が購入する商品は、化粧品や菓子類など安価なものから、家電などの高額なものまでさまざまです。
いずれにしても中国人の消費額は高く、満足度も高いといった傾向が見られます。
1. 化粧品
中国人には日本の化粧品が人気で、2018年のJETROの調査では「日本で最も買いたかったものは何ですか」との質問に「美容化粧品」という回答が30.8%と最も多く寄せられています。
買い物の場所としては「ドラッグストア」が22.0%で1位だったことも同調査で分かっており、2017年より8.3ポイント上昇しました。
JNTOの調査でも、「購入した商品」「満足した商品」ともに「化粧品・香水」が1位となっています。
関連記事:中国最大のECセール日「独身の日」の光と影 「総流通取引額7兆円」のカラクリ、薄利にあえぐ企業
2. 菓子類
訪日旅行のお土産として、お菓子を大量に購入する中国人旅行者も多くなっています。
農林水産省の発表した2018年のデータによれば、訪日旅行者の食料品などの買物代(お土産代)は、買物代全体の約2割にあたる3,075憶円を占めていました。
菓子類の買物代は1,639億円で、食品購入のうち約半数がお菓子であることがわかり、国籍別では中国が29%で最多でした。
JNTOの発表でも、「購入した商品」「満足した商品」ともに「菓子類」が2位にランクインしています。
3. 電気製品、家電
爆買いにおいて、元高円安の状況下では、特に家電など高額なものも多く購入されます。
JETROの調査では、「日本で買いたかったもの」という項目において、デジタル製品や家電製品を合わせると27%を超え、1位の化粧品に迫っています。
買い物をした場所としても、「家電量販店」との回答が2位になっています。
爆買いが見られた2015年のJNTOの調査では、「満足した購入商品」で「電気製品」が2位となりました。
「消えた」といわれる爆買い、旅行スタイルや消費行動の変化に注目
訪日中国人の消費額はピーク時よりも減少していることから、購買行動は落ち着きを見せ、爆買いは終わったとの声も聞かれます。
訪日旅行における消費は落ち着いたものの、中国国内の消費は継続しています。
爆買いが「消えた」?訪日中国人の旅行支出が減少
2014年~15年頃に比べると、中国人観光客の購買行動は落ち着きをみせています。
爆買い現象は消えた、終わったという声もあり、2016年に円高によって円での消費が相対的に高くなったことも影響していると考えられます。
実際に、訪日中国人一人当たりの旅行支出を比べると、2015年は28万3,842円であるのに対して、2019年は21万2,810円に減少しています。
旅行スタイルが変化して、個人旅行が多くなった傾向があり、個人旅行ではモノ消費よりもコト消費を重視する人が増えています。
購買行動が落ち着いた背景には、こういったトレンドの変化も影響している可能性があります。
関連記事:「モノ消費からコト消費」の意味や種類とは?変化の理由とインバウンド対策方法を解説
爆買いが落ち着いた理由の一つ「中国の外貨準備の減少」
爆買いが落ち着いた理由の一つに、中国の外貨準備の減少が影響していると考えられます。
2014年6月時点で、中国の外貨準備は3兆9,900億ドルとピークに達していましたが、16年12月末時点には3兆105ドルまで減少しました。
2年半でおよそ1兆ドルも減少したことになり、急速に外貨準備が減少したことを受けて、中国政府は外貨流出の抑制に乗り出しました。
輸入関税の税率引き上げや、銀聯カードを使った海外での現金引き出し限度額を年間10万元(約160万円)に制限するなどの対策が行われ、中国人観光客は日本の高額商品から遠ざかっていきました。
日用品人気で安定した消費を獲得、コロナ禍でECサイトを通じた消費も
日用品は、その人気が定着していることから、中国人からの安定的な消費があるといえます。
訪日旅行中の爆買いは落ち着きを見せたものの、中国人による日本製品の消費行動は中国国内で継続しているとの見解もあります。
中国国内から、ECサイトなどを通じて購入する人も多いと考えられます。
「爆買い」から訪日中国人の傾向をキャッチ、適切なインバウンド対策を
訪日旅行者を招くことのできない今、中国人旅行客の「爆買い」効果を期待することは難しくなっています。
しかしながら、彼らの消費行動や志向から、人気商品やその理由などをつかむことができ、現在もECサイトなどを通じて安定的な消費を獲得できています。
消費スタイルのトレンドなどもおさえ、適切に対応することで、インバウンド効果を上げられる可能性があるでしょう。
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<参照>
国土交通省:平成 27 年における訪日外国人の消費動向
ジェトロ:中国の消費者の日本製品等意識調査
三井住友DSアセットマネジメント:2015年の振り返り(為替市場) 米利上げ、中国懸念、原油安から米ドル以外は対円で下落【デイリー】
ジェトロ:2~3月は大手越境ECサイトでの販売増、大連の輸入販売業者に聞く
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