2022年2月4日より、ついに北京五輪が正式に開幕します。
新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、中国はどのように大会を運営していこうとしているのか、そして中国が掲げる「ゼロ・コロナ政策」や外交ボイコットを表明している国など、現在までにわかっている情報をまとめます。
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北京オリンピック2022年の概要
北京オリンピックの概要について解説します。
北京での冬季開催は初
北京2022冬季オリンピック競技大会は、2022年2月4日から中国の首都である北京で開催されます。
開会式の2日前からカーリングやアイスホッケー競技が行われ、2月20日に予定されている閉会式まで続きます。
北京では2008年に夏季オリンピックが開催されており、北京は夏季と冬季の両方のオリンピックを開催する初めての都市となります。
大会の様子はオリンピック公式放送パートナーの協力により、ライブ配信で視聴できます。
北京五輪では15競技が行われ合計109組のメダルが授与される予定で、ボブスレー、ショートトラック、フリースタイルスキー、スキージャンプ、スノーボードに新しい種目が追加されたため平昌2018より7組多くなっています。
大会のスローガン「ともに未来へ」について、大会組織委員会は「世界が新型コロナとたたかう中、手を携えて未来に向かおうという共通の願いを表した」と説明しています。
日本の出場選手は
日本オリンピック委員会は1月20日、北京冬季五輪の日本代表選手として、羽生結弦選手や平野歩夢選手など122人を発表しました。
結団式は1月29日に東京都内で行われる予定です。
今後出場枠の再配分があった場合、選手総数は海外の冬季五輪で最多だった前回の平昌五輪の123人を上回る可能性があります。
選手団は監督・コーチら138人を含めた計260人で、団長は日本スケート連盟フィギュア委員長の伊東秀仁氏、総監督を長野五輪スキージャンプ男子団体金メダリストの原田雅彦氏が務めます。
新型コロナウイルス対策責任者は、東京五輪に続き土肥美智子理事が担います。
新型コロナウイルス禍の開催はどうなるか
北京五輪では新型コロナウイルス禍での大会をどのように運営するのかについて解説します。
「ゼロ・コロナ」政策
中国の習近平政権は、厳しい感染封じ込め策「ゼロ・コロナ」政策を重視しており、強権的に全住民の移動を制限した「武漢封鎖」を歴史的成果と評価しています。
感染者が確認されるとすぐにその地区を封鎖し、大規模なPCR検査を行い、スマホアプリを通じて国民一人ひとりの感染リスクを判断する「健康コード」の利用を広く浸透させるなどの感染対策が行われています。
新型コロナウイルスの感染拡大が世界で最初に広がった湖北省武漢市では、感染拡大防止のための都市封鎖が行われてから約2年がたちます。
2021年11月に採択された中国共産党創建100年の歴史を総括する「歴史決議」では、武漢封鎖は「感染症と戦う人民戦争、総力戦、阻止戦を展開し、武漢と湖北を守る戦いを綿密に行った」とたたえられ、武漢市民は現在通常通りの生活に戻っています。
武漢封鎖の成功を受けて中国各地では、感染拡大が確認されるとすぐに封鎖措置が取られるようになっています。中国の衛生局の発表によれば、1月に入っても全国の1日当たりの市中感染は200人以下で推移しているということです。
こうした強権的な防疫措置は中国国民から支持され、「ゼロ・コロナ」政策は習政権の看板政策となっています。
ただし黒竜江省ハルビン市では感染者が一人も確認されていないにもかかわらず、全住民へのPCR検査を表明するなど、行き過ぎを指摘する声や「ゼロ・コロナ」政策への反発の声も見受けられています。
大会の感染対策
大会組織委員会は、新型コロナウイルス感染対策のため、海外からの観客の受け入れは見送り、中国本土の居住者に限り認めるとしていました。
しかし大会まで3週間をきった1月17日、それまでの方針を変更し、一般向けのチケットは販売せず、会場での観戦は招待したグループのみに限定すると発表しました。
東京五輪よりも厳しい感染対策が取られ、原則として選手や大会関係者は事前のワクチン接種が求められ、追加接種も「強く奨励」されています。
医学的な理由を除き、ワクチンを接種していない場合は中国入国後3週間の隔離措置がとられ、PCR検査は全員毎日受けることとなります。
東京五輪と同様、大会関係者を外部の人たちと接触できないようにする「バブル方式」の感染対策が実施されますが、北京五輪ではさらにルールを厳格に運用する姿勢を強調しています。
大会期間中にバブルから出て市中を歩き回るなどした場合、出場資格の停止などの罰則も設けられます。
競技会場の周辺では厳戒態勢がしかれており、スキー競技が予定されている河北省張家口の会場周辺では、一般客向けのスキーリゾートが3月末まで営業停止となりました。
また付近の高速道路の出口や高速鉄道の駅では、警察による検問が行われ、PCR検査の陰性証明などの提示が求められます。
メディアも使用する通路や撮影エリアは厳密に指定されており、選手などと対面で接触することを禁止しています。
さらに感染対策にはハイテク技術を駆使し、無人で消毒を行うロボットなども競技会場などで導入しています。
外交ボイコットも懸念
北京五輪をめぐっては、これまでにアメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス、ニュージーランドが外交ボイコットを表明しています。
いずれの国も、選手団は派遣する方針です。
背景には中国内各地で発生している人権侵害問題や、オリンピックとも深く関わりのあるスポーツ選手の失踪などが関係しています。
過去にも選手も含めて五輪大会をボイコットする例はあったものの、「選手は派遣し、政府関係者のみ派遣しない」という形のボイコットは世界初のことです。
中国政府はアメリカの外交ボイコットに対し、強く抗議すると警告しました。
いっぽう中国との関係性が深い国々や、五輪と関わる国は外交ボイコットをしない方針を取っています。
ギリシャは、同国最大の貿易港の開発で中国から投資を受けたことなどの経済的な結びつきを背景として、同国首相が出席の意向を示しています。
イタリアも現在協議中としつつ、「アメリカには追随しない」としており、フランスは2024年パリ五輪も控えていることなどから、関係閣僚が出席する方針です。
日本の対応については、与野党そして与党内でも意見が分かれており、関係閣僚の派遣は見送られるものの、橋本聖子東京五輪・パラリンピック大会組織委員会が出席する方針です。
「外交ボイコット」という表現を利用せず、中国への刺激を避けているという指摘もあります。
これに対し中国側は、前回の東京五輪開催において中国が全面的に支持したことを受けて、「日本の基本的な信義を示す番だ」と主張しています。
関連記事:北京五輪に暗雲。「外交ボイコット」する国・しない国
北京大会の成功で「ゼロ・コロナ」政策の正当性 国内外にアピール
中国は2月4日に開幕する北京五輪を厳重な対策のもとで成功させ、「ゼロ・コロナ」政策は正しいと国内外にアピールしたい考えです。
また2022年秋には5年に1度の党大会を控えており、3期目の続投が確実視されている習近平主席としても、北京オリンピックをなんとしてでも成功させたい姿勢が伺えます。
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