MEO(ローカルSEO)とは一般的に「Googleの検索結果において、施設情報を上位表示させること」という意味で使われがちですが、本記事では「主にGoogleビジネスプロフィール(Googleマイビジネス)を用いて、Google上の店舗・施設情報を最適化させ、集客および売上向上につなげること」として定義します。
Googleマップは全世界の67%が利用しており、毎月10億人以上が使っていることから、MEO(ローカルSEO)がインバウンドの集客に効果的であることは間違いないでしょう。
Googleマップ上の情報はある程度自動で翻訳され、このままでもインバウンド向けの情報発信手段として機能します。ただし一部の情報は自動で翻訳されないケースもあり、インバウンド集客に対して最大限に効果を発揮させるためには、いくつかの工夫が必要です。
ここではローカル検索およびGoogleビジネスプロフィールの最適化によって、インバウンドを効果的に集客するためのノウハウを解説します。
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インバウンドとは?
インバウンドとは、「外国から自国への旅行」や「自国への外国人旅行者」を指す言葉です。
ここでは日本へのインバウンド、つまり訪日外国人観光客の意味で解説しています。2019年、コロナ禍直前の訪日外客数は約3,188万人、訪日旅行消費額は約4.8兆円に達し過去最高を記録しました。
2014年の春節(中国の旧正月)頃に訪日中国人観光客による「爆買い」現象が注目されて以来、テレビのニュースなどでも 「訪日外国人」「外国人観光客」「インバウンド」「インバウンド需要」「観光立国」 などのキーワードが頻出するようになりました。
一方で2020年2月以降、新型コロナウイルスの世界的な流行により旅行需要が停滞し、感染対策のための入国制限も敷かれることとなりました。訪日外国人が激減し、インバウンド市場は大きな打撃を受けています。
コロナ禍によってインバウンドが「蒸発」してしまった格好ですが、依然としてコロナ後のインバウンド需要のポテンシャルは高いことに変わりはありません。
政府は2030年に訪日外客数6,000万人、訪日旅行消費額15兆円を目標に掲げており、インバウンド誘致に積極的な姿勢を見せています。
コロナ後を見据えてインバウンド対策を
今後大きな回復が見込まれ、政府を挙げて誘致を目指しているインバウンド需要に対して、今のうちから対策を打っておかない手はありません。
ところで、インバウンド対策は大別すると以下の3つのタイプに分けることができます。
- プロモーション・・・訪日外国人を集客するための施策など
- 受け入れ環境整備・・・訪日外国人が日本で観光を楽しめるようにするための環境整備など
- 分析・・・訪日外国人はいつ・どこで・なににお金をつかっているかといったデータ収集・分析など
後述するMEO(ローカルSEO)対策では、これら3つのインバウンド対策につながるアクションを大きな予算を割かずに実行できることもメリットといえます。
MEO(ローカルSEO)とは?
MEO(ローカルSEO)とは一般的に、Googleマップの検索において施設情報の「掲載順位を上げる」ことのみを指して使われがちですが、本記事では自社の店舗や施設情報を最適化させ、集客、ひいては売上向上を目指すことと定義します。
Googleマップの情報はGoogle検索の検索結果に表示されることも期待できます。よってユーザーの検索行動の結果に対する自社のビジネスの露出・認知を増やすことを目指し、最終的に来店客の増加、売上の増加を実現する施策として近年注目されています。
インバウンド対策×MEO(ローカルSEO)の有効性
MEO(ローカルSEO)は、国内観光客だけでなく、訪日外国人観光客(インバウンド)にも有効です。
その理由として、以下の3つが挙げられます。
- 毎月10億人以上がGoogleマップを利用しているから
- Googleマップが多言語対応しているから
- 多くの旅行者が口コミを参考にしているから
MEO(ローカルSEO)に適切に取り組むことで、国内外からの来客を呼び込む効果が期待できます。
世界中で利用されるGoogle検索、およびGoogleマップ
地図アプリの店舗情報や掲載されている口コミを参考にしてお店探しをするユーザーが増加する中、Yahoo!マップなどに情報を入稿できる「Yahoo!プレイス」や、Microsoftが提供する地図検索サービスであるBingマップ上に表示されるビジネス情報を管理するためのツール「Bing Places for Business」なども登場しています。
しかし、現時点ではGoogleマップ対策が事実上最も効果的といえるでしょう。なぜなら、訪日外国人の大部分はGoogle検索およびGoogleマップを使用しているからです。
世界全体で使用されている検索エンジンのシェアはGoogleが91.43%であり、圧倒的といえます。(StatCounterより)
さらにTHE MANIFESTの調査によれば、スマートフォン所有者の67%がGoogleマップを利用していることが明らかになっており、全世界で最も利用されているナビゲーションアプリだということもわかります。
二番目に多く利用されているナビゲーションアプリ「Waze」の利用率は12%であり、その差は歴然でしょう。
Googleマップ上の情報は自動で翻訳される
Googleマップは、多言語対応も同時にしてくれます。登録された情報を検索ユーザーの設定言語へと自動翻訳してくれるためです。
それによって、日本語で情報を登録していても、英語圏や中国語圏などのさまざまな層に対して自社をアピールできます。※一部自動で翻訳されない情報もあり、詳細は後述します。
つまり、国内向けのGoogleマップの情報整備や口コミ投稿の促進施策が、インバウンド対策にもそのまま役立つというのが大きなメリットです。
多くの訪日外国人は口コミ情報を参考にしている
観光庁による2020年の1-3月期の「訪日外国人の消費行動」によると、出発前に役に立った旅行情報源を上位5位は以下の通りです。
- SNS(25.3%)
- 個人ブログ(24.1%)
- 日本在住の親族・知人(19.9%)
- 動画サイト、自国の親族・知人(19.1%)
- 口コミサイト(15.7%)
これらの情報源を総覧すると、本質的には一般ユーザーの生の感想(口コミ)が参考にされていることがわかります。
インターネットの発達によって企業の広告ではない「生の声」がより見えやすくなり、それらの情報が消費行動に大きく影響を及ぼしているともいえるでしょう。
インバウンド向けの情報発信のための施策を検討した時、上記のうち「SNS」は外国語専用のアカウントを立ち上げない限り言語圏が違うユーザーに届けることはできません。
「個人ブログ」は外国人が書いたブログであると考えられます。日本の事業者が日本語で書いたブログでは、海外からの検索に引っかかるような効果(SEO)は期待できません。
その一方でGoogleマップに掲載される口コミは自動で翻訳されるだけでなく、さまざまな言語で口コミが書かれることで、より多くの検索キーワードに引っかかる効果も期待できます。
したがってGoogleマップ上の口コミは、インバウンド向け集客に効果のある情報源といえます。
インバウンド対策×MEO(ローカルSEO)を始める前に知っておきたいこと
インバウンド対策×MEO(ローカルSEO)を始める前に、押さえておきたいポイントを紹介します。
Googleマップには自動で翻訳「される情報」と「されない情報」がある
Googleマップには、自動で多言語に翻訳される情報とされない情報があります。
自動で翻訳される情報は以下の通りです。
- 営業時間
- 住所
- 電話番号
- 口コミ
一方で、自動で翻訳されない情報は以下の通りです。
- ビジネス名(店舗名、施設名)
- 店舗側による投稿(※閲覧環境によっては翻訳されることもあります。)
- ビジネスの説明文
-
商品・メニュー・サービスなどの情報
これらの扱いの違いについて法則を定義することは難しいですが、概して店舗・施設の基本的な情報は自動で翻訳され、それ以外の情報は自動で翻訳されません。
「順位を上げる」よりも「より多くの検索結果に表示されること」が大事
Googleのローカル検索の掲載順位を決定する要因として、主に以下の3つの要素が影響します。
- (検索したユーザーとの)距離
- (施設・ビジネスの)知名度
- (検索したキーワードとの)関連性
上記のうち、「距離」や「知名度」は所与の環境に大きく左右されるため、なにか対策を打つことで掲載順位をすぐに上げられるというものではありません。
しかし、以下で紹介する施策で「関連性」を高めることにより、より多くの検索キーワードにひっかかるようにすることは可能です。
MEO(ローカルSEO)とは、まずはこの「関連性」を高めるための取り組みと考えることが適当でしょう。
インバウンド集客のためのMEO(ローカルSEO)対策方法
MEO(ローカルSEO)でインバウンドを集客するためには、いくつかの施策を講じる必要があります。
ここではMEO(ローカルSEO)施策として、以下の3つを紹介します。
- Googleマップの情報を充実させる
- 多言語での検索結果に対応させる
- 国内外から口コミを集める
精度高く一つひとつの施策に取り組むことで、インバウンド集客が成功へと近づくでしょう。
Googleマップの情報を整備する
MEO(ローカルSEO)を進める上では、正しい情報を正しく登録することが欠かせません。
情報が不足していたり、間違った情報(あるいは古い情報)が掲載されていると、ユーザーに誤解を与えてしまうことはもちろん、来店機会を失う可能性もあります。
入れるべき情報は、たとえば以下のようなものです。
- ビジネス名
- 所在地
- 電話番号
- 営業時間
- サービス内容
- 外観等の写真
検索ユーザーがページを閲覧して、知りたかった情報をすべて得られるほど充実させましょう。
多言語での検索結果に対応させる
Googleマップに登録した情報は、多言語で情報発信するようにしましょう。
なぜなら、Googleマップの自動翻訳では、一部の情報は翻訳されないことがあるためです。
場合によっては、店名が自動翻訳されずに日本語のままになってしまい、その地を訪れたいと思ったインバウンドが情報収集できずに諦めてしまうケースもあります。
Googleマップ上のビジネス名を多言語化するためには、Googleマップの言語設定を変えた上で、その国の言語に翻訳した語句を情報修正提案をする必要があります。
以下の資料でやり方をくわしく紹介しています。
関連記事:知らないと損する「インバウンド×Googleマップ」集客マニュアル
国内外から口コミを集める
インバウンド需要を取り込むためには、日本語だけでなく外国人からの口コミ(つまり外国語での口コミ)を集めるといいでしょう。
そのために、店内に英語や中国語などで口コミの投稿を依頼する文章を書いておくのもおすすめです。
さまざまな言語での口コミが集まるほど、その口コミを参考にして多くのインバウンドの訪問のきっかけにつながることが期待できます。
Googleマップ上のビジネス名を多言語に対応させる方法(PCの場合)
Googleマップでは、日本語で入力した情報を検索ユーザーの設定言語へと自動翻訳してくれます。
しかし自動翻訳では翻訳されない項目もあるため、外国語で検索した時に表示させたい情報を言語別に設定することができます。
なおこの操作は、Googleマップの情報を「一般ユーザー」として修正の提案をするという方法になりますので、必ず変更が反映されるとは限りません。
Googleマップ上のビジネス名を多言語設定するためには、以下の3ステップが必要です。
- Googleマップの設定言語を変更する
- それぞれの言語の「情報の修正を提案」に相当するボタンをクリックし、変更した言語に合わせたビジネス名を入力し、保存する
- 言語設定を変更した上で、表示されている情報を確認する
なお設定方法はPCから行うか、モバイルから行うかによって多少手順が異なります。本記事ではより設定方法がシンプルなPCからの設定方法について解説します。
より詳細な解説は無料でご覧いただける資料、「“インバウンド×Googleマップ”集客術【基本編】」で紹介しています。
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Googleマップの設定言語を変更する
Googleマップを多言語化するために、まずはGoogleマップの設定言語を変更する必要があります。
Googleマップのメニューバーから「言語」を選択し、表示させたい言語を選択し、「保存」をクリックすると変更することができます。
正しい情報に修正提案する
たとえば設定言語を英語に変更したい場合は、「English (United States)」に変更し、自社の施設を検索してみると、英語に翻訳された施設の情報が表示されます。
それらの情報を確認し、「Suggest an edit」(日本語設定の場合は「情報の修正の提案」と表示されます。)をクリックし、修正内容を記載した上で「Submit」をクリックすると、情報の修正提案が完了します。
言語設定を確認する
多言語設定を最適化できたら、入力した内容が検索結果として表示されるか確認してみましょう。
情報の修正提案が反映されるには多少の時間がかかりますので、まだ反映されていなければしばらく時間が経ってから確認してみましょう。
以下の資料では、基本情報だけでなく投稿内容も多言語で発信する方法を詳しく解説しています。無料でダウンロードいただけますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
インバウンドからの口コミを集めた方がいい理由
口コミ情報が自動で翻訳されるとはいえ、訪日外国人(および在留外国人)本人による口コミを集めることは、インバウンド集客に大きく資することになります。
その理由について以下で説明します。
インバウンド目線の口コミはインバウンドから参考にされる
一つ目に、訪日外国人の目線による口コミは、同じ立場である人にとって有益な情報となるからです。
その施設に訪れたことで経験した感動や、または不便に感じたポイントは、日本人ではなかなか気づかないことも往々にしてあります。
こうした外国人目線の生の口コミは、実際に旅行の目的地を検討している外国人にとって大いに参考にされることは想像に難くありません。
たとえば日本人が東京スカイツリーを訪れた時、「翻訳」や「英語表記の看板」、「アクセスの利便性」などに言及することは考えにくいでしょう。しかし英語圏からの訪日外国人の口コミであれば...?と考えると、口コミ内容の観点の違いがお分かりになると思います。
自動翻訳の口コミよりも優先的に表示される
二つ目に、外国人からその国の言語で書いてもらった口コミは、自動翻訳された口コミよりも優先的に上位表示されるからです。
これはGoogleの仕様によるものであり、外国人目線の有益な口コミを獲得した場合にきちんと外国人に見てもらえる可能性が高まるため、効率の良い施策といえるでしょう。
外国人による検索に引っかかる可能性が高まる
三つ目に、外国人による検索に引っかかる可能性が高まることがいえます。
一つ目で述べたように、外国人目線による口コミは日本人観光客とは違った観点で書かれます。したがって、「外国人が日本の観光地を検索する時に使われるキーワード」が口コミ内で言及されることが期待できます。
そのため、外国人観光客が日本のスポットを調べているとき、その口コミが検索に引っかかる可能性も高まるのです。
これらの施策は、Googleのローカル検索の掲載順位を決定する要因として先述した、「関連性」を高めることにつながります。
【無料配布中】外国人から口コミを書いてもらうテクニック
では、外国人から口コミを書いてもらうためには具体的になにをしたらいいのでしょうか?
ただ「口コミを書いてください!」と伝えられるだけでは困ってしまうのは、日本人も外国人も同じです。
異国を訪れてくれた外国人に対して有効な声の掛け方、「口コミを書きたい!」と思ってもらうためのテクニックはどのようなものが考えられるでしょうか?
その実践的なテクニックについては、以下の資料でまとめています。無料でご利用いただけますので、ご興味のある方はぜひダウンロードされてはいかがでしょうか。
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インバウンド向けのMEO(ローカルSEO)を忘れずに
インバウンド向けのMEO(ローカルSEO)を行うことで、国内外からの集客が可能になります。
MEO(ローカルSEO)で上位表示されれば、Google検索をした際に通常のWebサイトよりも上位に表示されます。
集客が成功すれば、あとはできるだけ経費を削減しながら、客単価とリピート率を上げていくだけです。
MEO(ローカルSEO)は、基本的に無料で取り組めるものですので、まずは気軽に試してみてはいかがでしょうか。
関連記事:「本当に観光客が来る」デジタル施策とは何か?専門家による支援事例を紹介
監修者:Googleビジネスプロフィール ダイアモンドプロダクトエキスパート 永山卓也氏
本記事は、Googleビジネスプロフィールにおけるプロダクトエキスパートのうち、最上位のダイアモンドプロダクトエキスパートとしてGoogleより認定された永山卓也氏の監修のもと作成しております。
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」テクニカルアドバイザー&インバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」アドバイザー。
各都道府県の地方自治体、地域団体などを中心にセミナー、講演実績多数。
ローカルビジネスコンサルティング、店舗マネジメント業を行い、 デジタル、アナログ両面で小売・飲食・宿泊業、観光業に豊富な経験。
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