越境ECの展開を検討しているものの、実際に何をしたらいいのか分からない人も多いのではないでしょうか。
本記事では、越境ECの定義や市場規模から、実際の始め方、さらに各国の人気プラットフォームまで徹底解説します。
インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる
インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)
越境ECとは
国境を越えた電子商取引のことを越境ECと呼び、その市場規模は世界的に拡大しています。
具体的な数字や、普及の背景を説明します。
越境ECの定義
経済産業省によれば、越境ECは「インターネット通販サイトを通じた国境を越える電子商取引」と定義されています。
海外の消費者に向けて、国内の商品を販売することを目的としています。
関連記事:越境EC とは
市場規模:世界で3.53兆ドル
2019年の世界のBtoC-EC市場規模は、3.53兆USドルにのぼります。
今後も市場規模の拡大とEC化率の上昇が予想され、2023年には6.54兆USドルまで拡大すると考えられています。
国別の規模では、中国が1兆9,348億USドル、次いで米国の5,869億USドル、英国の1,419億USドルとなっています。
日米中3か国間の越境EC市場規模では、中国が日本から購入している総額は1兆6,558億円(日本が中国から購入している総額は312億円)、米国が日本から購入している総額は9,034億円(日本が米国から購入している総額は2,863億円)となっています。
どうして越境ECが浸透したのか?
越境ECが普及した背景として、スマートフォン所有率の増加など、ネットインフラの普及が挙げられます。
さらに、海外でのEC消費は伸長しており、実店舗を構えるより何倍も初期費用が抑えられる越境ECでコストを軽減し、海外へ商圏を拡大したい業者が増えていることなどが考えられます。
特にコロナ禍によって国際的な往来が厳しいなか、自国にいながら海外の製品を購入できることは、消費者にとっても大きなメリットとなっています。
また日本の越境ECについていえば、インバウンド観光客のリピート購入によって、旅アトでも利益を上げることができます。
海外での日本製品への信頼は根強く、日本発の越境EC市場のポテンシャルの高さも後押ししています。
2017年のJETROの調査では、越境ECでの日本商品の購入経験の有無について、67.7%が「購入したことがある」と回答し、購入理由について40.4%の人が「日本に旅行をしたときに購入して気に入った製品だから」と答えたという結果もあります。
越境ECのメリット・デメリット
越境ECを利用することにより、商圏が広がり、低コストで販売できるというメリットがあります。
一方で発送など、海外が相手となることで生じる諸経費がかさむなど、デメリットもあるため注意が必要です。
メリット:低コストで世界に商品を販売
越境ECのメリットは、なんといっても日本にいながら世界中に販売でき、商圏が広がることです。
巨大な人口を抱える海外諸国をターゲットとすることで、潜在的な消費者を多く獲得でき、長期的により大きな利益を期待できます。
またテナント料などを含む設備費などがかからず、海外に実店舗を構えるよりもコストを抑えることができます。
デメリット:高額な配送料、国ごとの法律や決済手段
海外ECのデメリットとして、配送料や手数料が国内ECよりも高いことや、為替リスクを考慮する必要性などがあります。
販売先の国によって法律が異なり、規制も多く存在します。
決済の方法も異なり、例えば中国では「AliPay」や「WeChat Pay」が決済全体の9割近くを占め、クレジットカードは主流とはいえません。
実際に越境ECを始めるには?注意点も紹介
越境ECを始める方法には、「自社で越境ECサイトを立ち上げる」方法と「越境ECサイトに出品する」方法があります。
失敗を避けるためには、売れやすい商品傾向を把握したり、配送体制を整えることが重要です。
関連記事:越境ECを始めるには?成功させるための準備と出品サイトについて紹介
越境ECサイトの始め方は主に3通り
越境ECを始める方法として、主に以下の3通りの方法が挙げられます。
1. 自国内または販売先国で自社サイトを構築する
外部のサイトを通さないため、手数料や契約料といったコストを抑えることができ、デザインやシステムも自社の希望に合ったものが構築できます。
ただしサイト構築に時間や手間がかかり、集客にも工夫が必要になります。
2. 国内の越境ECサイトを活用し出品する
海外のサイトよりも手続きがかんたんで、分からないことがあれば問い合わせもしやすいため、よりスムーズに越境ECを始めることができます。
ただし自社サイトを構築する場合よりも、手数料などのコストがかさみ、ECサイト上のルールに従うことで制約がある場合もあるでしょう。
3. 海外の越境ECサイトを活用し出品する
販売国での集客力が圧倒的に強いのがメリットです。
ただし海外のECサイトとの交渉や、販売国での法的な手続きなど、出店までのハードルは高くなります。
いずれの方法でも、販売したいターゲットを設定し、売れ筋商品は何かなど進出国の市場調査を行い、商品が実際に輸出可能か調査することは欠かせません。
越境ECを始める時に抑えておくべきポイント
越境ECを始めるにあたり、以下のポイントを押さえておきましょう。
・販売国で販売できる商材であるか、事前に調査する
販売する商材によっては、日本では問題なくても海外では使用不可だったり輸入禁止となっている場合もあります。
・物流トラブルへの対応体制を整えておく
国境を越えて商品を輸送するため、関税や配送料金、配送方法、配送日数などをよく確認しておきましょう。
配送料や配送日数は消費者にとって購入時の重要な判断基準となりますが、配送料が割高になったり、配送に時間がかかることもあるため注意が必要です。
国内販売との違いをよく理解し準備しておくことで、物流トラブルを避けることができるでしょう。
・現地でポピュラーな決済方法を導入する
決済方法は販売国によってメインで使用されている方法が異なるため、注意が必要です。
越境ECではPayPalがよく使用されているほか、中国では銀聯カードなどもよく利用されます。
越境ECでの物流の失敗を防ぐには、入庫から発送までの一連の流れをしっかり構築することが重要です。
ターゲティングも欠かせず、対象国では何が売れているか把握できていれば効率的に販売できるでしょう。
関連記事:コロナ禍の今年、世界で売れた日本の商品ランキング:「日本ロス」消費が加速、第三次越境ECブームの内訳とは
各国で人気の越境ECのプラットフォーム、傾向
海外各国ではどのプラットフォームが人気なのか、それぞれの特徴とともに説明します。
関連記事:越境ECの人気プラットフォームを比較、海外に日本のモノを効率的に販売するには
中国
中国は越境ECの市場規模で世界1位を誇り、日本との取引額も米国の約1.7倍にのぼるなど、見逃せない市場となっています。
中国では、アリババグループが運営する中国で最大規模のプラットフォーム「Tmall Global」のほか、若年層のユーザーが多いアリババの越境ECプラットフォーム「Kaola」、中国越境ECでは2位の規模で、日本のヤマトホールディングスと提携する「JD WorldWide」などが人気です。
米国
アメリカは中国と並ぶ2大越境EC市場で、Amazon世界16か国で展開し米国EC事業では1位の売上げを誇る「Amazon」のほか、北米で最も浸透し毎月200品まで無料出品できる「eBay」、実店舗も構えるスーパーマーケットチェーンで、2021年には海外からの出店も条件付きで解禁された「Walmart」などが人気です。
関連記事:世界2位を誇るアメリカ越境EC市場 進出前に抑えておくべき基礎知識、最新トレンド
ヨーロッパ
ヨーロッパでは、アメリカで人気のプラットフォームが同じく支持されています。
一方、ヨーロッパ発祥のECサイトも人気で、CtoCのプラットフォームが人気の傾向があります。
具体的には、個人ユーザー同士で売買できる古着越境ECで、ヨーロッパアメリカ含む12か国で展開する「Vinted」や、ゲーム製品に特化した個人間のマーケットプレイスで、世界で2,400万人のユーザーを誇る「G2A」などが挙げられます。
アメリカ発のAmazonとeBayは、2019年度のヨーロッパにおける越境EC市場の売上高でトップ1、2を誇っています。
両者の売上高は、EU28か国全体の越境EC市場の半分以上を占めています。
関連記事:【最新】ヨーロッパの越境ECトップ10ランキング|市場規模、購入傾向
越境ECマーケティングで海外の顧客を獲得
越境ECは、市場規模の拡大を続ける注目のビジネスです。
特にコロナ禍で海外との交流が制限される中で、越境ECの需要増加が期待されます。
販売商品やプラットフォームを的確に選定することで、海外の顧客を捉えやすくなるのではないでしょうか。
激化する国内EC市場から、伸長し続ける世界のEC市場へ目を向けることも重要といえるでしょう。
インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる
<参照>
経済産業省:「平成22年度我が国情報経済社会における基盤整備」(電子商取引に関する市場調査)の結果公表について(補足資料)
経済産業省:令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)報告書
E-Commerceマガジン:越境ECとは?インバウンドを上回る越境ECのメリットと可能性
Beenos:越境ECとは?始める前に知るべき市場規模や課題など基本知識を解説
オープンロジ:越境ECの始め方|越境ECを始める際の基礎から成功させるポイントまで詳しくご紹介
EC being:越境ECとは? メリット・デメリットから始め方・具体的な事例まで徹底解説
ebay:越境ECの始め方
Digima:越境ECとは?|オススメ「海外EC 10サイト」を徹底比較!【2021年版】
京东:企业简介
ヤマトグローバルロジスティクスジャパン:ヤマトグローバルロジスティクスジャパンとJD.COM INTERNATIONAL LIMITEDが、株式会社フランクジャパンに出資し、日本企業の中国EC市場への進出支援を更に強化
PRINTFUL:世界の代表的な越境ECサイトを徹底比較
Insider Intelligene:Top 10 US Ecommerce Companies 2020
Statista:Number of smartphone users worldwide from 2016 to 2023
JETRO:「中国の消費者の日本製品等意識調査」結果について ‐日本旅行の人気回復続き、越境ECにも好影響‐
S-Pool Logistics:拡大し続ける越境ECとは?越境EC導入事例までわかりやすく紹介
COLOR ME:越境ECの始め方と成功するための課題とポイント・準備方法
ART Trading:日本から海外へEC展開するには?|話題の国別おすすめ越境ECサイトをまとめてみました!
中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
短時間でインバウンドが学べる「訪日ラボ トレンドLIVE!」シリーズの第6弾を今月も開催します!訪日ラボとして取材や情報収集を行う中で、「これだけは把握しておきたい」という情報をまとめてお伝えするセミナーとなっています。
今年も残りわずかとなりましたが、インバウンド需要はまだまだ好調をキープしている状況です。来年の春節や桜シーズンなど、訪日客が集まる時期に向けて対策を練っていきたいという方も多いでしょう。
今回もインバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」副編集長が、10〜11月のインバウンドトレンド情報についてお話ししていきますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
詳しくはこちらをご覧ください。
→中国SNS「RED(小紅書)」最新情報セミナー:訪日ラボ社内勉強会の内容を特別に公開します【訪日ラボ トレンドLIVE! Vol.6】
【インバウンド情報まとめ 2024年11月前編】UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。
この記事では、主に11月前半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
※本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。
※口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。
詳しくはこちらをご覧ください。
→UberEats ロボット配達開始、万博需要見すえ大阪で:インバウンド情報まとめ【2024年11月前編】
今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」
スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。
「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!