徐々に回復しつつある中国市場、最新データに基づく見解をJNTO北京事務所長 茶谷氏に聞く

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日本政府観光局JNTO)は3月19日、2024年2月の訪日外客数推計値を発表しました。2月の訪日外客数は278万8,000人で、2019年同月比7.1%増を記録。その中で比較的回復が遅れている中国市場でも、先月1月と比較して2月は4万3,500人増加し、約46万人となったことがわかっています。

この回復基調は、果たして今後も続くのでしょうか?今回は、最新データに基づく中国市場の動向について、日本政府観光局JNTO)北京事務所長 茶谷 晋太郎氏に取材しました。

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中国からの訪日者数は順調な回復傾向に

訪日ラボ編集部:訪日外客統計の2月分データを拝見いたしました。中国市場は45万9,400人まで回復し先月から4万人以上の増加となっており、引き続きポジティブな動きを見せている状況かと思います。

本データに関する所感や、春節期間における動向などお聞かせください。

中国からの2月の訪日者数は約46万人、2019年同月比約64%となり、昨年12月の約31万人(同約44%)、1月の約42万人(同約55%)から順調な回復傾向にあります。

2月は春節休暇期間があり、その日数も2019年よりも若干長かったことも影響していると思われますが、春節期間中、中国人観光客が各地の観光地に戻ってきたという報道もあり、徐々に地方部にも再び足を向け始めたのかなと感じています。


編集部:一方で12月→1月の10万人増と比較し、1月→2月は4万人増と回復ペースがダウンしており、春節が2月にあった中で思ったより動きが鈍いのではないかとも取れる数字となっています。

この数字について茶谷様の方ではどう見ていますでしょうか。

2019年以前の状況を見ても、春節期間があるとは言え、2月は基本的には観光のオフシーズンであり、訪日客数が他の月から顕著に増えるということはありませんでした。先ほど述べたように、2019年同月比では、昨年12月、1月の回復率を上回っており、順調な回復状況にあると考えています。

また、中国の大手OTAの調査でも、春節期間の人気渡航先ランキングの上位に挙げられており、訪日旅行に対する期待は引き続き継続していると考えています。

今後の期待感は:夏休みシーズン前後に訪日のピーク、1〜2か月先を見越したプロモーションを

編集部:中国訪日外客数が力強く回復する一方で、インバウンド観光にこれから取り組もうとする現場の方々と話すと、処理水問題の報道などもあったためか、今後の中国市場の盛り上がりについて懐疑的な声も一部見受けられます。

今後の動きの見立て・期待感についてお聞かせください。

まず処理水問題について申し上げると、基本的には訪日旅行に対する影響はすでにありません。中国市場の回復には、中国経済全体の先行きの不透明感が増していることや、中国国内旅行に比べ海外旅行全体の回復が遅れていることなど、考慮すべきポイントはありますが、海外渡航先としての人気や日中間の復増便の継続などにより、基本的には今後も順調な回復が見込まれるのではないかと考えています。

先日、北京の旅行会社の方とお話ししましたが、直近では桜シーズンの訪日旅行商品の販売が順調で、顧客からの関する問い合わせなども以前よりかなり増えてきたと伺いました。

今後については、特に例年夏休みシーズン前後に訪日のピークをつけており、2024年も同様の傾向となると思いますので、訪日までのリードタイムを考慮し、1~2か月先を見越したプロモーションが重要ではないかと考えています。

一方で、訪日客数だけではなく、消費額や地方宿泊数などを伸ばしていくことも重要です。中国人観光客のFIT化の進展、「モノ消費」から「コト消費」への嗜好変化、動画・SNSによる旅行情報収集の拡大などを踏まえた上で、それぞれの地域において魅力や観光資源の磨き上げ、中国SNSを活用したプロモーションなどはもちろんのこと、中国語を含む多言語対応キャッシュレス対応といった受入環境の整備を進めていく必要があろうかと考えています。

JNTOとしても、引き続き地方誘客に特に力を入れ、オンライン・オフライン両面でのプロモーションにより、訪日旅行の魅力発信に取り組んでいきます。


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「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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