先日発表された最新データによると、8月の訪日外国人客数は、ついに3か月連続で200万人を超えました。回復が遅れていた中国市場も含めて、順調に回復しつつあります。
中国については処理水問題等が気になるものの、この勢いに乗って「今こそインバウンド集客を再開したい!」と考えている方も多いのではないでしょうか。
インバウンドを集客し、売上をアップさせるために知っておくべき考え方はいくつかありますが、その一つが「高付加価値旅行」です。そこで本記事では、インバウンド回復期の今知っておきたい「高付加価値旅行」について解説していきます。
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「高付加価値旅行」とは?
高付加価値旅行とは、消費単価が高い旅行のことです。
主に訪日外国人旅行者について言われることが多く、観光庁は高付加価値旅行者を「着地消費額100万円以上/人」、つまり現地での宿泊、飲食、体験、買い物などで100万円以上を使う旅行者と定義しています。
なぜ「高付加価値」が大事なのか
コロナ禍前、2020年の訪日客数「4,000万人」の目標を掲げていた日本政府。一方で、受入環境が十分でなく地域住民に迷惑が及ぶ「オーバーツーリズム」が、2019年にもすでに問題となっていました。年間3,000万人が日本に来た時点で、そういった問題が起こっていたのです。そしてコロナ禍が明けた今、京都や沖縄などの人気観光地では、またしてもオーバーツーリズム問題が始まっているとの報道もあります。
訪日外国人の「数」だけを追いかけていては、観光地に負担をかけてしまう。このことから政府は、消費額を重視する方針に転換しています。
高付加価値旅行者は、訪日旅行者全体の1% (29万人)にとどまる一方、消費額は11.5% (5,500億円)を占めています。全体の消費額を上げるには見逃せないターゲット層なのです。
各地域やいち民間企業としても、外国人旅行者の「数」ではなく「質」を高めることで、オーバーツーリズムを回避するとともに、同じ旅行者数でもより多くの利益を上げられるという利点があります。
高付加価値旅行を誘致するために知っておきたい、5つのキーワード
高付加価値旅行を誘致し、同じ旅行者数でも多くの消費額を得るために、ヒントとなる5つのキーワードをご紹介します。
1. 欧米豪市場
欧米豪、つまりヨーロッパ・北アメリカ・オセアニアの市場は、1人当たり消費額が高い市場として知られています。
最新のデータ(訪日外国人消費動向調査2023年4-6月期)によると、1人当たり消費額が最も高いのは英国で、358,888円でした。他にもオーストラリア、ドイツ、フランス、イタリアが30万円を超えています。
※なお中国も1人当たり消費額が30万円を超えていますが、一般市民が取得できるビザの解禁が遅れ、所得の高い層以外が訪日するのが難しかった状況があり、それを踏まえて見る必要があります。
欧米豪は日本までの距離が比較的遠く、滞在期間が長くなる傾向にあり、その分滞在中の消費額も高くなります。さらに特徴としては日本文化や歴史などに関心が高く、「ストーリー」のある体験を重視しています。これらを念頭において、コンテンツ醸成や情報発信などに力を入れるとよいでしょう。
2. アドベンチャートラベル(アドベンチャーツーリズム)
アドベンチャートラベルとは、欧米豪市場を中心に普及しはじめている旅行形態で、「アクティビティ」「自然」「異文化体験」の3つの要素のうち、2つ以上を組み合わせたものです。必ずしもハードな冒険を意味する言葉ではなく、自然体験や異文化交流を通じて、自分の内面まで変わるような体験ができる旅行を指します。
1人当たりの消費額が高く、地域への還元・雇用効果も高いのが特徴で、地方誘客・消費額拡大の双方の観点から注目され、JNTOの市場横断戦略の軸の一つを担っています。
そして先日、アジアで初めての現地開催として「アドベンチャートラベル・ワールドサミット」が北海道で開催されました。アドベンチャートラベルが体験できる新たなエリアとして、北海道、そして日本が世界で注目されています。
3. サスティナブルツーリズム
サスティナブルツーリズム(持続可能な観光)とは、他分野でも言われる「SDGs」「サスティナブル」を観光に当てはめた言葉です。
環境保護の観点のほか、ムスリムやベジタリアン、ヴィーガンといった食に禁忌をもつ人々へ配慮する「フードダイバーシティ」や、心と体の健康を意識して行う「ウェルネスツーリズム」、観光地としての持続性を意識したオーバーツーリズム対策なども包含される、広い概念として扱われることが多くなっています。
これらは一見、高付加価値旅行と遠い存在に見えますが、実は関連する部分も多くあります。
例えばムスリムやベジタリアン、ヴィーガン向けの飲食店は日本ではまだまだ少なく、対応している飲食店に対しては比較的高単価なメニューでも喜んでお金を払う外国人が多く存在します。
また、ウェルネスツーリズムも先に紹介したアドベンチャートラベルと同様、体験を重視する旅行形態のため、1人当たりの消費額が高くなる傾向にあります。
4. 富裕層観光
こちらは「高付加価値旅行」とかなり似た概念ですが、さらに高単価な旅行をイメージして使われることも多い言葉です。
日本国内でいうと、超富裕層をターゲットとしたラグジュアリーホテルの不足が問題になるなど、まだまだ世界レベルの富裕層対応には追いついていないのが現状。旅行先として選ばれるには、ラグジュアリーな宿泊施設や、特別な体験ができる観光コンテンツの醸成、富裕層をターゲットにした現地旅行会社とのネットワークの構築などが必要です。
観光庁も、海外ラグジュアリーホテルを参考に高度なホスピタリティスキルを育成しようと、宿泊施設従業員の海外派遣支援事業を開始するなど、富裕層観光の対応へ向けて動いています。
5. プライシング
プライシングとは価格戦略のことで、商品・サービスに適切な価格をつけることを指します。
外国人旅行者は"せっかく"日本へ来ているので、自分にとって魅力的なモノ・コトを見つけたら、多くのお金を使ってでも手に入れたいと考えています。価格設定が安すぎると、「もっと高くても買う」層からお金を取ることができず、本来手に入れられたはずの利益を逃すことになってしまうのです。
日本の商品・サービスは世界的にもその品質を高く評価されていながら、国内の値下げ競争の弊害で世界基準よりも低い価格設定になっている場合も多いため、これを正しく引き上げていくことはきわめて重要な取り組みでしょう。
ただしもちろん、プライシングを行い、インバウンド向けに高い商品・サービスを販売する際は、「価格設定に見合う高い価値」を提供することが前提です。
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2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
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【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
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