OTAとは、Online Travel Agent(オンライントラベルエージェント)の略称で、ネット上のみで旅行商品を取り扱う旅行会社です。
ネットが発達し、個人が興味に沿った旅行計画を自身で手配できるようになりました。
その結果、個人は比較的安価に旅行計画を立てられるようにもなっています。本記事ではOTA企業躍進の経緯を踏まえ、代表的なOTA企業の規模や特徴を紹介します。
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OTAとは?インターネット上のみで旅行商品を取り扱う旅行会社
OTAとは、Online Travel Agent(オンライントラベルエージェント)の略称で、インターネット上のみで旅行商品を取り扱う旅行会社を指します。
OTAが取り扱う旅行商品やOTA躍進の背景と今後の展開について紹介します。
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OTAとは
OTAとは|旅行予約サイトのこと
OTAとは、ネット上のみで旅行商品を取り扱う旅行会社です。ネット環境の改善と普及により店舗を構えない業務形態をとることに成功しました。
OTAの無店舗型運営による消費者側のメリットをあげるならば、店舗を構える旅行会社と比較すると、事業拠点の設置や人材に費用をかける必要がないためより安価な商品を提供できます。
安価とはいえ提供する商品の質は、店舗を構える旅行会社に引けを取りません。
OTAが取り扱う旅行商品は、宿泊施設、旅行先への往復の移動手段、現地での交通手段、それらを一式にしたパッケージツアーなど多岐にわたり、幅広く顧客満足に対応できる商品展開をしています。
OTAの利用者は増加傾向にある
- ネット環境の発達によるOTA躍進
OTAの利用者は増加傾向にあります。昨今、オンラインで旅行関連サービスを予約する人は、全体の50.1%を占めています。
JTB総研の「スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査(2019)」によると、スマートフォンで予約した「国内ツアー」の割合は減少傾向にあり、「宿泊施設」が首位に立つなど、旅行者自身が予算と趣向に合うよう比較検討し旅の内容を選択していることがわかります。
- 調査結果から見えるOTAの課題
インターネットを介した予約が増える一方で、デバイスの違いによる課題もあります。
若者の間ではパソコンではなくスマホで情報収集する傾向があり、小さな画面からあふれる情報を整理し意思決定をしなければいけないことを「面倒くさい」と感じ、結果として商品を購入しなかったという回答が41.1%に上りました。
UXの改善は今後も変わらず求められるでしょう。
- OTA躍進の戦略は”伝統的”旅行会社と近似している
みずほ銀行産業調査部によるレポートでは、OTA台頭による旅行業界の環境の変化と、かつての伝統的(店舗型)旅行会社が今後目指すべき方向性について示唆をあたえています。
客室在庫を一手にあつめ、供給力を高めることで市場シェアを握ろうとしたのが店舗型旅行会社の戦略でした。今やOTAがそれを行い、マーケットの主導権を握ろうとしています。
本レポートでは店舗型旅行会社はOTAの安易な真似事に走るのではなく、「自社のノウハウや、かねてより培ってきたサプライヤーとの信頼関係をベースにした、質の高いサービス」をOTAよりも先がけて提供するべきではないかと指摘しています。
参考記事
JTB総合旅行研究所による『スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査』2019
みずほ銀行産業調査部による『Mizuho Short Industry Focus Connected Trip から見える伝統的旅行会社の目指すべき方向性 ~大手 OTA の戦略からの示唆~』2020.3
日本のOTA有名会社|特徴と共に紹介
今後さらなる規模拡大を予感させるOTAですが、現時点で日本におけるOTA間の競争力指標である数値などについて分析します。
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OTAとは:オンラインだけの旅行代理店、旅マエのインバウンドの主戦場
1. 楽天トラベル
楽天トラベルは、登録宿泊施設が国内29、457軒、前月予約数488万泊、クチコミ数817万件(2016年3月時点)、閲覧者は2,290万人(プレスリリース,2020年時点)と国内業界最大級規模のOTAです。
競合との差別化を図るための特徴に、楽天トラベルはITC(インターネット・トラベル・コンサルタント)を設置しています。
ITCとは、供給元である宿泊施設のパートナーへのコンサルタントを指します。楽天トラベルに登録している宿泊施設の魅力を最大限に引き出し、集客力向上を目指すコンサルティングを行っています。
2. じゃらんnet
じゃらんnetとはリクルートグループが運営するOTAです。旅行関連閲覧サイトにて2020年2,730万人と首位に立ちました。
コロナ禍で業績は落ち込んでいますが、2021年3月期決算では157億円の売り上げ利益をもたらし黒字決算で締めています。
この躍進の特徴に、無料の会員登録をすることで2%のポイント還元や、通常価格より価格設定を下げた会員限定プランを利用できることが挙げられます。
3. Yahoo!JAPANトラベル
Yahoo!トラベルの閲覧者数は2020年で1,300万人に上ります。運営はヤフーと株式会社たびゲーターによって行われています。
旅行商品販売だけでなく、関連業務としてふるさと納税、お礼品提供など自治体、DMOと連携した地域観光Webプロモーションがあります。
4. LINEトラベル
LINEトラベルは、海外航空券、ホテルを比較、検索できる旅行情報サイトで、閲覧者数は2020年1,220万人です。
競合との差別化策の特徴は大きく2点あります。1点目は、約300人のナビゲーターが体験した旅行情報を集めた旅行ガイドを作成し、顧客目線に立った専門家の国内、海外の観光スポット情報を掲載している点です。
2点目は、急なケガや病気で旅行に行けなくなった場合、キャンセル料金が保険料で戻ってくる「キャンセル保険」を取り扱っている点です。
5. 一休.com
一休.comは、Zホールディングスを親会社にもつグループ会社です。2019年11月に会員数1,000万人を突破しています。
閲覧数は2020年1,190万人で、心の贅沢さを求める旅行をテーマに高級志向を押し出し競合との差別化に成功しています。
定期的にポイントアップキャンペーンを打ち出すなど、贅沢な旅を比較的低価格で体験できるのが特徴です。
6.リラックス(Relux)
リラックスは、株式会社LocoPartnersが運営しているOTA企業で、会員数は250万人の「あなたがまだ知らないような特別体験をとどける宿泊予約サービス」と自社を位置付けています。
2021年4月現在コロナ禍のため、旅の提案であるコンシェルジュ機能は休止中ですが、オンライン上でのやり取りの定着と、個人趣向沿いながらさらなる満足と発見を求める顧客層を中心に需要の高まりが期待されます。
海外のOTA有名会社|特徴と共に紹介
Statistaに発表されている『Revenue of leading online travel agencies (OTA's) worldwide 2019』での調査では、世界OTA企業を売上利益に基づき順位付けしています。
その結果、1位はbooking.com、2位がexpedia、3位がトリップドットコムでした。
日本のOTA企業を調査した考察定義と同様に、海外OTA企業についても数値や特徴を考察します。
1. ブッキングドットコム(Booking.com)
Booking.com B.V.はオランダ・アムステルダムに本社を置き、70ヶ国に198の支社をグローバルに展開するOTA企業です。
世界224の国・地域にある 15万の行き先に旅館やバケーションレンタル649万件を含む旅行関連商品のリスティングを合計2,823万件掲載しています。売上は150億ドル、約1兆6,400億円(訪日ラボ編集部換算)です。
国内最大手の楽天トラベルはトラベル事業のみの売上を情報開示していませんが、2020年5月時点楽天連結業績資料において、前年同期比+18.2%で3,314億円と発表しています。
連結業績であるため、数値を確実に比較することはできませんが、海外OTA企業の規模の大きさを測れます。
2. エクスペディア(Expedia)
エクスペディア(Expedia)は、200以上の旅行サイトと提携し70ヶ国に支店があるOTA企業で、売上は120億ドル、約1兆3,100億円(訪日ラボ編集部換算)と1位のBooking.com に約3,300億差で2位に迫ります。
「世界中のすべての人の旅行に力を与えること」を使命に、AI予測、仮想会話などIT技術を強味にしています。グループ企業にホテル予約のホテルズドットコム、ホテル予約のメタサーチ運営をしているトリバゴなど20社を持ちます。
3. トリップドットコム(Trip.com)
Trip.comは以前までCtripとして企業活動を行っていました。社名変更による規模の変化は見られず相変わらず有力OTA企業です。
提携ホテルは、世界200ヶ国に渡り約140万軒あり、上海に本社を構え東京にも支社を持っています。
2003年にNASDAQに上場しており、売上は51億ドル、約5,500億円(訪日ラボ編集部換算)と業界2位Expediaと訳7600億円の差で業界3位です。
特徴は、日本語サポートが24時間受けられるなど手厚いサービス機能を持つ点です。
4. トリップアドバイザー(Tripadvisor)
Tripadvisor, Inc.は本社を米国マサチューセッツ州ニーダムに構え、世界49ヶ国と地域、28言語でサービスを展開しているOTA企業です。
宿泊施設だけでなく、レストラン、ツアー、チケット、航空会社、クルーズなど800万件の旅行関連商品を取り扱っています。
売上は15億ドル、約1,600億円(訪日ラボ編集部換算)です。
特徴は大きく2点あります。1つ目に、これらを体験した顧客からのおよそ8億8,400万件を超える口コミや評価を参考にできる点です。
2つ目に、旅行前だけでなく旅行中でも、宿泊プランや航空券を比較できマイペースに旅行計画を立てれる点です。
5. eDreams ODIGEO
eDreams ODIGEOは、ヨーロッパのOTA企業で本社をスペインのバルセロナに構えます。
毎月、17億件ほどの検索があり1,700万人を超える顧客にサービスを提供しています。売上は、6億ドルで約658億円(訪日ラボ編集部換算)です。
特徴に、オンラインフライトの販売代理店から事業を開始した旅行代理店のため、オンラインフライトの販売代理店という部門に関しても、世界最大規模を誇ります。
6. アゴダ(agoda)
アゴダは、業界1位の売上であるBooking.comの親会社にあたるBooking.Holdings.Incのグループ会社で、アジアを中心にした宿泊施設予約を扱うOTA企業です。掲載しているホテルは、200万件以上になります。
特徴には、大きく2点あります。1ヶ月以上の長期滞在の宿泊検索もできる点、そしてチェックイン前日まで無料でキャンセルできる宿などには、ラベルを貼り目立たせ、柔軟な旅行計画をたてるのに役立ちます。
OTAの市場規模は大きく、企業により特色がある
OTAは、オンライン上のみに存在する旅行会社です。インターネット環境の改善とコロナ禍の影響も重なり、オンライン上でのやり取りが定着しつつある今、コロナ終息後は国内国外問わずさらなる発達が予測されます。
数あるOTAの中では、その企業の規模の大きさにより取扱旅行商品数が異なり、規模が大きければ大きいほど顧客の選択肢は増え、顧客は「何を選ぶべきか」混乱し結局購入をやめてしまうというデメリットもあります。
このデメリットを克服するためにも、協会内に数多くOTAがひしめきあい、競合の中でも差別化を図るため、顧客が何を目的に旅をするのかを把握し、顧客目線に立った自社らしさである特色を打ち出していることもわかりました。
旅行は、日常の社会活動から少し距離を置き自身の興味について、時には仲間とも体験を通じ楽しくかけがえのない時間を過ごせる豊かなコンテンツです。
顧客目線では、旅のコンテンツの充実、安全性、提供価格はOTA企業の選択に重要な判断材料になります。
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